中性脂肪(トリグリセリド)とは?
中性脂肪は、脂肪細胞に蓄えられ、必要に応じて分解されて、成長などの体の働きに必要なエネルギーとして使われる脂肪です。腸と肝臓で、脂肪酸という小さな脂肪からつくられます。
中性脂肪やコレステロールなどの脂質は、それだけでは血液中をうまく流れることができません。そのため、タンパク質などと結びついたリポタンパク質という粒子に乗って、血液中を運ばれています。
コレステロールや中性脂肪の濃度が高い状態、または善玉(HDL)コレステロールの濃度が低い状態を、脂質異常症といいます。
中性脂肪の基準値とリスク
- 基準値:中性脂肪値が150mg/dL(1.7mmol/L)以上は異常とされます。
- 心臓や脳への影響:中性脂肪値が高いと心臓発作や脳卒中のリスクが高まるかどうかは、はっきりしていません。高いからといって、すべての人のリスクが高まるわけではないようです。
- リスクが重なる場合:中性脂肪値が高いうえに、HDLコレステロール値が低い、糖尿病や慢性腎臓病がある、家族に動脈硬化の人が多いといった条件が重なると、心臓発作や脳卒中のリスクが高くなります。
中性脂肪値は、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールとあわせて、血液検査(脂質プロファイル)で測ります。
中性脂肪が高くなる原因
原因には、生まれつきの体質(遺伝)によるものと、生活習慣や病気、薬などによるものがあります。
- 生活習慣:体を動かさない生活に加えて、総カロリー、飽和脂肪酸、コレステロール、トランス脂肪酸を食事からとりすぎること
- 多量の飲酒
- 病気:コントロールが不十分な糖尿病、慢性腎臓病、甲状腺機能低下症など
- 薬:飲むタイプのエストロゲンや経口避妊薬、ステロイド、一部の利尿薬など
- 遺伝:家族性高トリグリセリド血症(約0.2〜1%)や家族性複合型高脂血症(約1〜2%)など
食生活の影響の大きさには個人差があり、同じような食事でも、数値が上がりやすい人とそうでない人がいます。
中性脂肪が高いと起こること
血液中の脂質の濃度が高くても、ふつうは症状がありません。そのため、血液検査で初めて気づくことがほとんどです。
一方、中性脂肪値が非常に高くなると、次のようなことが起こる場合があります。
- 膵炎:激しい腹痛を起こし、ときに命に関わります。
- 発疹性黄色腫:胴体、背中、肘、お尻、膝、手、脚などに、赤みを帯びたり黄色がかったりした小さなこぶ(脂肪のかたまり)ができます。
- そのほか:肝臓や脾臓の腫れ、手足のピリピリ感や焼けるような感じ、呼吸困難、錯乱
中性脂肪が非常に高い人は、膵炎を防ぐためにも、きちんと治療を受けることが大切です。
中性脂肪の検査
中性脂肪値は、血液検査で総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールとともに測ります(脂質プロファイル)。
- 空腹時の検査:以前は12時間絶食した後に測るのが一般的でしたが、多くの場合、空腹でない状態の検査でも十分とされています。
- 原因を調べる検査:糖尿病、腎臓の病気、甲状腺機能低下症など、脂質の値を上げる病気がないかを調べることもあります。
医師は脂質の値だけでなく、高血圧、糖尿病、家族に脂質の高い人がいるかなど、心臓や血管の病気のほかの危険因子もあわせて確認します。
中性脂肪を下げる食事
- 糖分と精製された炭水化物を控える:中性脂肪値が高い人は、大量の糖分、精製された小麦粉、でんぷん質の食べものを避ける必要があります。
- 野菜、果物、全粒穀物を中心に:食物繊維や栄養素が豊富です。オート麦、豆類、大麦、柑橘類、リンゴなどは水に溶ける食物繊維が多く含まれます。
- 脂肪の種類を選ぶ:オメガ3やオメガ6を含む多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸は、中性脂肪値とLDLコレステロール値を下げる働きがあります。植物油、ナッツ、脂の多い魚、オリーブ油、アボカドに含まれます。
- 飽和脂肪酸とトランス脂肪酸を減らす:赤身の肉、バターやクリームなどの全脂肪乳製品、加工食品を控えます。
- お酒を控える:飲酒量を減らすことで、中性脂肪値が下がることがよくあります。

運動と生活習慣の改善
- 定期的な運動:中性脂肪値を下げ、HDLコレステロール値を上げる効果があります。米国心臓協会は、週150分の中くらいの強さの運動、または週75分の強い運動などをすすめています。
- 減量:肥満がある場合は、体重を減らします。
- 禁煙:たばこを吸う人は禁煙します。
- 持病の管理:糖尿病がある場合は、きちんとコントロールすることが重要です。
遺伝的に中性脂肪が高くなる体質の人でも、必要に応じて体重を減らし、飲酒量と炭水化物の量を制限することで、たいていの場合は中性脂肪値が正常まで下がります。
薬による治療
食事や運動で十分に下がらない場合は、脂質を下げる薬が使われます。
- フィブラート系薬剤:中性脂肪値を下げる薬です。
- オメガ3脂肪酸の処方薬:中性脂肪値を下げる働きがあります。
- そのほか:コレステロールの値に合わせて、ほかの脂質低下薬が使われることもあります。
中性脂肪値が非常に高く、膵炎のリスクがある場合は、食生活の変更と、中性脂肪を下げる薬の両方が必要になります。薬の選択は、ほかの脂質の値や持病を踏まえて医師が判断します。

出典によって異なる点:オメガ3脂肪酸で心臓病は防げるか
MSDマニュアル家庭版は、オメガ3脂肪酸が中性脂肪値を下げる働きをもち、中性脂肪が非常に高い場合の薬の一つとしています。一方で、中性脂肪値が高いこと自体が心臓発作や脳卒中のリスクを高めるかどうかははっきりしないとしています。
コクランのシステマティックレビュー(Abdelhamidら、2020年)は、86件のランダム化試験(162,796人)をまとめました。魚に多い長鎖オメガ3脂肪酸をとると、血液中の中性脂肪は量に応じて約15%下がりました(確実性は高い)。しかし、全体の死亡、心血管の病気による死亡、心血管の病気の発生、脳卒中にはほとんど、またはまったく影響がなく、冠動脈の病気をわずかに減らす可能性があるにとどまりました。
つまり、オメガ3脂肪酸は中性脂肪の数値を下げますが、それがそのまま心臓病の予防につながるとは限りません。サプリメントに頼るより、食事全体と運動を見直すことが基本です。
中性脂肪のポイント
- 中性脂肪は体のエネルギー源となる脂肪で、150mg/dL以上は異常とされます。
- 運動不足、食べすぎ、多量の飲酒、糖尿病、一部の薬、遺伝などで高くなります。
- ふつうは症状がありませんが、非常に高いと膵炎などを起こすことがあります。
- 糖分や精製された炭水化物、お酒を控え、不飽和脂肪酸を選ぶことが大切です。
- 定期的な運動は中性脂肪を下げ、HDLコレステロールを上げます。
- 十分に下がらない場合は、フィブラート系薬剤やオメガ3脂肪酸などの薬が使われます。
中性脂肪についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
中性脂肪の基準値は?
中性脂肪値が150mg/dL(1.7mmol/L)以上は異常とされます。総コレステロールやLDL・HDLコレステロールとあわせて血液検査で測ります。
中性脂肪が高くなる原因は?
運動不足、食べすぎ、糖分や精製された炭水化物のとりすぎ、多量の飲酒、コントロールが不十分な糖尿病、慢性腎臓病、一部の薬、遺伝的な体質などが原因になります。
中性脂肪を下げる食べものは?
野菜、果物、全粒穀物を中心にし、脂の多い魚、ナッツ、オリーブ油などの不飽和脂肪酸を選びましょう。大量の糖分、精製された小麦粉、でんぷん質の食べものは控えます。
お酒は中性脂肪に影響しますか?
はい。多量の飲酒は中性脂肪を上げる原因になります。飲酒量を減らすことで、中性脂肪値が下がることがよくあります。
中性脂肪が高いと症状はありますか?
ふつうは症状がありません。ただし、非常に高くなると、膵炎による激しい腹痛や、皮膚の黄色いこぶ(発疹性黄色腫)などが起こることがあります。
魚の油のサプリメントは効きますか?
オメガ3脂肪酸は中性脂肪を約15%下げますが、研究では死亡や心血管の病気の予防にはほとんど影響がないと報告されています。食事と運動の見直しが基本です。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 脂質異常症
- Abdelhamid AS, et al. Omega-3 fatty acids for the primary and secondary prevention of cardiovascular disease. Cochrane Database Syst Rev. 2020
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

