便秘とは?正常な排便回数
便秘は、排便しにくい、排便の回数が少ない、便が硬い、排便後も直腸に便が残っている感じ(残便感)があるといった状態です。
- 急性の便秘:突然起こり、はっきりと現れます。
- 慢性の便秘:少しずつ始まり、数か月から数年続くことがあります。
毎日排便がないと便秘だと考える人は多いのですが、毎日出ることが誰にとっても正常というわけではありません。1日1〜3回から週2〜3回までの排便は、正常の範囲です。それまでの排便のパターンから大きく変わっていなければ、回数が少なくても問題があるとは限りません。
便秘の主な原因
- 食事の変化:水分が少ない、食物繊維が少ないなど。体の水分が不足すると、体は便から多くの水分を吸収するため、便が硬く出にくくなります。
- 薬:痛み止めのオピオイド、鉄剤、一部の抗ヒスタミン薬や抗うつ薬、カルシウム拮抗薬(血圧の薬)など、腸の動きを遅くする薬があります。
- 過敏性腸症候群:便秘が多いタイプは、便秘型の過敏性腸症候群と呼ばれます。
- 排便の協調の問題:排便のときに直腸から便を押し出す力が足りない、または肛門周りの筋肉をうまくゆるめられない状態です。
- 下剤の使いすぎ:頻繁に使っていると、下剤なしでは排便できなくなる悪循環に陥ることがあります。
頻度は低いものの、甲状腺の働きの低下、血液中のカルシウムの上昇、糖尿病、パーキンソン病などの病気や、大腸がんによる腸のつまりが原因のこともあります。一方で、原因がはっきりしないことも少なくありません。
便秘で起こりやすいトラブル
- 痔核・裂肛:排便時に強くいきむと、肛門周りの静脈の圧が上がって痔になったり、硬い便で肛門の皮膚が切れたりすることがあります。
- 直腸脱:まれに、直腸が肛門の外に出てしまうことがあります。
- 憩室:硬く小さな便を送り出すために腸の中の圧が高まり、大腸の壁に小さな袋(憩室)ができることがあります。
- 便のつまり(宿便):直腸に硬い便がたまって、ほかの便が出なくなる状態です。差し込むような痛みが起こることがあります。
毎日の排便にこだわりすぎて、下剤や浣腸を使いすぎることも、かえって腸の正常な動きを妨げて便秘を悪化させる原因になります。
受診すべき危険なサイン
便秘があっても、すぐに医療機関を受診する必要があるとは限りません。ただし、次のようなサインがある場合は注意が必要です。
- おなかが張って膨らむ
- 嘔吐がある
- 便に血が混じる
- 体重が減る
- 高齢者で、強い便秘が新たに始まった、または悪化した
これらのサインがある場合は、すぐに受診してください(体重の減少や高齢者の新たな便秘だけの場合は、数日から1週間以内の受診で問題ありません)。危険なサインがない場合は、かかりつけ医に電話などで相談し、受診の時期を判断してもらうとよいでしょう。
便秘の診察と検査
医師は、排便の回数や便の硬さ、いきむ必要があるか、下剤や浣腸の使用、食事内容や運動量、飲んでいる薬などを尋ね、おなかや肛門の診察を行います。
- 原因が明らかな場合:薬やけが、寝たきりなど原因がはっきりしていれば、検査をせずに症状の治療を行うことがよくあります。
- 腸のつまりが疑われる場合:おなかのX線検査やCT検査を行います。
- 原因がわからない、治療で改善しない場合:大腸内視鏡検査などで、大腸の病気がないかを調べます。
- 排便のしにくさが主な場合:直腸と肛門の圧を測る検査を行うことがあります。
解消法①:食物繊維と水分
- 食物繊維の目安:十分な量の便をつくるには、1日15〜20gの食物繊維が必要とされています。
- 多く含む食品:野菜、果物、ふすま(小麦の外皮)がとても優れた供給源です。精製していない小麦ふすまをシリアルや果物にかけて食べる方法もあります。
- 水分も一緒に:食物繊維は、十分な水分と一緒にとらないとうまく働きません。
- 少しずつ増やす:食物繊維のサプリメントは、おなかの張りやガスを避けるため、数週間かけて少しずつ量を増やします。
白米、白いパン、ジャガイモ、パスタ、肉や魚、加熱した野菜などは、便を固めやすい食品とされています。食事全体のバランスを見直してみましょう。

解消法②:運動と排便の習慣
- 決まった時間にトイレへ:毎日同じ時間に排便を試みます。食事をとると大腸の動きが刺激されるため、朝食の15〜45分後がよいとされています。
- 急がない:時間に余裕をもって、あせらずに排便するようにします。
- 体を動かす:運動は便秘の予防に役立ちます。長く寝たきりでいると、腸の動きが弱くなります。
- 毎日出なくてもよい:毎日の排便は必ずしも必要ではなく、腸が自然に働く機会を与えることが大切です。
排便のときにうまく力を調節できない人には、専門の療法士によるバイオフィードバック訓練が役立つことがあります。

解消法③:下剤の種類と注意点
- 膨張性下剤:ふすまやオオバコなどの食物繊維で、便のかさを増やして腸の自然な動きを促します。慢性便秘の予防や管理によく使われます。
- 便軟化剤:ゆっくり働いて便を軟らかくします。
- 浸透圧性下剤:腸の中に水分を引き込んで便を軟らかくします。一般に定期的に使っても比較的安全ですが、マグネシウムを含むものは、高齢者や腎臓の病気のある人では注意が必要です。
- 刺激性下剤:大腸の壁を刺激して動かします。差し込むような痛みが出ることがあり、腸閉塞が疑われる場合は使いません。
下剤や坐薬、浣腸は、下痢、脱水、腹痛、下剤への依存の原因になるため、慎重に使います。3日に1回を超えて頻繁に使うと、腸が自然に働く機会が失われます。原因不明の急な腹痛や血便があるときは、自己判断で下剤を使わないでください。
出典によって異なる点:食物繊維はどのくらい効くか
MSDマニュアル家庭版は、便秘の最もよい予防法として運動、食物繊維の多い食事、十分な水分摂取の組み合わせを挙げ、1日15〜20gの食物繊維を目安としています。
Yangらのメタアナリシス(2012年)は、便秘のある人を対象に食物繊維と偽薬を比べた5件のランダム化試験をまとめました。食物繊維は排便の回数をはっきり増やしましたが、便の硬さ、治療の成功、下剤の使用、排便時の痛みについては、明らかな改善はみられませんでした。
食物繊維は排便回数を増やすのに役立ちますが、それだけですべての症状が解決するとは限りません。水分、運動、排便習慣と組み合わせ、改善しない場合は医師に相談しましょう。
便秘のポイント
- 便秘は、排便しにくい、回数が少ない、便が硬い、残便感があるといった状態で、週2〜3回の排便でも正常のことがあります。
- 主な原因は、水分や食物繊維の不足、腸の動きを遅くする薬、便秘型の過敏性腸症候群などです。
- おなかの張り、嘔吐、血便、体重減少、高齢者の新たな強い便秘は、受診が必要なサインです。
- 食物繊維は1日15〜20gを目安に、水分と一緒にとりましょう。
- 毎日同じ時間、とくに朝食後に急がず排便する習慣と、運動が役立ちます。
- 下剤や浣腸の使いすぎは、かえって便秘を悪化させることがあります。
便秘についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
何日出なければ便秘ですか?
1日1〜3回から週2〜3回までの排便は正常の範囲です。回数だけでなく、排便しにくい、便が硬い、残便感があるといった状態や、それまでのパターンからの変化が目安になります。
便秘の原因は何ですか?
水分や食物繊維の不足、運動不足、腸の動きを遅くする薬、便秘型の過敏性腸症候群などがよくある原因です。甲状腺の病気、糖尿病、大腸の病気などが原因のこともあります。
便秘に効く食べものは?
野菜、果物、ふすまなど食物繊維の多い食品がよいとされ、1日15〜20gが目安です。食物繊維は十分な水分と一緒にとらないとうまく働きません。
便秘のとき、すぐに受診した方がよいのはどんな場合ですか?
おなかが張って膨らむ、嘔吐がある、便に血が混じる、体重が減る、高齢者で強い便秘が新たに始まったといった場合は、早めに受診してください。
下剤を毎日使っても大丈夫ですか?
下剤には長く使っても比較的安全なものと、ときどきしか使うべきでないものがあります。下剤や浣腸を頻繁に使うと、下剤なしでは排便できなくなることがあるため、使い方は医師や薬剤師に相談しましょう。
高齢者が便秘になりやすいのはなぜですか?
年齢とともに直腸が大きくなって便意を感じにくくなるほか、便秘を起こす薬の使用、食物繊維の少ない食事、持病、運動量の低下などが重なるためです。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 成人の便秘
- Yang J, et al. Effect of dietary fiber on constipation: a meta analysis. World J Gastroenterol. 2012
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

