回避性パーソナリティ障害とは?
パーソナリティ障害(パーソナリティ症)は、考え方、受け止め方、反応のしかた、人間関係のパターンが長く全般的に続き、本人に大きな苦痛をもたらしたり、日常生活に支障をきたしたりするこころの病気です。
回避性パーソナリティ障害の人は、自分は能力が足りないと感じ、否定的に評価されるかもしれない場面を避けることで、その気持ちに対処しています。米国では2%強の人にみられ、男性より女性にやや多いとされています。
拒絶や批判への恐れ
批判される、拒絶される、気に入られないことを恐れて、仕事の場面でも人とのかかわりを避けます。
- 同僚に批判されるのを恐れて、昇進を断る
- 会議を避ける
- 好かれると確信できない限り、新しい友人をつくらない
- 笑われたり恥をかいたりするのを恐れて、自分のことを話したがらない
- 新しい活動に参加するのを避け、参加しない理由として危険を大げさに話す
グループに加わったり親しい関係を築いたりする前に、くり返し受け入れられていると確認できることが必要になります。
批判への極度の敏感さ
回避性パーソナリティ障害の人は、いつも批判や拒絶のことを考えているため、ほんのわずかな批判、否定、からかいにも非常に敏感です。相手の否定的な反応のサインがないか、常に警戒しています。
緊張して不安そうな様子のために、かえって周りからからかわれることがあり、それによってさらに自信を失ってしまうという悪循環に陥ることがあります。
低い自己評価と孤立
- 自分は人付き合いが苦手で、魅力がなく、他人より劣っていると考えている
- 何か言えば否定されると思い、静かで控えめになる
- 特に新しい場面や初対面の人との交流で、引っ込み思案になる
- 安心と確実さを求め、決まった生活習慣を好む
人とのかかわりを望んでいないわけではなく、本当はつながりを求めています。しかし、自分の幸せを他人にゆだねることを恐れるため、人付き合いが限られ、困ったときに助けを求められる人間関係をもてずに孤立しがちです。

原因
遺伝的な要因と環境の要因の両方が関係していると考えられています。たとえば、生まれつき社会的な場面で不安を感じやすい気質があったり、子どものころに拒絶や疎外を経験していたりすることがあります。社会的な場面での回避は、2歳ごろの幼い子どもでもみられます。
最近の研究のまとめでも、遺伝的な要因の影響があること、症状が比較的安定して続きやすいことが指摘されています。
一緒に起こりやすい病気と社交不安症との関係
- うつ病、持続性うつ病
- 強迫症
- パニック症や社交不安症などの不安症
- ほかのパーソナリティ障害
特に社交不安症とは深い関係があり、研究でもその近さが強調されています。社交不安症と回避性パーソナリティ障害の両方がある人は、どちらか一方だけの人より症状が重く、生活への影響も大きくなります。
診断の基準
人とのかかわりを持続的に避け、能力が足りないと感じ、批判や拒絶に過敏であることが、次のうち4つ以上に示される場合に診断されます。症状は成人期の早い時期までに始まっている必要があります。
- 批判や拒絶を恐れて、人とかかわる仕事の活動を避ける
- 好かれると確信できなければ、人とかかわりたがらない
- 恥をかくことを恐れて、親しい関係を築くのをためらう
- 社会的な場面で批判や拒絶されることにとらわれている
- 能力が足りないと感じ、新しい社会的な場面で引っ込み思案になる
- 自分は社会的に無能、魅力がない、他人より劣っていると考えている
- 恥をかく可能性があるため、リスクをとったり新しい活動に参加したりしたがらない
治療
回避性パーソナリティ障害の人は、治療そのものを避けることがあります。治療では、次のような方法が用いられます。
- 集団で行う認知行動療法:社会的なスキルの習得に焦点を当てます。社交不安症を併せもつ人に有効な場合があります。
- その他の集団療法:同じ問題を抱える人どうしで行います。
- 支持的な個人療法:他人への過敏さに配慮しながら進めます。
- 精神力動的精神療法:根底にある葛藤に焦点を当てます。
- 薬物療法:SSRIなどの抗うつ薬や抗不安薬が、不安を和らげ、新しい社会的な場面に対処するのを助けることがあります。
出典によって異なる点:治療の根拠はどこまであるか
MSDマニュアル家庭版は、社会的スキルに焦点を当てた認知行動療法、ほかの精神療法、抗不安薬や抗うつ薬が有益となることがあるとし、複数の治療法を挙げています。
Weinbrechtらの総説(2016年)は、回避性パーソナリティ障害を「見過ごされてきた病気」と位置づけています。認知行動療法とスキーマ療法については有望な根拠があるものの、それ以外の治療法は事例研究で調べられた程度にとどまり、この病気に特化した研究がもっと必要だと結論づけています。また、社交不安症との近さや、症状が比較的安定していることを強調しています。
つまり、治療の選択肢はありますが、回避性パーソナリティ障害だけを対象にした質の高い研究はまだ少ないのが現状です。根拠が比較的ある認知行動療法を中心に、専門家と相談して進めることが大切です。
回避性パーソナリティ障害のポイント
- 拒絶や批判、屈辱を恐れて、人とかかわる場面を避け続ける状態です。
- 自分は能力が足りない、魅力がないと感じ、わずかな批判にも非常に敏感です。
- 人とのつながりを望みながらも、孤立しがちです。
- 社交不安症と深い関係があり、両方あると症状が重くなります。
- 集団の認知行動療法、支持的な個人療法、薬物療法などが役立つことがあります。
- この病気に特化した研究はまだ少なく、専門家と相談しながら治療を進めます。
回避性パーソナリティ障害についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
回避性パーソナリティ障害とはどんな状態ですか?
拒絶や批判、恥をかくことを恐れて、人とかかわる場面を避け続ける状態です。自分は能力が足りない、魅力がないと感じています。
内向的な性格とどう違いますか?
回避性パーソナリティ障害の人は、本当は人とのつながりを望んでいるのに、拒絶を恐れて避けてしまい、大きな苦痛や生活への支障が生じます。
社交不安症とはどう違いますか?
両者は深い関係があり、重なることも多い病気です。回避性パーソナリティ障害は、考え方や人間関係のパターンが成人期早期から全般的に続くのが特徴です。
原因は何ですか?
遺伝的な要因と環境の要因の両方が関係していると考えられています。生まれつきの不安になりやすい気質や、子どものころの拒絶の経験などです。
どんな治療がありますか?
社会的スキルに焦点を当てた集団の認知行動療法、支持的な個人療法、精神力動的精神療法、抗うつ薬や抗不安薬などがあります。
回避性パーソナリティ障害はよくなりますか?
症状は比較的安定して続きやすいとされますが、認知行動療法などで不安を和らげ、社会的な場面に対処できるようになることが期待できます。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 回避性パーソナリティ症
- Weinbrecht A, et al. Avoidant Personality Disorder: a Current Review. Curr Psychiatry Rep. 2016
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

