閉所恐怖症とは?
閉所恐怖症は、閉鎖された空間に対する恐怖で、限局性恐怖症の一つです。限局性恐怖症では、特定の状況、環境、対象に対して、現実に見合わない激しい不安や恐怖が続きます。
本人は不安が過剰だと自覚していて、自分に何らかの問題があることに気づいています。
限局性恐怖症はどのくらいみられる?
限局性恐怖症はよくみられる不安症の一つで、1年間に女性の約8%、男性の約3%が経験します。
- 多いものに、動物、高い所、雷雨への恐怖があります。
- 少なくとも5%の人が血液や注射、けがに恐怖を感じ、血液検査や予防接種を避けている可能性があります。
- 限局性恐怖症のある人には、2つ以上の恐怖症がみられることがよくあります。
閉所恐怖症の症状
特定の対象や状況に向き合ったとき、強い恐怖や不安を感じます。その恐怖に対処するため、状況を避けるようになることがあります。
避けられない場合は、強い苦痛を感じながら耐え、ときにパニック発作を起こすこともあります。
閉所恐怖症では、エレベーターなど閉ざされた空間が対象になります。怖い状況に出会うとすぐに恐怖が起こるのが特徴です。
日常生活への影響
限局性恐怖症の中には、ほとんど不都合が生じないものもあります。たとえば、都市に住む人にとっては、ヘビが怖くてもヘビを避けるのは簡単です。
一方、都市に住む人がエレベーターを怖がる場合は、エレベーターに頻繁に出会うため、日常的に難しい選択を迫られます。大事な仕事の場面を避けるか、たくさんの階段を上るか、強い居心地の悪さを感じながらエレベーターに乗るかです。
閉所恐怖症の診断
医師が、心の病気の標準的な診断基準にもとづいて評価します。次のすべてに当てはまる恐怖や不安がある場合に診断されます。
- 強く、6カ月以上続いている
- 特定の状況や対象に関係している
- その状況や対象に出会うとすぐに起こる
- その状況や対象を避けるようになる
- 実際の危険と釣り合っていない
- 強い苦痛か、日常生活への大きな支障がある
似た症状の病気と合併する病気
診断の際には、広場恐怖症、社交不安症、ストレスに関連する病気など、似た症状を起こすほかの心の病気ではないことを確かめます。
限局性恐怖症は、ほかの不安症、うつ病、双極症、物質関連の問題、身体症状症、パーソナリティ症(特に依存性パーソナリティ症)などと一緒に起こることもあります。
治療の中心:曝露療法
精神療法の一つである曝露療法が、第一選択の治療です。怖いものに、想像の中で、ときには実際に、少しずつくり返し向き合います。向き合う前と最中には、リラクゼーションや呼吸法を使えるように練習します。
不安を感じる状況でも十分に落ち着いていられるようになるまでくり返します。精神療法の専門家に確認してもらいながら進めることも、一人で行うこともできます。
たとえば注射や採血が怖い人なら、まず診療所を訪れる(またはそばを歩く)ことから始め、次に採血の予定なしに診察室に座り、さらに針を皮膚の近くまで近づける、というように段階を進め、最終的に採血を受けられるようにします。段階の進め方は速くても、ゆっくりでもかまいません。閉所恐怖症でも、同じように少しずつ段階を進めます。
きちんと続けた人の90%以上で効果がみられ、限局性恐怖症では、ほぼ常にこの方法だけで十分です。怖い状況をたやすく避けられる場合は、治療しなくても問題なく暮らせる人もいます。

薬の役割
限局性恐怖症を克服するために、薬はあまり役立ちません。
例外として、飛行機が怖い人が搭乗前に抗不安薬(ベンゾジアゼピン系)を使うことがあります。この薬だけで恐怖症がなくなることは基本的にありませんが、飛行機に乗れるようにはなります。人前でのスピーチなど、不安を引き起こす出来事の直前にベータ遮断薬が使われることもあります。
出典によって異なる点:曝露療法の進め方
MSDマニュアル家庭版は、曝露療法を第一選択とし、想像の中でも実際にも行えるとしていますが、方法ごとの効果の違いや、必要な回数には触れていません。
33件のランダム化試験をまとめたメタアナリシス(Wolitzky-Taylorら、2008年)は、曝露療法は無治療と比べて大きな効果があり、偽の治療やほかの心理療法より優れていたと報告しました。実際に怖い対象に向き合う方法は、想像やバーチャルリアリティによる方法より治療直後の効果が大きかったものの、その後の追跡時点では差がありませんでした。また、セッションの回数が多いほど結果がよい傾向があり、恐怖症の種類によって効果は変わりませんでした。
つまり、閉所恐怖症でも曝露療法が最も勧められ、回数を重ねて取り組むことが大切です。
閉所恐怖症のポイント
- 閉所恐怖症は、閉鎖された空間に対する限局性恐怖症の一つです。
- 限局性恐怖症は、1年間に女性の約8%、男性の約3%が経験します。
- 怖い状況を避けたり、強い苦痛を感じながら耐えたりし、パニック発作が起こることもあります。
- 6カ月以上続き、強い苦痛や生活の支障がある場合に診断されます。
- 第一選択は曝露療法で、続けた人の90%以上で効果がみられます。
- 薬は特定の場面で補助的に使われるだけで、恐怖症そのものはあまり治しません。
閉所恐怖症についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
閉所恐怖症はどのくらいの人にありますか?
閉所恐怖症を含む限局性恐怖症は、1年間に女性の約8%、男性の約3%が経験します。
自分の恐怖が過剰だとわかっていても怖いのはなぜですか?
限局性恐怖症の人は、不安が過剰だと自覚していても、特定の状況で強い恐怖や不安を感じてしまいます。
どんなときに治療が必要ですか?
恐怖が6カ月以上続き、強い苦痛や日常生活への大きな支障がある場合です。エレベーターなど日常で避けにくい対象では、治療が必要になることがよくあります。
曝露療法とは何ですか?
怖い状況に、想像の中や実際に、少しずつくり返し向き合う治療です。リラクゼーションや呼吸法を組み合わせて行います。
曝露療法は一人でもできますか?
精神療法の専門家に確認してもらいながら進めることも、一人で行うこともできます。
薬で治りますか?
限局性恐怖症の克服に薬はあまり役立ちません。特定の場面の前に抗不安薬などを使うことはありますが、恐怖症そのものがなくなることは基本的にありません。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 限局性恐怖症
- Wolitzky-Taylor KB, et al. Psychological approaches in the treatment of specific phobias: a meta-analysis. Clin Psychol Rev. 2008
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

