マグネシウムとは?
ミネラルは、体の細胞が正常に働くために必要な栄養素です。そのうち、体が比較的多く必要とするものを多量ミネラルと呼び、マグネシウムもその一つです。骨、筋肉、心臓、脳の働きは、多量ミネラルに支えられています。
マグネシウムは「電解質」の一つでもあります。電解質は、血液などの液体に溶けると電気を帯びるミネラルで、神経や筋肉の働きや、体の水分と酸・塩基のバランスを調整しています。
体内のマグネシウムの多くは電気を帯びておらず、タンパク質と結びついているか、骨に蓄えられています。体内のマグネシウムの約半分は骨にあり、血液中に含まれる量はごくわずかです。
マグネシウムの体内での働き
- 骨や歯をつくる:骨や歯の形成に欠かせません。
- 神経と筋肉を働かせる:神経や筋肉が正常に働くために必要です。
- 酵素を働かせる:体内のさまざまな酵素は、マグネシウムがないと正常に働きません。
- ほかのミネラルとの関係:カルシウムやカリウムの代謝にも関わっています。
血液中のマグネシウムの濃度は、食べものからどれだけ吸収し、尿や便からどれだけ出すか、そして体内にどれだけ蓄えられているかによって決まります。
1日に必要な量と、多く含む食品
- 推奨量:成人の女性で1日320mg、男性で1日420mgです。血液中のマグネシウム濃度を正常に保つには、成人で1日310〜420mgが必要とされています。
- 多く含む食品:葉物の緑色野菜、ナッツ類、穀物、豆類、トマト製品などです。
推奨量は、健康な人の大部分が健康を保つのに必要な1日の量を表したもので、病気がある場合は必要な量が増えたり減ったりすることがあります。
さまざまな食品を含むバランスのよい食事をとっている人は、一部のミネラルを除いて、重いミネラル不足になることはあまりありません。ただし、食事を厳しく制限している人などでは、不足することがあります。

マグネシウムが不足する原因(低マグネシウム血症)
血液中のマグネシウムが少なくなりすぎた状態を、低マグネシウム血症といいます。最も多い原因は、飢餓状態などで摂取量が少ない場合や、腸から栄養素をうまく吸収できない場合です。
- 大量の飲酒:食事量が減るうえ、マグネシウムの排出量が増えます。
- 長引く下痢:便からの排出量が増えます。
- 一部の薬:利尿薬などで排出量が増えるほか、胃酸を抑えるプロトンポンプ阻害薬を長く使うことも原因になります。
- ホルモンの異常:一部のホルモンが多すぎると、排出量が増えます。
- 授乳:マグネシウムの必要量が増えます。
マグネシウムが不足したときの症状
- 吐き気、嘔吐、食欲不振
- 眠気、脱力
- 人格の変化
- 筋肉のけいれん、ふるえ
重い低マグネシウム血症では、けいれん発作が起こることがあり、とくに子どもでよくみられます。
低マグネシウム血症は、血液検査でマグネシウムの値を測って診断します。カルシウムやカリウムの値が低くなっていることもあります。原因を調べるために、ほかの検査が必要になることもあります。
低マグネシウム血症の治療
- 飲み薬で補う:症状がある場合や、低マグネシウム血症が続く場合は、マグネシウムを口から補います。
- 注射で補う:マグネシウムが非常に少なく症状が重い場合や、口からとれない場合は、筋肉や静脈への注射で補います。
- ほかの電解質も整える:カルシウムやカリウムの不足があれば、あわせて補正します。
- 原因の治療:低マグネシウム血症の原因となっている病気を治療します。
アルコール使用症のある人には、通常、マグネシウムが補充されます。マグネシウムの補い方や量は、自己判断ではなく医師の指示にしたがいましょう。
マグネシウムのとりすぎ(高マグネシウム血症)
血液中のマグネシウムが多くなりすぎた状態を、高マグネシウム血症といいます。まれな状態で、ふつうは次のような場合に起こります。
- 腎不全のある人が、マグネシウムを含むものをとっている場合
- マグネシウム(エプソム)塩の投与を受けている場合
- マグネシウムを含む薬(一部の胃薬や下剤など)を使っている場合
高マグネシウム血症では、筋力の低下、血圧の低下、呼吸の障害が起こることがあり、重い場合は心臓が止まることもあります。血液検査で診断し、重い場合は、マグネシウムの毒性を打ち消す注射や、腎臓からの排出を増やす薬、透析などで治療します。
サプリメントと下剤の注意点
- 大量のサプリメント:医師の指導なしにミネラルのサプリメントを大量にとると、有害な影響が出ることがあります。多量ミネラルも微量ミネラルも、とりすぎると有害です。
- マグネシウムを含む下剤:便秘に使われる浸透圧性下剤のうち、マグネシウムを含むものは一部が血液中に吸収されます。高齢者、腎臓の病気がある人、腎臓の働きに影響する薬を飲んでいる人では、害になることがあります。
- 持病がある人:腎臓の病気がある人は、マグネシウムを含むサプリメントや市販薬を使う前に、必ず医師や薬剤師に相談しましょう。
マグネシウムは、まず食事からとることが基本です。血液や尿の検査でミネラルの濃度を測ることで、不足や過剰があるかを確かめることができます。
出典によって異なる点:マグネシウムのサプリメントで血圧は下がるか
MSDマニュアル家庭版は、マグネシウムの働きと推奨量、不足や過剰で起こる病気について説明していますが、健康な人や高血圧の人がサプリメントをとることの効果については触れていません。
Zhangらのメタアナリシス(2016年)は、成人を対象にマグネシウムのサプリメントと偽薬を比べた34件の二重盲検ランダム化試験(2,028人)をまとめました。1日約370mgを約3か月とると、上の血圧が平均2.0mmHg、下の血圧が平均1.8mmHg下がり、1日300mgまたは1か月でも血液中のマグネシウムが上がって血圧が下がる効果がみられました。ただし、試験のあいだのばらつきが残っている可能性があるとしています。
血圧の下がり方は小さく、サプリメントが高血圧の治療の代わりになるわけではありません。腎臓の病気がある人ではとりすぎの危険もあるため、サプリメントを使う場合は医師に相談しましょう。
マグネシウムのポイント
- マグネシウムは、骨や歯をつくり、神経や筋肉、酵素を正常に働かせるのに欠かせないミネラルです。
- 成人の推奨量は女性で1日320mg、男性で420mgで、葉物野菜、ナッツ類、穀物、豆類などに多く含まれます。
- 大量の飲酒、長引く下痢、一部の薬などで不足し、吐き気、脱力、筋肉のけいれんなどが起こります。
- とりすぎ(高マグネシウム血症)はまれですが、腎臓の病気がある人がマグネシウムを含む薬をとると起こりえます。
- 医師の指導なしにサプリメントを大量にとると有害なことがあります。
- サプリメントで血圧がわずかに下がるという研究はありますが、治療の代わりにはなりません。
マグネシウムについてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
マグネシウムは1日にどのくらい必要ですか?
成人の推奨量は、女性で1日320mg、男性で1日420mgです。病気がある場合などは、必要な量が変わることがあります。
マグネシウムを多く含む食べものは?
葉物の緑色野菜、ナッツ類、穀物、豆類、トマト製品などに多く含まれます。さまざまな食品を含むバランスのよい食事を心がけましょう。
マグネシウムが不足するとどうなりますか?
吐き気、嘔吐、眠気、脱力、筋肉のけいれん、ふるえ、食欲不振などが起こることがあります。重い場合はけいれん発作が起こることもあり、とくに子どもでよくみられます。
マグネシウムが不足しやすいのはどんな人ですか?
大量に飲酒する人、下痢が長引いている人、利尿薬や胃酸を抑える薬を長く使っている人、腸からの吸収に問題がある人、授乳中の人などです。
マグネシウムのサプリメントはとりすぎても大丈夫ですか?
医師の指導なしにミネラルのサプリメントを大量にとると、有害なことがあります。とくに腎臓の病気がある人は、とりすぎで筋力低下や血圧の低下、呼吸の障害が起こるおそれがあるため、必ず医師に相談してください。
マグネシウムで血圧は下がりますか?
研究では、1日約370mgのサプリメントを約3か月とると、血圧が平均2mmHgほど下がると報告されています。効果は小さく、高血圧の治療の代わりにはなりません。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 体内でのマグネシウムの役割の概要
- MSDマニュアル家庭版 · 低マグネシウム血症
- MSDマニュアル家庭版 · 高マグネシウム血症
- MSDマニュアル家庭版 · ミネラルの基礎知識
- Zhang X, et al. Effects of magnesium supplementation on blood pressure: a meta-analysis of randomized double-blind placebo-controlled trials. Hypertension. 2016
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

