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自閉スペクトラム症とは?特徴・原因・診断と、言葉とコミュニケーションの支援

自閉スペクトラム症(ASD)は、人とのコミュニケーションや関係づくりが苦手なことと、行動や興味が限られていて同じパターンをくり返すことが特徴の、神経発達症の一つです。症状の程度は人によって大きく異なります。特徴、原因、診断、そして言葉とコミュニケーションの支援について整理します。

テーマ
言語聴覚療法
更新日
読了時間
7分
監修
Itziar Gotxi Erezuma医師 · 耳鼻咽喉科専門医 · ビスカヤ県医師会 登録番号 484809757

自閉スペクトラム症(ASD)とは?

自閉スペクトラム症は、神経発達症の一つです。以前は、古典的自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などに細かく分けられていましたが、重なる部分が多く区別が難しいため、現在は自閉スペクトラム症としてまとめられています。

米国では約36人に1人の割合でみられ、女の子より男の子に4倍多いとされています。症状について医師や養育者がよく知るようになったことで、自閉スペクトラム症と診断される子どもが増えています。

症状が2歳までに現れることもありますが、軽い場合は学齢期まで気づかれないこともあります。

自閉スペクトラム症の原因と、よくある誤解

  • 遺伝的な要因:具体的な原因は十分に解明されていませんが、多くの場合、遺伝的な要因が関わっています。
  • 出生前の要因:妊娠中の風疹やサイトメガロウイルスなどの感染が関わっている可能性があります。
  • 早産:早く生まれた程度が大きいほど、リスクが高くなる可能性があります。
  • 脳の違い:一部の子どもでは、脳の形や働きに違いがみられます。

一方で、自閉スペクトラム症は、子育ての失敗や子どものころの恵まれない環境によって起こるものではないことが明らかになっています。また、予防接種が自閉症を引き起こさないという説得力のある証拠があります。

特徴①:社会的コミュニケーションと人との関わり

  • 乳児期:典型的な抱かれ方や視線の合わせ方をしないことが多く、安心を求めて親を頼る様子がみられにくいことがあります。
  • 言葉によらないコミュニケーション:視線を合わせる、身ぶりや顔の表情を理解したり使ったりすることが難しいことがあります。
  • 考えや気持ちの共有:人と関わり、考えや感情を分かち合うことが苦手です。
  • 人間関係:関係を築き、保ち、理解することが難しいことがあります。

自閉スペクトラム症の人の大半は、程度の差はあっても、コミュニケーションと行動の両方の面で、何らかの支援が必要になります。

言葉の発達の特徴

自閉スペクトラム症の子どもの言葉の発達は、さまざまです。最も重い場合は話せるようにならず、話せるようになる場合も、ふつうよりずっと遅く話し始めることがあります。

  • 反響言語(エコラリア):話しかけられた言葉を、そのままくり返します。
  • 覚えた表現を使う:自分の言葉の代わりに、どこかで覚えた決まり文句のような表現を使います。
  • 代名詞の入れ替え:自分のことを「わたし」「ぼく」ではなく「あなた」「きみ」と言うことがよくあります。
  • 一方通行の会話:会話がやりとりにならないことがあります。

小学校に入る年齢までに、どれだけコミュニケーションに使える言葉を身につけられるかによって、その後の見通しは大きく変わります。言葉の発達が気になる場合は、早めに専門家に相談することが大切です。

特徴②:限られた、くり返しの行動や興味

  • 同じであることへのこだわり:新しい食べもの、おもちゃ、家具の配置、服などの変化に強く抵抗し、決まった習慣を頑固に守ろうとします。
  • くり返しの動作や言葉:同じ動きや言葉をくり返します。
  • 狭く強い興味:特定の物などに強い執着を示し、そればかりに集中します。
  • 感覚の違い:ある音には極めて強い苦痛を感じる一方で別の音は気にしない、特定のにおいや味、手ざわりを強く嫌がる、痛みや熱さ・冷たさに独特の反応をするなど、感覚が非常に鋭かったり鈍かったりします。

自閉スペクトラム症の人の多くには、ある程度の知的な障害もみられますが、能力にはばらつきがあり、運動や空間の認識の力の方が言葉の力より高いことがよくあります。

自閉スペクトラム症の診断

自閉スペクトラム症の診断は、コミュニケーションと人との関わりの困難(A)と、限られたくり返しの行動や興味(B)の両方があり、子どもの生活に支障が出ていることを確かめて行います。

  • 観察:遊びの場面で子どもの様子を注意深く観察します。
  • 聞き取り:親や教師から、ふだんの様子を詳しく聞きます。
  • スクリーニング検査:自閉症用の標準化された質問票や検査を使います。
  • 血液検査・遺伝子検査:治療できる病気や、脆弱X症候群などの遺伝性の病気がないかを調べます。

支援と治療:行動療法、教育、言語療法

  • 応用行動分析:社会的な技能、言葉やコミュニケーション、読み書き、身の回りのこと、日常生活の技能などを、小さな上達をほめて積み重ねながら段階的に教えていきます。
  • 教育プログラム:学齢期の子どもには、社会的な技能を育て、話し言葉と言葉の遅れに対応し、卒業後の進学や就職の準備を支える教育が大切です。
  • 言語療法:言葉とコミュニケーションの力を育てます。

薬で自閉スペクトラム症そのものを治すことはできませんが、儀式的な行動やいらいら、かんしゃくなど、特定の症状を和らげるために薬が使われることがあります。一方、特別な食事療法、腸や免疫の治療などが自閉症に有効だという証拠は、これまでのところありません。

経過の見通しと、家族の支え

自閉スペクトラム症の症状は、一般に生涯続きます。見通しは、小学校に入る年齢までにコミュニケーションに使える言葉をどれだけ身につけられるかで大きく変わります。

  • 体系だった行動療法を行うと、とてもよい効果が得られる子どもが大半です
  • 知能検査の値がとても低い場合は、大人になっても手厚い支援が必要になる可能性が高くなります
  • 学校や社会で自分で行動する力には、一人ひとり大きな違いがあります

子どもの得意なことと苦手なことを理解し、言語聴覚士、医師、教育の専門職などと連携しながら、その子に合った支援を続けていくことが大切です。

出典によって異なる点:親が関わる早期支援の効果

MSDマニュアル家庭版は、応用行動分析などの体系だった行動療法で、大半の子どもにとてもよい効果が得られるとしています。

コクランのシステマティックレビュー(Oonoら、2013年)は、親が中心となって行う早期支援(親が子どもとの関わり方を学び、家庭で実践する方法)について、6か国の17件の研究(919人の子ども)をまとめました。親子の関わり方のパターン、とくに注意を共有する場面には、はっきりとした改善がみられました。一方、言葉やコミュニケーションの多くの面、子どもの適応行動、親のストレスについては、研究によって結果がばらつき、はっきりした効果は示されませんでした。

親が関わる支援は、親子のやりとりを変える効果が期待できますが、言葉の発達への効果はまだはっきりしていません。専門家による支援と組み合わせて取り組むことが大切です。

自閉スペクトラム症のポイント

  • 自閉スペクトラム症は、コミュニケーションと人との関わりの困難と、限られたくり返しの行動や興味が特徴の神経発達症です。
  • 女の子より男の子に4倍多く、遺伝的な要因が関わることが多いとされています。
  • 子育ての仕方や予防接種が原因ではありません。
  • 言葉の遅れ、反響言語、代名詞の入れ替えなど、言葉の発達にも特徴がみられます。
  • 応用行動分析、教育プログラム、言語療法などの体系だった支援で、多くの子どもによい効果が得られます。
  • 小学校に入るまでにコミュニケーションに使える言葉を育てることが、その後の見通しに大きく関わります。

自閉スペクトラム症についてよくある質問

回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。

自閉スペクトラム症の主な特徴は?

人とのコミュニケーションや関係づくりが苦手なことと、行動や興味が限られていて同じパターンをくり返すことの2つが特徴です。程度は人によって大きく異なります。

自閉スペクトラム症の原因は何ですか?

具体的な原因は十分に解明されていませんが、多くの場合、遺伝的な要因が関わっています。子育ての仕方や予防接種が原因ではないことは、はっきりしています。

何歳ごろにわかりますか?

症状が2歳までに現れることもありますが、軽い場合は学齢期まで気づかれないこともあります。言葉や関わり方で気になることがあれば、早めに相談しましょう。

自閉スペクトラム症の子どもの言葉の特徴は?

話し始めるのが遅い、話しかけられた言葉をそのままくり返す(反響言語)、自分のことを「あなた」と言うなど代名詞を入れ替える、会話が一方通行になるといった特徴がみられることがあります。

どんな支援がありますか?

小さな上達を積み重ねる応用行動分析、社会的な技能や言葉の遅れに対応する教育プログラム、言語療法などが中心です。体系だった行動療法で、大半の子どもにとてもよい効果が得られます。

薬で治りますか?

薬で自閉スペクトラム症そのものを治すことはできませんが、儀式的な行動やいらいらなど特定の症状を和らげるために使われることがあります。

出典

  1. MSDマニュアル家庭版 · 自閉スペクトラム症
  2. Oono IP, Honey EJ, McConachie H. Parent-mediated early intervention for young children with autism spectrum disorders (ASD). Cochrane Database Syst Rev. 2013

このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。