心気症(病気不安症)とは?
病気不安症は、自分は重い病気にかかっている、またはかかりつつあると思い込んでしまう心の病気です。病気についての深刻な心配のために強い苦痛を感じ、日常の役割を果たすのが難しくなります。
かつては心気症と呼ばれていましたが、否定的なニュアンスがあるため、米国ではこの用語は使われなくなっています。成人期の初めに始まることが最も多く、男女でほぼ同じ程度にみられるようです。
なぜ不安が強くなる?
ささいな体の症状や、心臓の鼓動を感じるといった正常な体の働きを誤って受け取ってしまうために、過度に不安を抱きます。
体の症状がある場合もない場合もあります。症状があっても軽く、心配の中心は症状そのものより、その症状が意味しているかもしれないこと、つまり重い病気にかかっていることへの恐れです。体の病気がある場合でも、その不安は病気の重さに比べて不釣り合いに大きくなります。
よくみられる行動
- 脈を何度も測るなど、自分の体をくり返し調べる
- 新しい体の感覚を怖がりやすい
- 心配な病気について詳しく調べる
- 他人の病気の話を聞いただけで不安になる
- 家族や友人、医師に、安心させてくれる言葉をくり返し求める
- 病気の家族のお見舞いや運動など、健康を損ねそうだと思う活動を避ける

受診と人間関係への影響
頻繁に医療機関を受診する人がいる一方で、不安が強すぎて受診できない人もいます。どちらの場合も、病気への恐れが行動を左右している点は共通しています。
医師が「検査は正常でした」と安心させようとすると、自分の症状を真剣に受け止めてもらえないと感じ、かえって心配が強まることがよくあります。病気が生活の中心を占め、会話もそればかりになるため、周りの人が疲れてしまい、人間関係や仕事に支障が出ることも少なくありません。
病気不安症の経過
病気不安症は慢性化しやすい、つまり長く続きやすい傾向があります。症状がよくなったあとに再びぶり返す場合もあれば、回復する場合もあります。
長く続くことがあるからこそ、一人で抱え込まず、信頼できる医師と一緒に向き合っていくことが大切です。心気症は、医療の利用が多くなりやすく、体の面でも負担の大きい状態とされています。
病気不安症の診断
重い病気の可能性について過度の心配がみられる場合に、病気不安症が疑われます。医師はまず、体の病気があるかどうかを丁寧に調べ、うつ病などほかの心の病気がないかも確認します。
診察や検査で症状がないか軽いこと、心配している病気が否定されたこと、あるいは見つかった病気が不安の強さに比べて軽いことを説明されても、病気に関する不安が6カ月以上続く場合に診断が確定します。
身体症状症との違い
病気不安症では、体の症状はないか軽く、心配の中心は「重い病気かもしれない」という恐れです。体の病気がある場合も、不安はその病気の重さに比べて不釣り合いに大きくなります。
一方、はっきりした体の症状があり、その症状自体に強くとらわれている場合は、身体症状症である可能性があります。どちらも、身体症状症および関連症群というグループに含まれる病気です。
病気不安症の治療
親身になってくれる医師との協力的な信頼関係が有益で、特に定期的に受診していると効果が期待できます。
- 専門家への紹介:あまりよくならない場合は、かかりつけ医の診療を続けながら、精神科医などの専門職を紹介してもらうと役立つことがあります。
- 認知行動療法:役立つことがあります。
- 薬:抗うつ薬の一種であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)で効果が得られる場合があります。

出典によって異なる点:心理療法の効果
MSDマニュアル家庭版は、医師との信頼関係を中心に、認知行動療法やSSRIが役立つことがあるとしていますが、心理療法の種類ごとの効果は示していません。
コクランのシステマティックレビュー(Thomson、Page、2007年)は、心気症の成人を対象にした6件の研究(440人)をまとめました。認知療法、行動療法、認知行動療法、行動的ストレス管理は、治療を待っているグループに比べて心気症の症状を有意に改善しましたが、心理教育だけでは有意な改善はみられませんでした。心理教育では医療の利用が減り、一部の療法では、生活の機能(認知行動療法)、不安や抑うつ(認知療法、行動的ストレス管理)、体の症状(認知行動療法)の改善もみられました。ただし、研究の規模が小さく、長期の結果はほとんど比較されておらず、どの心理療法が優れているか、完全に治るかどうかは判断できないとしています。
つまり、心理療法は効果が期待できる選択肢ですが、自分に合った方法を医師と相談しながら選ぶことが大切です。
病気不安症のポイント
- 心気症は現在、病気不安症と呼ばれます。
- 重い病気にかかっている、またはかかりつつあると思い込み、強い苦痛を感じます。
- 体を何度も調べる、安心を求める、受診を避けるなどの行動がみられます。
- 病気が否定されても不安が6カ月以上続く場合に診断されます。
- 定期的に受診できる医師との信頼関係が治療の土台です。
- 認知行動療法などの心理療法やSSRIが役立ちます。
心気症(病気不安症)についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
心気症と病気不安症は同じですか?
はい。かつて心気症と呼ばれていた病気は、現在は病気不安症と呼ばれています。
検査で異常がなくても不安が消えないのはなぜですか?
ささいな体の感覚を重い病気のサインと受け取ってしまうためです。安心させる言葉を聞いても、真剣に受け止めてもらえないと感じて、かえって不安が強まることがあります。
どんな人に多いですか?
成人期の初めに始まることが最も多く、男女でほぼ同じ程度にみられるようです。
治りますか?
慢性化しやすい傾向がありますが、回復する人もいます。信頼できる医師との関係や心理療法が役立ちます。
どんな治療がありますか?
定期的に受診できる医師との信頼関係を土台に、認知行動療法などの心理療法や、抗うつ薬の一種であるSSRIが使われます。
家族はどう接すればよいですか?
安心させる言葉をくり返すだけでは不安が解消しにくいため、医師と連携し、心理療法など専門的な支援につなげることが大切です。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 病気不安症
- Thomson AB, Page LA. Psychotherapies for hypochondriasis. Cochrane Database Syst Rev. 2007
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

