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胃腸の不調 MediBilbao Salud

逆流性食道炎(胃食道逆流症)とは?症状・原因・治し方と食事

逆流性食道炎は、胃酸などの胃の中身が食道に逆流して、食道に炎症が起こる状態です。医学的には胃食道逆流症(GERD)という病気の中で扱われ、胃食道逆流症は成人の10〜20%にみられるよくある病気です。代表的な症状は、胸の奥が焼けるような胸やけです。原因、症状、合併症、検査、治療、そして食事や寝る姿勢など生活の工夫を整理します。

テーマ
栄養
更新日
読了時間
9分
監修
Itziar Gotxi Erezuma医師 · 耳鼻咽喉科専門医 · ビスカヤ県医師会 登録番号 484809757
食卓で胸に手を当てて不快そうにしている人
逆流性食道炎の代表的な症状は、胸の奥が焼けるような胸やけです。AIで作成したイラストです。

逆流性食道炎(胃食道逆流症)とは?

食道は、のどと胃をつなぐ管です。食道の一番下には輪のような筋肉(下部食道括約筋)があり、ふだんは閉じて胃の中身が逆流しないようにふたをしています。飲み込んだときだけゆるみ、食べものを胃へ通します。

胃の内側は、強い酸から身を守る粘膜で覆われています。ところが食道にはそのような守りがないため、胃酸や胆汁が逆流してくると症状が出たり、食道が傷ついたりします。胃の中身が食道に逆流して胸やけなどを起こす病気を胃食道逆流症(GERD)といい、逆流によって食道に炎症が起きた状態が逆流性食道炎(食道炎)です。

胃食道逆流症は成人の10〜20%にみられるよくある病気で、赤ちゃんにも多く、生まれたときから始まることもあります。

逆流性食道炎の原因

逆流は、下部食道括約筋がうまく働かないときに起こります。立ったり座ったりしているときは重力のおかげで胃の中身が上がりにくいのですが、横になると逆流しやすくなります。また、食後すぐは胃の中身が多く、酸も強いうえ、括約筋がうまく働きにくいため、逆流が起こりやすい時間帯です。

逆流を起こしやすくする要因として、次のようなものが挙げられています。

  • 体重が増えること
  • 脂肪の多い食事
  • カフェインの入った飲みものや炭酸飲料
  • アルコール
  • 喫煙
  • 一部の薬(抗コリン作用のある薬〈多くの抗ヒスタミン薬や一部の抗うつ薬など〉、カルシウム拮抗薬、プロゲステロン、硝酸薬など)

糖尿病やオピオイド系の薬などのために胃の中身が送り出されるのが遅い場合も、逆流が悪化しやすくなります。

逆流性食道炎の症状

いちばんわかりやすい症状は胸やけで、胸骨の裏あたりが焼けるように痛みます。胸やけと一緒に、胃の中身が口まで上がってくることもあります。

  • 胸やけ(胸骨の裏の焼けるような痛み)
  • 胃の中身が口まで上がってくる
  • のどの痛み、声がれ、せき、のどに何かが詰まっているような違和感
  • まれに、胃の中身が肺に入ることによるせきやゼーゼーする呼吸(喘鳴)
  • 長く続いた場合の、飲み込みにくさ

のどの症状は、逆流した胃の中身が口やのどまで届くことで起こります。胸やけを長く抱えている人では、だんだん物が飲み込みにくくなることがあります。

逆流性食道炎の合併症と受診の目安

食道の下の部分が長い期間くり返し胃酸にさらされると、次のような変化が起こることがあります。

  • 食道の炎症(食道炎)や、粘膜がただれて傷つく潰瘍(びらん性食道炎・食道潰瘍)
  • 食道が狭くなる食道狭窄
  • 食道の表面の細胞が変化するバレット食道(がんの前段階になることがある)

炎症が強いと、飲み込むときに痛みを感じます。潰瘍ができると、飲み込んだときに胸やけと同じ場所に胸の痛みが出ます。食道が狭くなると、固形の食べものが少しずつ通りにくくなります。出血は多くはわずかですが、大量になることもあり、血を吐いたり、黒いタールのような便や、出血が多ければ赤い便が出たりします。わずかな出血が長く続くと、鉄欠乏性貧血になることもあります。バレット食道は、症状がなくても起こることがあります。

血を吐いた、黒い便が出た、飲み込みにくさや飲み込むときの痛みがある、治療しても症状がよくならない、症状が長く続いている、といった場合は医療機関を受診してください。

逆流性食道炎の検査と診断

症状から胃食道逆流症と判断できる場合は、検査をせずに治療を始めることもあります。検査は、診断がはっきりしないとき、治療しても症状がよくならないとき、長く症状が続いているときに行うのが一般的です。

  • 内視鏡検査(胃カメラ):最初に行われることが多い検査で、食道炎、潰瘍、狭窄、がん、バレット食道を見つけるのに最も適しています。必要に応じて組織を少し採り、顕微鏡で調べます(生検)。
  • 食道pH検査:先端にセンサーのついた細い管を鼻から食道の下まで入れ、通常24時間、食道の酸の強さを記録します。逆流の程度と、症状が逆流と関係しているかがわかります。手術を考える場合には必ずすすめられます。管が苦手な人には、小さなカプセル型の測定器を食道に取りつける方法もあります。
  • 食道内圧検査:下部食道括約筋の締まり具合や、食道の筋肉が食べものを押し進める力を測り、手術が適しているかの判断に役立てます。
のどに手を当てて医師に症状を説明する人
症状が長引くときや治療で改善しないときは、内視鏡などの検査を行います。AIで作成したイラストです。

逆流性食道炎の治し方:胃酸を抑える薬

治療の中心は、胃酸の分泌を抑える薬です。

  • プロトンポンプ阻害薬(PPI):胃酸を最も強く抑える薬で、胃食道逆流症や食道炎の治療で通常いちばん効果的です。治すには一般に4〜12週間飲み続けます。長く続ける必要がある場合は、できるだけ少ない量を試みます。
  • H2受容体拮抗薬:胃酸を抑える別の種類の薬で、症状が軽い人に効果的です。
  • カリウムイオン競合型アシッドブロッカー:胃酸を抑えるもう一つの種類の薬で、使えるかどうかは国によって異なります。
  • 消化管運動機能改善薬:食べものが食道や胃、腸を進む動きを助ける薬で、PPIほどの効果はありませんが、組み合わせて使われることがあります。

薬の量や飲む期間は症状や食道の状態によって変わるため、医師に相談しながら調整します。

狭窄の治療・手術とバレット食道

食道が狭くなっている場合は、風船(バルーン)や管を使って狭い部分を広げる治療をくり返します。うまく広がれば、食べられるものが大きく制限されることはなくなります。

薬の副作用に耐えられない人、酸性ではないものの大量の逆流がある人、潰瘍や出血、大きなヘルニア、重い食道炎がある人、何年も薬を飲み続けることを望まない人では、手術が選択肢になります。腹腔鏡を使って行う体への負担が少ない手術(噴門形成術)がありますが、飲み込みにくさや食後のお腹の張り・不快感などが起こる人もいます。

バレット食道は、胃酸を抑える薬を使っても消えることはまれです。細胞ががんの前段階に変化している場合は、内視鏡で高周波(ラジオ波)や冷凍、レーザーを使って異常な組織を壊す治療、あるいは手術で切除する方法があります。治療後も異常な細胞が残ることがあるため、定期的に内視鏡検査を受けてがんへ進んでいないかを確かめます。

逆流性食道炎の食事と生活の工夫

薬と並んで、毎日の生活の工夫も逆流を減らす助けになります。一般によくすすめられているのは次のような方法です。

  • ベッドの頭側を高くする:ベッドの頭側の脚の下に15〜20cmほどのブロックを置く、くさび形のクッションを使う、マットレスの下にくさび形のものを入れるなどして、頭側を15cmほど高くすると、寝ている間の逆流を防ぎやすくなります。
  • 寝る前3時間は食べない:食後すぐは逆流が起こりやすいため、就寝前の食事を避けます。
  • 体重を減らす:過体重の人や最近体重が増えた人は、減量がすすめられます。
  • 症状を起こしやすい飲食物を控える:カフェイン、アルコール、脂肪の多い食べもの、チョコレート、オレンジジュースなど酸を含む飲みもの、コーラ、酢を使ったドレッシングなどは、胃酸を増やしたり胃の中身の排出を遅らせたりするとして、控えるよう助言されることがあります。
  • たばこをやめる・薬を見直す:喫煙をやめ、症状を悪化させる薬を使っている場合は医師に相談します。

ただし、これらの方法すべてに同じだけの根拠があるわけではありません。次の章で、研究結果との違いを紹介します。

落ち着いた様子で夕食をとる人
寝る前3時間は食事を控えると、夜間の逆流を防ぎやすくなります。AIで作成したイラストです。

出典によって異なる点:生活習慣の改善はどこまで効くか

MSDマニュアル家庭版は、ベッドの頭側を高くする、寝る前3時間は食べない、体重を減らすことに加えて、カフェイン、アルコール、脂肪の多い食べもの、チョコレート、酸を含む飲みものなどを避け、喫煙をやめるよう助言しています。

Kaltenbachらの系統的レビュー(2006年)は、生活習慣の改善の効果を調べた研究をまとめました。たばこ、アルコール、チョコレート、脂肪の多い食事が下部食道括約筋の締まりを弱めるという生理学的なデータはあるものの、食事の工夫で効果があったという研究は見つかりませんでした。禁煙や禁酒でも、食道の酸の状態や症状の改善はみられませんでした。一方で、減量は食道の酸の状態と症状を改善し、ベッドの頭側を高くすることと左側を下にして横になることは、食道が強い酸にさらされる時間を短くしていました。

このレビューは、減量とベッドの頭側を高くすることを効果のある生活習慣の改善とし、禁煙・禁酒やそのほかの食事の工夫で改善するという根拠はないと結論づけています。

逆流性食道炎のポイント

  • 逆流性食道炎は、胃酸などが食道に逆流して炎症を起こす状態で、胃食道逆流症(GERD)は成人の10〜20%にみられます。
  • 胃と食道の境目の筋肉(下部食道括約筋)がうまく働かないことが原因で、体重増加、脂肪の多い食事、喫煙、一部の薬などが逆流を起こしやすくします。
  • 代表的な症状は胸やけと、胃の中身が口まで上がってくる感じで、のどの痛みやせき、声がれが出ることもあります。
  • 血を吐く、黒い便、飲み込みにくさや飲み込むときの痛みがあれば、早めの受診が必要です。
  • 治療の中心はプロトンポンプ阻害薬などの胃酸を抑える薬で、必要に応じて手術が検討されます。
  • 生活の工夫では、減量とベッドの頭側を高くすることの効果が研究で確かめられています。

逆流性食道炎についてよくある質問

回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。

逆流性食道炎の原因は何ですか?

胃と食道の境目にある筋肉(下部食道括約筋)がうまく働かず、胃酸などが食道に戻ることが原因です。体重の増加、脂肪の多い食事、カフェインやアルコール、喫煙、一部の薬などが逆流を起こしやすくします。

胸やけ以外にどんな症状がありますか?

胃の中身が口まで上がってくる感じ、のどの痛み、声がれ、せき、のどの違和感などがあります。長く続くと、飲み込みにくくなることもあります。

逆流性食道炎は治りますか?

プロトンポンプ阻害薬などの胃酸を抑える薬で治療し、治すには一般に4〜12週間ほど飲み続けます。長く続ける必要がある場合は、医師ができるだけ少ない量を試みます。

寝るときに気をつけることは?

寝る前3時間は食べないこと、ベッドの頭側を15cmほど高くすることがすすめられます。研究では、頭側を高くすることと左側を下にして横になることで、食道が酸にさらされる時間が短くなっていました。

食べてはいけないものはありますか?

カフェイン、アルコール、脂肪の多い食べもの、チョコレート、酸を含む飲みものなどを控えるよう助言されることがあります。ただし研究のまとめでは、食事の工夫で改善するという根拠は見つかっておらず、効果が確かめられているのは減量とベッドの頭側を高くすることです。

手術が必要になるのはどんなときですか?

薬の副作用に耐えられない場合、大量の逆流がある場合、潰瘍や出血、大きなヘルニア、重い食道炎がある場合、長く薬を飲み続けたくない場合などです。腹腔鏡を使った噴門形成術が行われます。

出典

  1. MSDマニュアル家庭版 · 胃食道逆流症(GERD)
  2. Kaltenbach T, Crockett S, Gerson LB. Are lifestyle measures effective in patients with gastroesophageal reflux disease? An evidence-based approach. Arch Intern Med. 2006

このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。