セリアック病とは?
セリアック病は、小麦、大麦、ライ麦に含まれるたんぱく質のグルテンに対する遺伝性の不耐症です。グルテンを食べると小腸の粘膜に炎症が起こり、栄養をうまく吸収できなくなります(吸収不良)。
世界人口の最大1.4%にみられる病気ですが、アフリカ、日本、中国ではきわめてまれです。患者の近親者では約7.5%が発症し、女性は男性の2倍多くみられます。
小腸で起こること
グルテン(主に小麦に含まれ、大麦やライ麦には比較的少ない)が免疫を刺激して、特定の抗体が作られます。この抗体が小腸の粘膜を傷つけ、栄養を吸収する小さな突起(絨毛)を平らにしてしまいます。
その結果、粘膜の表面がなめらかになり、栄養素がうまく吸収されなくなります。グルテンを含む食べ物をやめると、小腸の正常な表面と働きは元に戻ります。
大人の症状
子どものころに症状が出る人も、大人になるまで出ない人もいます。症状の重さは、小腸がどれだけ侵されたかによって異なります。多くの大人では、おなかの症状がまったく現れません。
- 筋力の低下と食欲不振
- 下痢(しばしば脂っぽく見える便)
- 低栄養、軽い体重減少、貧血
- 口内炎や舌の炎症
- 骨が細くなる(骨粗しょう症・骨減少症)
- 小さな水ぶくれを伴う、痛くかゆい発疹(疱疹状皮膚炎、約7%)
- 男女とも、妊娠しにくくなることがある
子どもの症状
子どもでは、乳児期や幼児期にシリアル(ほとんどにグルテンが含まれる)を食べ始めると、症状が現れることがあります。軽い胃の不調だけのこともあれば、痛みを伴うおなかの張りや、色が薄く強い悪臭のある大量の便(脂肪便)がみられることもあります。
- 成長が遅れる、低身長
- 弱々しく青白く、元気がない
- 鉄不足による貧血と疲れやすさ
- たんぱく質の不足によるむくみ
- ビタミンB12の吸収不良による、腕や脚のチクチク感などの神経の症状
セリアック病の検査
- 抗体検査:グルテンを食べたときに作られる特定の抗体の量を測ります。
- 小腸の生検:小腸の粘膜の組織を採って顕微鏡で調べます。絨毛が平らになっている場合や、グルテンをやめたあとに粘膜が大きく改善した場合に、診断が確定します。
- 遺伝子検査:特定の遺伝子の変化がない人が発症する可能性は非常に低いため、調べることがあります。ただし、この変化はセリアック病でない人にも多くみられるため、陽性でも診断は確定しません。
- ビタミン・ミネラルの検査:診断後、葉酸、鉄、カルシウムなどの不足を調べます。

グルテン除去食の基本
少量のグルテンでも症状が出ることがあるため、グルテンを含む食べ物はすべて避けなければなりません。効果は通常すぐに現れ、症状は1〜2週間で回復します。
グルテンはさまざまな食べ物に広く含まれているため、避けるべき食品の詳しいリストと、栄養士の助言が必要です。グルテン除去食を始めて3〜6カ月後に、もう一度生検を行います。

ビタミンとミネラルの補給
ほとんどの人に、葉酸などのビタミンや、鉄などのミネラルを補うサプリメントが使われます。
診断のときに非常に重い状態になっている子どもでは、グルテン除去食を始める前に、しばらく点滴で栄養をとる期間が必要になることがあります。
症状が続く場合と合併症
グルテンを避けても症状が続く場合は、診断が正確でなかったか、難治性セリアック病という状態に進んだかのどちらかです。難治性セリアック病には、副腎皮質ステロイドによる治療が役立つことがあります。
セリアック病は消化管の特定のがんのリスクを高め、最も多いのは小腸のリンパ腫です。セリアック病が長く(一般に20〜40年以上)続いた人の約6〜8%に起こります。グルテンを決してとらないことで、がんのリスクは大きく下がります。診断も治療もされないと死に至ることもありますが、現在ではまれで、グルテンを避けることで多くの人が健康に暮らしています。
出典によって異なる点:どのくらいの人がかかるか
MSDマニュアル家庭版は、セリアック病は世界人口の最大1.4%にみられるとし、日本や中国ではきわめてまれとしています。
世界の有病率を調べたシステマティックレビューとメタアナリシス(Singhら、2018年)では、抗体検査で陽性となる人の割合は1.4%(275,818人)でしたが、生検で確定した割合は0.7%(138,792人)でした。地域別では、南米0.4%、アフリカと北米0.5%、アジア0.6%、ヨーロッパとオセアニア0.8%で、女性のほうが男性より多くみられました。著者らは、多くの国で住民を対象とした調査が必要だとしています。
つまり、「1.4%」は抗体検査による数字で、生検で確かめた患者はその約半分です。日本ではきわめてまれとされている点とあわせると、地域による差が大きい病気だといえます。
セリアック病のポイント
- セリアック病は、グルテンに対する遺伝性の病気で、小腸が傷ついて栄養が吸収できなくなります。
- 日本ではきわめてまれですが、世界では抗体検査で約1.4%にみられます。
- 下痢、体重減少、貧血、骨粗しょう症、子どもの成長の遅れなどが起こります。
- 抗体検査と小腸の生検で診断します。
- 治療の柱は、生涯にわたるグルテン除去食と栄養の補給です。
- グルテンを避けることで、がんのリスクも大きく下がります。
セリアック病についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
セリアック病とは何ですか?
小麦、大麦、ライ麦に含まれるグルテンに対する遺伝性の不耐症で、小腸の粘膜が傷ついて栄養の吸収が悪くなる病気です。
日本人もなりますか?
日本ではきわめてまれとされています。世界全体では、抗体検査で約1.4%、生検で確定した人で約0.7%にみられます。
どんな症状がありますか?
大人では下痢、体重減少、貧血、筋力の低下などがあり、おなかの症状がない人も多くいます。子どもでは脂肪便や成長の遅れがみられます。
どうやって診断しますか?
特定の抗体を測る血液検査と、小腸の粘膜を調べる生検で診断します。
少しならグルテンを食べても大丈夫ですか?
少量でも症状が出ることがあるため、グルテンを含む食べ物はすべて避ける必要があります。
グルテン除去食の効果はいつ出ますか?
効果は通常すぐに現れ、症状は1〜2週間で回復します。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · セリアック病
- Singh P, et al. Global prevalence of celiac disease: systematic review and meta-analysis. Clin Gastroenterol Hepatol. 2018
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

