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胃腸の不調 MediBilbao Salud

過敏性腸症候群(IBS)とは?症状・原因・食事と治し方

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛とともに便秘や下痢をくり返す腸の病気です。内視鏡や血液検査などでは目に見える異常が見つからないのが特徴で、腸の動きや腸の神経の感じやすさ、脳による腸の調節がうまくいかなくなることで起こると考えられています。症状、きっかけ、診断、食事の工夫、薬などの治療を整理します。

テーマ
栄養
更新日
読了時間
8分
監修
Itziar Gotxi Erezuma医師 · 耳鼻咽喉科専門医 · ビスカヤ県医師会 登録番号 484809757
台所のテーブルでお腹に手を当てて座る人
過敏性腸症候群では、腹痛と便秘や下痢がくり返し起こります。AIで作成したイラストです。

過敏性腸症候群(IBS)とは?

過敏性腸症候群は、腹痛と、便秘や下痢をくり返す消化管の病気で、多くの人にみられます。かかりつけ医を受診する理由としてもよくあるものの一つです。

腸の動き、腸の神経の感じやすさ、あるいは脳がこれらの働きを調節するしくみがうまくいかなくなることで起こります。ただし、内視鏡検査、画像検査、組織の検査、血液検査などでわかるような、形の異常は見つかりません。そのため、症状の特徴をもとに診断されます。

多くは10代後半から20代に始まり、症状が出たり治まったりをくり返します。大人になってからも発症することはありますが、それほど多くはありません。

過敏性腸症候群の原因ときっかけ

はっきりした原因はわかっていません。多くの人では、消化管が刺激に対して非常に敏感になっていて、ほかの人なら気にならない程度の腸のガスや腸の動きでも不快に感じます。

症状のきっかけになりやすいものとして、次のようなものが挙げられています。

  • 食事の内容:カロリーや脂肪の多い食事。小麦、乳製品、豆類、チョコレート、コーヒー、お茶、一部の人工甘味料、アスパラガスやブロッコリーなどの野菜、アンズなどの果物で悪化すると感じる人もいます
  • 食べ方:急いで食べる、長く食事を抜いた後に食べる
  • 心の状態:ストレス、不安、気分の落ち込み、恐怖など
  • そのほか:ウイルス感染症、ホルモン

上に挙げた食べものの多くは、小腸で吸収されにくい炭水化物を含んでいます。吸収されなかった炭水化物は腸内細菌によって発酵してガスを生み、お腹の張りやガス、痛みの原因になります。ただし、きっかけがあっても症状が出ないこともあれば、はっきりしたきっかけなしに症状が出ることもよくあります。

過敏性腸症候群の症状

中心となる症状は、排便に関係した腹痛です。排便するとおさまる、排便の回数(便秘や下痢)や便の硬さの変化と連動して起こる、といった特徴があります。痛みは主に下腹部に現れ、鈍い痛みが続くこともあれば、差し込むような痛みが発作的に起こることもあります。

  • 腹痛(とくに下腹部)
  • 便秘、下痢、またはその両方をくり返す
  • 便が軟らかい、またはコロコロと硬い
  • お腹の張り、ガス
  • 吐き気、頭痛、疲れ、筋肉の痛み、眠りの問題、集中力の低下、気分の落ち込みや不安

症状はほとんどの場合、起きているあいだに起こり、眠っている人が痛みで目を覚ますことはまれです。

受診の目安と、注意したい症状

過敏性腸症候群の人は、多くの場合ふだんは健康に見えます。しかし、次のような症状は過敏性腸症候群ではあまりみられないため、ほかの病気が隠れていないかを調べる必要があります。

  • 発熱
  • 便に血が混じる
  • 意図しない体重減少
  • 嘔吐
  • 45歳以上になってから始まった、または大きく変わったお腹の症状

すでに過敏性腸症候群と診断されている人でも、とくに45歳を過ぎると、虫垂炎、胆のうの病気、潰瘍、がんなど、別の消化管の病気が起こることがあります。症状が大きく変わったときや、いつもと違う症状が出たときは、改めて受診してください。

過敏性腸症候群の診断(ローマ基準)

診断は症状の特徴にもとづいて行い、「ローマ基準」と呼ばれる国際的な基準が使われます。過去3か月間に、少なくとも週1回腹痛があり、さらに次のうち2つ以上に当てはまる場合に、過敏性腸症候群と診断されます。

  • 痛みが排便に関係している
  • 痛みが排便の回数の変化(便秘や下痢)と連動している
  • 痛みが便の硬さの変化と連動している

診察では、大腸の上を押すと痛むことがある以外は、通常異常は見つかりません。似た症状を起こすクローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、顕微鏡的大腸炎、感染症、がんなどと区別するため、血液検査などが行われます。発熱や血便などがある人には画像検査を、45歳以上の人には腫瘍やポリープがないかを確かめるために大腸内視鏡検査を行うのが一般的です。ストレスや不安、気分の状態についても尋ね、下剤の使いすぎがないかも確認します。

医師に症状を説明し、医師がメモを取っている様子
診断は症状の特徴をもとに、ローマ基準を使って行います。AIで作成したイラストです。

過敏性腸症候群の食事①:食べ方と食物繊維

治療は人によって異なりますが、まずは食事と生活の見直しから始めます。特定の食べものやストレスで症状が出ているとわかっている場合は、できるだけそれを避けます。

  • 少量ずつ回数を分ける:1日3回たくさん食べるより、1日5〜6回に分けて少しずつ食べると楽になる人が多くいます。
  • ゆっくり食べる:いつもよりゆっくり食事をとります。
  • ガスの出やすい食品を控える:お腹の張りやガスが多い人は、豆類やキャベツなど消化しにくい食品を控えます。
  • 甘味料と果糖:ガムなどに使われる人工甘味料ソルビトールのとりすぎを避け、果物などに含まれる果糖は少なめにします。
  • 乳製品:乳糖をうまく消化できない人は、乳製品の量をほどほどにします。
  • 脂肪:脂肪の少ない食事が助けになることもあります。

便秘には、食物繊維と水分を増やすことが役立ちます。オオバコの食物繊維のサプリメントを、コップ2杯の水と一緒にとる方法もあります。ただし、食物繊維を増やすと、ガスやお腹の張りが強くなることがあります。また、定期的な運動は、とくに便秘になりやすい人で腸の働きを保つのに役立ちます。

サラダなどの料理を前に、専門職と食事について話し合う人
食事の工夫は、専門家と相談しながら進めるとよいでしょう。AIで作成したイラストです。

過敏性腸症候群の食事②:低FODMAP食

FODMAP(フォドマップ)とは、発酵しやすいオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオールという、特定の炭水化物の英語の頭文字をとった言葉です。これらは小腸で吸収されにくく、腸内細菌によってすばやく発酵してガスを生むため、お腹の張りや痛みの原因になります。

FODMAPを多く含む食品を控えると、症状が軽くなる人がいます。試し方には、気になる食品を一つずつ減らして様子を見る方法と、FODMAPの多い食品をまとめて控える「低FODMAP食」を試す方法があります。

食事を変えて症状が軽くなった場合は、控えていた食品を一つずつ少しずつ戻し、どの食品で症状が出るかを確かめます。食品を長く大きく制限すると栄養が偏るおそれもあるため、できれば管理栄養士など専門家と相談しながら進めるとよいでしょう。

過敏性腸症候群の治し方:薬・心理療法

食事の工夫で十分でない場合は、症状に合わせて薬を使います。

  • 便秘が中心の場合:ポリエチレングリコールを含む下剤や刺激性の下剤などが使われます。処方薬の便秘薬が使われることもあります。
  • 下痢が中心の場合:ロペラミドなどの下痢止めが役立ちます。
  • 腹痛:腸の筋肉のけいれんを抑える抗コリン薬が使われますが、口の渇き、目のかすみ、尿の出にくさなどの副作用がよくみられます。
  • 抗うつ薬:一部の抗うつ薬を長く使うと、腹痛、下痢、お腹の張りが和らぐことが多く、眠りの問題や気分の落ち込み、不安の改善にも役立ちます。
  • そのほか:下痢やお腹の張りに抗菌薬(リファキシミン)、プロバイオティクス、筋肉のけいれんによる痛みにペパーミントオイルが使われることがあります。

認知行動療法などの心理療法や催眠療法が役立つ人もいます。

出典によって異なる点:低FODMAP食の根拠

MSDマニュアル家庭版は、FODMAPを多く含む食品を控えることで症状が軽くなる人がいるとして、食品を一つずつ減らす方法や、低FODMAP食をまとめて試す方法を紹介しています。

Dionneらの系統的レビューとメタアナリシス(2018年)は、過敏性腸症候群に対するグルテンフリー食と低FODMAP食のランダム化比較試験をまとめました。低FODMAP食の7件の試験(397人)では、比較した食事と比べて全体的な症状が減っていましたが、比較対象の食事を厳密に設定した3件の試験ほど効果は小さく、データ全体の質は「非常に低い」と評価されました。グルテンフリー食については、症状を減らすためにすすめられるほどの根拠はありませんでした。

低FODMAP食は試す価値のある方法として紹介されていますが、効果を裏づける研究の質はまだ低い、という違いがあります。グルテンを抜く食事は、根拠が不十分とされています。

過敏性腸症候群のポイント

  • 過敏性腸症候群は、腹痛と便秘や下痢をくり返す病気で、検査では形の異常が見つかりません。
  • 腸が刺激に敏感になっていることが関わり、特定の食べもの、食べ方、ストレスなどがきっかけになります。
  • 排便に関係した腹痛と、排便回数や便の硬さの変化が特徴で、ローマ基準で診断されます。
  • 発熱、血便、体重減少、嘔吐、45歳以降の症状の変化があれば、ほかの病気がないか調べる必要があります。
  • 少量ずつゆっくり食べる、ガスの出やすい食品を控える、低FODMAP食を試すといった工夫と、症状に合わせた薬で和らげます。
  • 低FODMAP食の効果を示す研究の質は低く、グルテンフリー食は根拠が不十分とされています。

過敏性腸症候群についてよくある質問

回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。

過敏性腸症候群の原因は何ですか?

はっきりした原因はわかっていませんが、腸が刺激に対して敏感になり、腸の動きや脳による調節がうまくいかなくなることが関わると考えられています。食事、ストレス、ウイルス感染症などがきっかけになることがあります。

どんな症状がありますか?

排便に関係した腹痛(排便でおさまる、便の回数や硬さの変化と連動する)が中心で、便秘や下痢、お腹の張り、ガスなどがみられます。疲れ、頭痛、眠りの問題、不安などを伴うこともあります。

ストレスで悪化しますか?

ストレス、不安、気分の落ち込み、恐怖などがきっかけで症状が出たり悪化したりすることがあります。認知行動療法などの心理療法や催眠療法が役立つ人もいます。

食べてはいけないものはありますか?

人によって異なりますが、豆類やキャベツなどガスの出やすい食品、ソルビトールなどの人工甘味料、果糖、乳製品(乳糖をうまく消化できない人)、脂肪の多い食事で悪化する人がいます。自分のきっかけになる食品を見つけることが大切です。

低FODMAP食とは何ですか?

小腸で吸収されにくく発酵しやすい特定の炭水化物(FODMAP)を多く含む食品を控える食事法です。症状が軽くなる人がいますが、研究の質はまだ低いため、できれば専門家と相談しながら試し、食品を一つずつ戻して確かめます。

受診したほうがよいのはどんなときですか?

発熱、血便、意図しない体重減少、嘔吐、45歳以降に始まった・大きく変わった症状がある場合は、ほかの病気がないか調べる必要があります。

出典

  1. MSDマニュアル家庭版 · 過敏性腸症候群(IBS)
  2. Dionne J, et al. A systematic review and meta-analysis evaluating the efficacy of a gluten-free diet and a low FODMAPs diet in treating symptoms of irritable bowel syndrome. Am J Gastroenterol. 2018

このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。