コレステロールとは?LDLとHDL
コレステロールは、細胞の膜や脳・神経の細胞に必要な成分で、ホルモンやビタミンDをつくる材料にもなります。血液中では、リポタンパク質という粒子に包まれて運ばれています。
- LDLコレステロール(悪玉):値が高いと、動脈硬化のリスクが高くなります。
- HDLコレステロール(善玉):低すぎる場合も高すぎる場合も、心血管のリスクの増加と関連している可能性が示唆されています。
総コレステロール値よりも、その中身、とくにLDLとHDLの値が重要とされています。
コレステロールが高いとどうなる?
コレステロールの値が上がると、脂質異常症とみなされるほど高くなくても、動脈硬化のリスクが高くなります。動脈硬化は心臓や脳、体の各部に血液を送る動脈で起こり、心臓発作や脳卒中につながります。
総コレステロール値が300mg/dL近くになると、心臓発作のリスクは2倍以上になるとされています。一方で、脂質の値が高くても普通は症状がないため、血液検査で確かめることが大切です。
コレステロールが上がる原因
- 生活習慣:体を動かさない生活に加え、カロリー、飽和脂肪酸、コレステロール、トランス脂肪酸のとりすぎが原因になります。
- 年齢と性別:LDLコレステロールは年齢とともに少しずつ上がり、女性では閉経後に上昇します。
- 遺伝:家族性高コレステロール血症など、遺伝によって値が高くなる病気もあります。
- ほかの病気や薬:コントロールが不十分な糖尿病、慢性腎臓病、甲状腺機能低下症や、一部の薬で値が上がることがあります。
体型からコレステロール値を予想することはできず、やせていても高い人がいます。
下げるための食事①:脂肪の種類を選ぶ
- 飽和脂肪酸を減らす:ほかの脂肪よりも血液中のコレステロールを上げやすいため、総摂取カロリーの5〜6%までに抑えることが必要とされています。全乳、チーズ、バターなどの乳製品や、赤身肉に多く含まれます。
- トランス脂肪酸を避ける:主に高度に加工された食品に含まれ、LDLを増やしHDLを減らすことが証明されています。
- 不飽和脂肪酸を選ぶ:植物油、ナッツ、脂の多い魚、オリーブ油、アボカドに含まれる不飽和脂肪酸は、中性脂肪とLDLを下げる働きがあります。
下げるための食事②:食物繊維とたんぱく質
- 野菜・果物・全粒穀物を増やす:食物繊維と栄養素が豊富です。
- 水溶性食物繊維:オート麦、オートミール、豆類、米ぬか、大麦、柑橘類、イチゴ、リンゴの果肉などは、コレステロールの低下を促す働きがあります。
- たんぱく質:鶏肉や魚などの脂肪の少ないたんぱく質を中心にし、赤身肉は最小限にします。
- 加工食品を減らす:加工食品は最小限に抑えます。
健康的な体重を保つことも大切なため、カロリーのバランスにも気を配りましょう。

運動・減量・禁煙
- 運動:定期的な運動は、中性脂肪を下げ、HDLを上げる効果があります。米国心臓協会は、中程度の強度の運動を週150分、または高強度の運動を週75分行うことなどを推奨しています。
- 減量:肥満がある場合は体重を減らします。
- 禁煙:喫煙はHDLコレステロールを下げる要因になります。

コレステロールの検査と中性脂肪
血液検査で、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)を測ります。これらをまとめて脂質プロファイルといいます。
- 中性脂肪は150mg/dL以上が異常とされます。
- 中性脂肪が高い人は、大量の糖分、精製された小麦粉、でんぷん質の食べもののとりすぎを避ける必要があります。
- 脂質の値が非常に高い場合は、遺伝性の病気がないかを調べる特別な検査を行います。
値の意味や目標は、ほかの危険因子によっても変わるため、結果は医師と一緒に確認しましょう。
薬による治療
脂質低下薬を使うかどうかは、脂質の値だけでなく、冠動脈疾患や糖尿病があるか、ほかの危険因子があるかによって決まります。
- 冠動脈疾患や糖尿病のある人では、スタチン系の薬で心臓発作や脳卒中のリスクが下がる可能性があります。
- スタチン系の薬は、早期死亡のリスクを減らすことが証明されています。
- ほかにも、コレステロールの吸収を抑える薬など、さまざまな種類の薬があります。
- 薬を飲む場合でも、飽和脂肪酸の少ない食生活が推奨されます。
出典によって異なる点:食事でどこまで下がり、下げるとどうなるか
MSDマニュアル家庭版は、食生活の影響は多くの人にある程度現れるものの、個人差が大きいとしています。動物性脂肪を多くとっていても値が上がらない人がいる一方、厳しい低脂肪食を続けても下がらない人もいて、この違いは主に遺伝によると考えられています。
メタ解析(Cholesterol Treatment Trialists' Collaboration、2010年)は、26件のランダム化試験の約17万人のデータをまとめ、スタチンなどでLDLコレステロールを1.0mmol/L(約39mg/dL)下げるごとに、心臓発作、冠動脈の治療、脳梗塞などの主な血管の病気が年間で5分の1強減ることを示しました。調べた範囲では、これ以上下げても効果がないという境目はみられませんでした。
食事は基本ですが効果に個人差があり、リスクの高い人では薬でLDLを下げることが病気の予防につながると考えられます。
コレステロールを下げるポイント
- LDL(悪玉)が高いと、動脈硬化や心臓発作、脳卒中のリスクが高まります。
- 飽和脂肪酸とトランス脂肪酸を減らし、不飽和脂肪酸を選びましょう。
- 野菜、果物、全粒穀物、水溶性食物繊維の多い食品を増やします。
- 定期的な運動、肥満の解消、禁煙も役立ちます。
- 食事の効果には個人差があり、遺伝的に下がりにくい人もいます。
- 冠動脈疾患や糖尿病のある人などでは、スタチン系の薬が検討されます。
コレステロールを下げることについてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
コレステロールを下げる食べ物は何ですか?
オート麦、オートミール、豆類、米ぬか、大麦、柑橘類、イチゴ、リンゴの果肉など、水溶性食物繊維の多い食品にはコレステロールの低下を促す働きがあります。
避けたほうがよい食べ物は何ですか?
飽和脂肪酸の多い全乳、チーズ、バターなどの乳製品や赤身肉、トランス脂肪酸を含む高度に加工された食品は控えましょう。
LDLとHDLの違いは何ですか?
LDL(悪玉)は値が高いと動脈硬化のリスクが高くなります。HDL(善玉)は、低すぎても高すぎても心血管のリスクと関連する可能性が示唆されています。
運動でコレステロールは下がりますか?
定期的な運動は、中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを上げる効果があります。
やせていてもコレステロールは高くなりますか?
はい。体型からコレステロール値を予想することはできず、やせていても値が高い人がいます。遺伝的な要因が関わることもあります。
コレステロールの薬はいつ必要ですか?
脂質の値に加えて、冠動脈疾患や糖尿病があるか、ほかの危険因子があるかによって判断されます。医師と相談しましょう。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 脂質異常症
- Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaboration. Efficacy and safety of more intensive lowering of LDL cholesterol: a meta-analysis of data from 170,000 participants in 26 randomised trials. Lancet. 2010
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

