高血圧と食事の関係
肥満、体を動かさない生活、ストレス、喫煙、過度の飲酒、食事での塩分のとりすぎは、遺伝的に高血圧になりやすい人の高血圧の発症に、何らかの形で関わっています。
塩分(ナトリウム)が増えると体に水分がたまり、血液の量が増えて血圧が上がります。腎臓は、ナトリウムと水分の排出量を調節することで、血圧の調整に重要な役割を担っています。
なぜ血圧を下げることが大切か
高血圧を治療しないままにしておくと、心不全、心臓発作、突然死などの心臓の病気や、腎不全、脳卒中を若いうちに起こすリスクが高くなります。
高血圧は脳卒中の最大の危険因子で、心臓発作の改善可能な三大危険因子の一つでもあります(ほかの2つは喫煙とコレステロール値の高さです)。食事を中心とした生活習慣の見直しは、こうしたリスクを減らすための土台になります。
減塩の目安
理想的には、1日のナトリウムの摂取量を1,500ミリグラム未満、食塩に換算すると3.75グラム未満に減らすべきとされています。
- カルシウム、マグネシウム、カリウムを十分にとりながら、塩分を減らします。
- 減塩とお酒を減らすことで、高血圧の薬が不要になることもあります。
まずは、ふだん口にしている食品の塩分を意識することから始めましょう。

血圧のための食事の内容
肥満や糖尿病がある人、コレステロール値が高い人では、心臓や血管の病気のリスクを下げるために、食習慣を変えることが重要です。
- 果物や野菜を豊富にとる
- 低脂肪の乳製品を多くとる
- 飽和脂肪酸や脂肪の総量を少なくする
こうした食事は、果物、野菜、低脂肪乳製品が豊富なDASH食(高血圧を防ぐための食事法)の考え方とも一致しています。

体重を減らす
過体重で高血圧がある人には、体重を減らすことが勧められます。4.5キログラムほど体重を落とすだけでも、血圧は下がります。
食事の量と内容を見直し、運動と組み合わせて、無理のない範囲で少しずつ減量しましょう。
お酒とたばこ
- お酒:飲酒量を減らします。米国の基準では、男性は1日2ドリンク以内、女性は1ドリンク以内とされています(1ドリンクの定義は日本の基準とは異なります)。
- たばこ:喫煙者は禁煙するべきです。
過度の飲酒は、高血圧を起こしたり悪化させたりする可能性があります。食品の甘草(かんぞう)のほか、副腎皮質ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、経口避妊薬、かぜ薬に含まれる一部の鼻づまりの成分なども血圧を上げることがあるため、気になる場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
運動と組み合わせる
中程度の有酸素運動にも効果があります。定期的な運動は血圧を下げ、体重を減らし、心臓の働きと全身の健康を改善します。
ほかの病気が原因ではない高血圧(原発性高血圧)の人は、血圧が管理できていれば、運動を制限する必要はありません。食事の改善と運動を組み合わせることで、より大きな効果が期待できます。
血圧を正しく測る
1回だけ高い値が出た場合はストレスによる可能性がありますが、何度測っても高い場合に、ストレスのせいと考えるのは賢明ではありません。血圧は、座って5分ほどたってから測ります。測る前の少なくとも30分間は、運動、カフェインの摂取、喫煙を避けます。
ストレスは血圧を一時的に上げますが、ストレスがなくなるとたいてい元に戻ります。医療機関で測ると緊張して高くなる「白衣高血圧」もあるため、診断には何度か測った値を使い、必要に応じて24時間の血圧測定を行います。また、睡眠時無呼吸症は高血圧の原因になったり、悪化させたりすることがあります。
血圧は時間帯によっても変わり、朝が最も高く、夜寝ている間が最も低くなります。130/80mmHg以上が高いとみなされますが、1回の測定だけでは高血圧とは診断されません。食事を変えたあとも、日を変えて何度か測り、変化を確かめましょう。
出典によって異なる点:減塩とDASH食を組み合わせる効果
MSDマニュアル家庭版は、減塩と、果物・野菜・低脂肪乳製品が豊富な食事をそれぞれ勧めていますが、両者を組み合わせたときの効果には触れていません。
412人を対象としたランダム化比較試験(Sacksら、2001年)では、一般的な米国の食事またはDASH食のどちらかを食べ、それぞれ塩分が多い・中くらい・少ない食事を30日ずつとりました。その結果、塩分を減らすこととDASH食は、どちらも血圧を大きく下げ、両方を組み合わせるとそれぞれ単独よりも効果が大きくなりました。著者らは、長期的な効果には、食事の変化を続けられるかどうかが重要だとしています。
つまり、減塩とDASH食を一緒に取り入れ、無理なく長く続けることが血圧を下げる近道です。
高血圧の食事のポイント
- 塩分のとりすぎ、肥満、運動不足、過度の飲酒は高血圧に関わっています。
- 理想的な食塩の目安は、1日3.75グラム未満(ナトリウム1,500ミリグラム未満)です。
- 果物、野菜、低脂肪乳製品を増やし、飽和脂肪を減らします。
- 過体重の人は、4.5キログラムほどの減量でも血圧が下がります。
- お酒を減らし、禁煙し、中程度の有酸素運動を続けます。
- 減塩とDASH食を組み合わせると、血圧を下げる効果がより大きくなります。
高血圧の食事についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
塩分は1日どのくらいまでにすればよいですか?
理想的には、ナトリウム1,500ミリグラム未満、食塩に換算して3.75グラム未満に減らすべきとされています。
どんな食品を増やせばよいですか?
果物、野菜、低脂肪の乳製品を増やし、飽和脂肪や脂肪の総量を減らします。カルシウム、マグネシウム、カリウムを十分にとることも大切です。
食事だけで薬をやめられますか?
お酒と塩分を減らすことで、高血圧の薬が不要になる人もいます。ただし、薬の調整は必ず医師と相談してください。
やせると血圧は下がりますか?
はい。過体重の人では、4.5キログラムほど体重を落とすだけでも血圧が下がります。
DASH食とは何ですか?
果物、野菜、低脂肪乳製品が豊富な食事法です。研究では、減塩と組み合わせると血圧を下げる効果がより大きくなりました。
お酒は飲んでもよいですか?
飲酒量を減らすことが勧められます。過度の飲酒は高血圧を起こしたり悪化させたりする可能性があります。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 高血圧
- Sacks FM, et al. Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension (DASH) diet. N Engl J Med. 2001
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

