本文へ移動

子どもの発達 MediBilbao Salud

ダウン症とは?原因・特徴・合併症と、言葉の発達の支援

ダウン症(ダウン症候群)は、21番染色体が1本多いことで起こる染色体の変化で、知的な発達の遅れとさまざまな体の特徴がみられます。根本的に治す治療法はありませんが、合併しやすい病気を早く見つけて治療し、早い時期から教育や療育を受けることで、子どもの力を伸ばすことができます。原因、合併症、言葉の発達の支援を整理します。

テーマ
言語聴覚療法
更新日
読了時間
8分
監修
Itziar Gotxi Erezuma医師 · 耳鼻咽喉科専門医 · ビスカヤ県医師会 登録番号 484809757

ダウン症(ダウン症候群)とは?

人の細胞には、遺伝情報をおさめた染色体が通常46本(23対)あります。ある番号の染色体が1本多く、3本になっている状態を「トリソミー」といいます。

ダウン症候群は、21番染色体が1本多いことで起こる染色体の変化で、生まれてくる赤ちゃんにみられるトリソミーとして最も多いものです。21トリソミーとも呼ばれます。知的な発達の遅れと、さまざまな体の特徴がみられます。

ダウン症候群を根本的に治す治療法はありませんが、合併しやすい病気の多くは治療することができます。ダウン症候群の子どもの大半は、成人まで成長します。

ダウン症の原因

  • 21トリソミー:ダウン症候群の約95%は、21番染色体が1本多い(染色体が47本)ことによるものです。
  • 転座型:約4%の人は染色体が46本で、余分な21番染色体の一部がほかの染色体にくっついています。
  • モザイク型:21番染色体が多い細胞と、通常の細胞の2種類をあわせもつタイプです。

余分な染色体は通常、母親から受け継がれ、子どもに余分な染色体が起こる可能性は母親の年齢とともに少しずつ高くなります。ただし、出産は比較的若い年齢で多いため、ダウン症候群の赤ちゃんのうち35歳以上の母親から生まれる割合は約20%にとどまります。

妊娠中の過ごし方などが原因になるわけではありません。

ダウン症の体の特徴

ダウン症候群では、体と精神の発達が一般にゆっくりです。低身長のことが多く、肥満になりやすい傾向があります。赤ちゃんのころは、おとなしく受け身で、あまり泣かないことが多く、筋肉の緊張がやや低い状態がみられます。

  • 頭が小さめで、顔が広く平らで、鼻が低い傾向がある
  • 目尻が上がり、上まぶたの皮膚が目頭を覆っている
  • 舌が大きいことがあり、顔の筋肉の緊張が低いため、口が開いたままになりやすい
  • 耳が小さく丸く、低い位置についている
  • 手は短く幅が広く、手のひらを横切る1本のしわがみられる
  • 足の親指と人差し指のあいだが広い

これらの特徴の現れ方は一人ひとり異なり、すべてがみられるわけではありません。

ダウン症で起こりやすい合併症

ダウン症候群では体の多くの部分が影響を受けますが、すべての合併症が起こるわけではありません。

  • 心臓:約50%の子どもに、生まれつきの心臓の異常(心室中隔欠損症、房室中隔欠損症など)があります。
  • 耳:大半の人に難聴がみられ、耳の感染症(中耳炎など)がとても多くみられます。
  • 目:約60%に、白内障、緑内障、斜視などがみられます。
  • 消化管:約6%に腸の形の異常があり、ヒルシュスプルング病やセリアック病も多くみられます。
  • 首の骨:首の関節が不安定になり、脊髄が圧迫されることがあります。
  • ホルモン・血液など:甲状腺機能低下症、糖尿病、白血病、感染症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群が起こりやすくなります。

年齢を重ねると、比較的早い年齢でアルツハイマー病が現れることもあります。

知的な発達と、言葉・コミュニケーション

ダウン症候群の子どもの知能指数(IQ)には幅がありますが、平均はおよそ50で、一般の子どもの平均(100)より低くなります。知的な障害の程度は、軽度から重度までさまざまです。

  • 運動と言葉の発達:運動面や言葉の面での発達の遅れがよくみられますが、その程度は人によってさまざまです。
  • 聞こえの影響:難聴や耳の感染症が多いため、聞こえの問題が言葉の発達に影響していないかを確かめることも大切です。
  • 口の動き:舌が大きく、顔の筋肉の緊張が低いことも、話し方に関わることがあります。
  • 行動の特徴:子どものころには、注意欠如・多動症を思わせる行動がしばしばみられます。自閉スペクトラム症に似た行動のリスクも高く、とくに知的な障害が重い子どもで多くなります。

言葉の発達がゆっくりでも、身ぶり、絵カード、サインなど、さまざまな方法でコミュニケーションの力を育てていくことができます。言語聴覚士などの専門職に相談しながら、子どもに合った方法を見つけていきましょう。

ダウン症の検査と診断

  • 出生前のスクリーニング:胎児の超音波検査や、妊娠中の母親の血液検査(母親の血液中の胎児のDNAを調べる検査を含む)で、ダウン症候群の可能性が高いかどうかを調べます。
  • 出生前の確定検査:スクリーニングで疑われた場合は、胎盤の一部を調べる絨毛採取や、羊水を調べる羊水穿刺で診断を確定します。
  • 出生後の診断:赤ちゃんの特徴的な外見から疑われ、血液検査で余分な21番染色体を確認して確定します。

出生前の検査を受けるかどうかは、それぞれの家族が十分な情報をもとに考えて決めることです。検査の意味や結果の受け止め方について、遺伝カウンセリングを受けることもできます。

診断後の定期的な健康チェック

診断が確定したら、ダウン症候群に合併しやすい病気がないかを調べる検査を行います。見つかった病気を治療することで、健康への影響を防げることも多くあります。

  • 心臓の超音波検査
  • 甲状腺の働きを含む血液検査
  • 視力検査、聴覚検査
  • ダウン症候群の子ども専用の成長曲線を使った、健診ごとの身長・体重・頭囲の測定
  • 閉塞性睡眠時無呼吸症候群の評価

首の痛みや手足のしびれ、力の入りにくさなどがある場合は、首の骨のX線検査で不安定さがないかを確かめます。スポーツ行事に参加する場合も、首のX線検査が必要とされています。年長の青年や成人は、糖尿病、甲状腺機能低下症、アルツハイマー病について、定期的にチェックを受けます。

治療と、早期からの支援

  • 合併症の治療:心臓や消化管の異常には、手術で治せるものがあります。甲状腺機能低下症、セリアック病、糖尿病、白血病なども、必要に応じて治療します。
  • 早期の教育・療育:早い時期から教育やその他の面での支援を行うことで、ダウン症候群の幼児の能力を高めることができます。
  • 知的機能に合わせた教育:一人ひとりの知的な発達の段階に合わせた教育プログラムをつくります。
  • 家族への支援:家族への遺伝カウンセリングや社会的な支援も、ケアの大切な一部です。

言葉の支援、運動の支援、聞こえや見え方の管理などを、医師、言語聴覚士、理学療法士、教育の専門職などが連携して進めていくことが大切です。

出典によって異なる点:コミュニケーションの支援はどのくらい効果があるか

MSDマニュアル家庭版は、早い時期から教育やその他の面での支援を行うことでダウン症候群の幼児の能力を高められるとしていますが、言葉やコミュニケーションの支援の方法や効果については具体的に触れていません。

Neilらのシステマティックレビューとメタアナリシス(2016年)は、ダウン症候群の人のコミュニケーションを伸ばす支援を評価した37件の研究をまとめました。多くの研究は、望ましい行動をほめて強めるなどの行動分析の手法を用いていて、コミュニケーションの目標に中程度の改善がみられました。一方で、ダウン症候群に特有の発達の特徴に合わせてつくられた支援は少なく、より厳密な方法で効果を確かめる研究が今後必要だとしています。

コミュニケーションの支援には一定の効果が期待できますが、どの方法が最も適しているかはまだ研究の途中です。子どもの様子に合わせて、専門職と相談しながら取り組むことが大切です。

ダウン症のポイント

  • ダウン症(ダウン症候群)は、21番染色体が1本多いことで起こる染色体の変化で、約95%は21トリソミーです。
  • 母親の年齢とともに可能性は高くなりますが、ダウン症候群の赤ちゃんの多くは35歳未満の母親から生まれています。
  • 心臓の異常(約50%)、難聴や耳の感染症、目の異常、甲状腺機能低下症などが起こりやすく、定期的な検査が大切です。
  • 運動や言葉の発達がゆっくりなことが多いものの、その程度はさまざまです。
  • 早い時期からの教育や療育、コミュニケーションの支援で、子どもの力を伸ばすことができます。
  • 平均余命は約60歳で、80代まで生きる人もいます。

ダウン症についてよくある質問

回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。

ダウン症の原因は何ですか?

21番染色体が1本多いことが原因で、約95%は21トリソミーです。約4%は余分な21番染色体の一部がほかの染色体についた転座型で、通常と多い細胞が混ざったモザイク型もあります。

ダウン症は母親の年齢と関係がありますか?

母親の年齢とともに可能性は少しずつ高くなります。ただし出産は若い年齢で多いため、ダウン症候群の赤ちゃんのうち35歳以上の母親から生まれる割合は約20%にとどまります。

ダウン症の子どもの言葉の発達は?

言葉の面での発達の遅れがよくみられますが、その程度は人によってさまざまです。難聴や耳の感染症が多いため、聞こえの確認も大切です。身ぶりや絵カードなども使いながら、言語聴覚士などと相談して支援します。

ダウン症で起こりやすい病気は?

生まれつきの心臓の異常(約50%)、難聴や耳の感染症、白内障などの目の異常(約60%)、甲状腺機能低下症、糖尿病、白血病、睡眠時無呼吸症候群、首の骨の不安定さなどがあります。

ダウン症は治りますか?

根本的に治す治療法はありませんが、心臓や消化管の異常の手術、甲状腺の病気の治療など、合併症の多くは治療できます。早い時期からの教育や支援で、子どもの能力を高めることができます。

ダウン症の人の寿命はどのくらいですか?

平均余命は約60歳で、80代まで生きる人もいます。ほかの染色体の病気の多くと比べて経過の見通しは良好ですが、比較的早い年齢で認知症の症状が現れることがあります。

出典

  1. MSDマニュアル家庭版 · ダウン症候群(21トリソミー)
  2. Neil N, Jones EA. Communication intervention for individuals with Down syndrome: systematic review and meta-analysis. Dev Neurorehabil. 2016

このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。