痔核(いぼ痔)とは?
痔核は、直腸の下部や肛門の粘膜にある血管がふくらんだり、ねじれたりしたものです。痔核そのものは正常な構造ですが、大きくなると症状が出ることがあります。
- 内痔核:肛門と直腸の境目より上にできる痔核です。
- 外痔核:肛門と直腸の境目より下にできる痔核です。
内痔核も外痔核も、肛門の中にとどまる場合もあれば、肛門の外に飛び出す場合もあります。
痔核ができる原因
肛門や直腸の血管にかかる圧力が高くなると、痔核の症状が出やすくなります。圧力が高まる原因として、次のようなものがあります。
- 妊娠
- 頻繁な力仕事
- 排便時のいきみのくり返し
- 便秘(いきみの一因になります)
痔核の症状
- 外痔核:肛門にしこりができます。中に血のかたまり(血栓)ができると、しこりが大きくなり、強い痛みと腫れが出ます(血栓性外痔核)。
- 内痔核:見えるしこりや痛みは少ないことが多いものの、出血することがあります。典型的には排便後に、便やトイレットペーパーに血のすじがつき、便器の水が赤くなることもあります。
- その他:粘液が出たり、排便後に出しきれていない感じが残ったりすることがあります。
通常、出血の量は少なく、痔核で大量に出血したり貧血になったりすることはめったにありません。肛門のかゆみは通常は痔核の症状ではありませんが、痔核のために肛門を清潔に保ちにくいと、かゆみが出ることがあります。
痔核の診断
- 視診:腫れて痛む痔核は、肛門と直腸を見ることで容易に診断できます。
- 肛門鏡検査:痛みのない痔核や出血している痔核は、短い管状の器具(肛門鏡)で観察します。
- 大腸の内視鏡検査:肛門から出血がある場合は、腫瘍などのより重い病気がないことを確かめるために、S状結腸鏡検査や大腸内視鏡検査が必要になることがあります。
自分でできる対策
痔核は、症状がない限り治療の必要はありません。症状があるときは、次のような対策が役立ちます。
- 食物繊維:オオバコ種子などの食物繊維のサプリメントで便のかさを増やすと、排便時のいきみが減ることがあります。
- 便をやわらかくする薬:便軟化剤を使うと、いきみが減ることがあります。
- 坐浴:浴槽の途中までお湯を張り、肛門を温水に10〜15分ほど浸すと、症状が軽くなることがあります。
血栓性外痔核の痛みへの対処
- アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬が、痛みの緩和に役立つことがあります。
- 局所麻酔薬の軟膏やマンサクの湿布も役立つ可能性があります。
- とくに痛みが強い場合は、局所麻酔をしてから血栓や痔核を切除すると、痛みが速やかに和らぐことがあります。
通常、痛みと腫れは少したつと軽くなり、血栓は4〜6週間でなくなります。
内痔核の処置
- 硬化療法(注射療法):出血する内痔核に、痔核を縮める物質を注射します。
- 赤外線凝固療法:硬化療法の代わりに、赤外線で出血する痔核を治療します。
- ゴム輪結紮術:大きな内痔核や、硬化療法が効かなかった痔核の根元をゴムの輪でしばります。痔核は痛みなくしぼんで落ちます。約2週間ごとに1つずつ治療し、現在の標準的な治療とされています。
手術が検討される場合
ほかの治療がうまくいかない場合は、痔核を切除する手術(痔核切除術)が行われることがあります。ただし、手術の後に強い痛み、尿が出にくくなる、便秘などが起こることがあります。
超音波で痔核の動脈を確認してしばり、血流を減らす治療なども試みられています。一方、レーザー、凍結、電気凝固による治療の効果は実証されていません。
出典によって異なる点:食物繊維はどれくらい効くか
MSDマニュアル家庭版は、食物繊維のサプリメントや便軟化剤で排便時のいきみが減ることがあるとし、症状のある痔核のセルフケアとして紹介しています。
コクランのシステマティックレビュー(Alonso-Coelloら、2005年)は、食物繊維と食物繊維以外の対照を比べた7件の研究(378人)をまとめました。食物繊維をとった人では、症状が改善せずに続くリスクが53%減り(リスク比0.47)、出血も半分に減りました(リスク比0.50)。一方、脱出、痛み、かゆみについては、はっきりした効果は示されませんでした。
食物繊維は、とくに出血など症状全体の改善に役立つ、根拠のあるセルフケアといえます。
痔核のポイント
- 痔核は、直腸の下部や肛門の血管がふくらんだもので、内痔核と外痔核があります。
- 妊娠、力仕事、排便時のいきみ、便秘が原因になります。
- 内痔核は排便後の出血、外痔核はしこりや痛み(血栓性)が主な症状です。
- 食物繊維、便軟化剤、坐浴で症状が和らぐことがあります。
- 出血する内痔核には、硬化療法やゴム輪結紮術などの処置が行われます。
- 肛門からの出血は、ほかの病気がないか確かめるために受診しましょう。
痔についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
内痔核と外痔核の違いは何ですか?
肛門と直腸の境目より上にできるのが内痔核、下にできるのが外痔核です。内痔核は出血しやすく、外痔核はしこりや痛みが出やすいのが特徴です。
痔は自然に治りますか?
痔核の多くの症状は、治療をしなくても消えます。食物繊維や便軟化剤、坐浴で症状が和らぐことがあります。
痔の出血は心配ないですか?
痔核の出血は通常少量ですが、肛門からの出血がある場合は、腫瘍などのより重い病気がないかを確かめるために、大腸の内視鏡検査が必要になることがあります。
痔にはどんな食事がよいですか?
食物繊維をとると、排便時のいきみが減ります。研究でも、食物繊維で症状が続くリスクが約半分に減り、出血も減ることが示されています。
坐浴はどのように行いますか?
浴槽の途中までお湯を張り、肛門を温水に10〜15分ほど浸します。痔核の症状が軽くなることがあります。
痔の手術はどんなときに必要ですか?
ほかの治療がうまくいかない場合に検討されます。手術後に強い痛みや尿が出にくくなるなどが起こることがあるため、まずはゴム輪結紮術などの処置が行われます。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 痔核
- Alonso-Coello P, et al. Laxatives for the treatment of hemorrhoids. Cochrane Database Syst Rev. 2005
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
