良性発作性頭位めまい症(BPPV)とは?
BPPVは、頭の位置が変わったときに、内耳にある半規管が刺激されて、短時間のぐるぐる回るめまい(回転性めまい)が起こる病気です。
- 頭位:ベッドに横になる、首を回すなど、頭の位置を変えたときに起こるという意味です。
- 良性:危険な病気ではないという意味です。
年齢が高いほど起こりやすく、高齢者では平衡感覚に大きく影響して、転倒やけがにつながることがあります。
BPPVの原因
BPPVは、ふだんは内耳の一部(卵形嚢と球形嚢)に収まっているカルシウムの粒(耳石)がはがれて、平衡感覚をつかさどる半規管(多くは後半規管)に入りこむことで起こります。頭を動かすと、半規管の中の液体が大きく動き、回転しているような感覚が生じます。
- 加齢
- 耳の感染症、頭や耳のけが、耳の手術
- 麻酔中やベッドでの安静など、長く体を動かさない状態
- 骨粗しょう症、高血圧、糖尿病、脂質異常症など
BPPVの症状
- 頭を動かしたときに、自分や周りがぐるぐる回るようなめまいが起こります。
- めまいは短く、通常は1分未満、数秒から数分でおさまります。
- 吐き気や嘔吐を伴うことがあり、目が一定の方向に揺れる(眼振)こともあります。
- 難聴や耳鳴りは起こりません。
朝起きて寝返りを打ったときや、高い棚に手を伸ばして頭を後ろにそらしたときなどに起こりやすくなります。
症状の経過
数日から数週間のあいだに何度も発作が起こることがあり、その後は徐々に自然におさまっていきます。数週間から数か月にわたって再発することもあります。
症状自体は危険ではありませんが、運転中など安全でない状況で起こると、転倒などの事故につながることがあります。
ディックス・ホールパイク法による診断
BPPVは、症状の内容と起こるときの状況から診断します。通常、ディックス・ホールパイク法という検査が行われます。
- 診察台に座り、頭を45度横に向けます。
- 医師の介助で、頭を少し下げた状態ですばやくあお向けに寝ます。
- BPPVでは、数秒遅れてめまいと眼振が起こり、10〜30秒ほどで弱まって消えます。
- くり返すと、めまいと眼振はだんだん弱くなります。

危険なめまいとの違い
脳卒中や多発性硬化症など、より深刻な脳の病気が原因のめまいでは、ディックス・ホールパイク法ですぐに症状が起こり、頭の位置を変えない限り続き、くり返しても弱くなりません。
危険な病気かどうかはっきりしない場合は、MRIなどの画像検査を行うことがあります。耳石置換法で効果がない場合も、ほかの病気がないかを調べます。
エプリー法などの耳石置換法
BPPVは通常、簡単に治療できます。はがれた耳石を、症状を起こさない場所へ頭の動きで戻す方法を「耳石置換法」といいます。
- エプリー法:体と頭をいくつかの位置へ順に動かし、各位置を約30秒保って、耳石を重力で移動させます。大半の人は、この方法でめまいがすぐに軽くなります。
- セモン法:横向きに寝る動きを左右で行う方法です。
- ブラント・ダロフ法:座った姿勢から横向きに寝る動きを左右でくり返す方法で、自宅で行うこともできます。
薬は一般的にすすめられません。ごくまれに手術が必要になります。

治療後と再発への備え
- エプリー法のあとは、1〜2日間、体を起こした姿勢か上半身を半分起こした姿勢を保つようにします。
- めまいが再発する人もいますが、その場合は耳石置換法をくり返します。
- 再発に備えて、自宅でこの方法を行うやり方を習うこともできます。
まれに外側半規管に耳石が入ることがあり、その場合は丸太のように体を転がす方法で症状を軽くできます。
出典によって異なる点:エプリー法の効果の大きさ
MSDマニュアル家庭版は、ほとんどの場合、エプリー法を1〜2回行うことで症状がやわらぐとしています。
コクランのシステマティックレビュー(Hiltonら、2014年)は、エプリー法に関する11件の試験(745人)をまとめました。めまいが完全に消えた人の割合は、偽の手技や無治療と比べて、21%から56%に増えました。ディックス・ホールパイク法の結果が陽性から陰性に変わる割合も、エプリー法で大きく改善しました。一方で、エプリー法とほかの耳石置換法を比べた試験では、めまいの消失は評価されていませんでした。
エプリー法は確かな効果がありますが、1回ですべての人が治るわけではなく、くり返しや別の方法が必要なこともある、と整理できます。
BPPVのポイント
- BPPVは、頭の位置を変えたときに短いぐるぐるめまいが起こる病気です。
- はがれた耳石が半規管に入りこむことが原因です。
- めまいは通常1分未満で、難聴や耳鳴りは伴いません。
- ディックス・ホールパイク法で診断します。
- エプリー法などの耳石置換法で、多くはすぐに軽くなります。
- めまいが続く、手足の症状などがある場合は、脳の病気を疑って受診します。
良性発作性頭位めまい症についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
BPPVのめまいはどんな特徴がありますか?
寝返りや上を向いたときなど、頭を動かしたときに短いぐるぐるめまいが起こります。通常は1分未満でおさまり、難聴や耳鳴りは伴いません。
BPPVの原因は何ですか?
内耳にあるカルシウムの粒(耳石)がはがれて、半規管に入りこむことが原因です。加齢、頭のけが、長く寝ていることなどでも起こります。
エプリー法とは何ですか?
体と頭をいくつかの位置へ順に動かして、はがれた耳石を症状が起こらない場所へ戻す方法です。大半の人でめまいがすぐに軽くなります。
BPPVに薬は効きますか?
薬は一般的にすすめられません。頭を動かす耳石置換法が治療の中心です。
BPPVは再発しますか?
再発することがあります。その場合は耳石置換法をくり返します。自宅で行うやり方を習うこともできます。
危険なめまいとどう見分けますか?
頭を動かさなくてもめまいが続く、ろれつが回らない、手足に力が入らないといった場合は脳の病気の可能性があり、すぐに受診が必要です。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 良性発作性頭位めまい症
- Hilton MP, Pinder DK. The Epley (canalith repositioning) manoeuvre for benign paroxysmal positional vertigo. Cochrane Database Syst Rev. 2014
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

