本文へ移動

腰の痛み MediBilbao Salud

脊柱管狭窄症とは?歩くと脚が痛む原因・症状・治療と手術

脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る神経の通り道(脊柱管)が狭くなり、神経が圧迫される病気です。腰で起こる腰部脊柱管狭窄症は高齢者の腰痛のよくある原因で、歩くと脚が痛くなり、前かがみになったり座ったりすると楽になるのが特徴です。原因、症状、受診の目安、治療を整理します。

テーマ
理学療法
更新日
読了時間
7分
監修
Itziar Gotxi Erezuma医師 · 耳鼻咽喉科専門医 · ビスカヤ県医師会 登録番号 484809757
公園のベンチに座って休む高齢の女性
脊柱管狭窄症の脚の痛みは、座って休むと和らぐのが特徴です。AIで作成したイラストです。

脊柱管狭窄症とは?

背骨(脊椎)は、椎骨という骨が積み重なってできていて、その中心を「脊柱管」というトンネルが貫いています。脊柱管の中には脊髄と、脊髄の下端から伸びる神経の束(馬尾)が通っています。

腰部脊柱管狭窄症は、腰の部分で脊柱管が狭くなり、腰から脚へ向かう神経が締めつけられる(圧迫される)状態です。脊柱管が狭くなると、とくに神経の根元(神経根)が圧迫されて痛みが起こります。

腰部脊柱管狭窄症は高齢者の腰痛のよくある原因で、坐骨神経痛を起こすこともあります。生まれつき脊柱管が細い人では、中年で起こることもあります。首の部分で同じように脊柱管が狭くなる「頸部脊柱管狭窄症」もありますが、このガイドでは腰部について説明します。

脊柱管狭窄症の原因

脊柱管が狭くなる主な原因は次のとおりです。

  • 変形性関節症:加齢による背骨の関節の変化で、骨のとげ(骨棘)ができるなどして脊柱管が狭くなります。
  • 脊椎すべり症:腰の椎骨が部分的に前にずれる状態です。
  • 脊椎分離症:椎骨の一部が折れて分離した状態です。
  • そのほか:けが、まれに骨パジェット病など。

多くは年齢を重ねることに伴う背骨の変化によって、少しずつ進みます。

脊柱管狭窄症の症状:歩くと痛み、前かがみで楽になる

症状は、どの神経が圧迫されているかによって異なりますが、次のような特徴があります。

  • 腰に痛みがあり、片脚または両脚へ下っていくことがある
  • 歩く、走る、階段を上る、ときには立っているだけで、お尻、太もも、ふくらはぎが痛む
  • 立ち止まるだけでは楽にならず、背中を前に曲げるか座ると和らぐ(チクチク感は残ることもある)
  • 背中を後ろに反らすと悪化する
  • 坂道は、下りより上りの方が楽
  • 足や脚の痛み、チクチクする感覚、筋力の低下、反射の低下

背中を少し丸めた姿勢になるため、ショッピングカートを押したり歩行器を使ったりすると楽に歩けることがよくあります。このように、歩くと脚の痛みやしびれが出て、休むと再び歩けるようになる状態は「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」と呼ばれます。

リハビリ施設の廊下を歩く高齢の男性と、見守る専門職
歩いたときに痛みやしびれがどう変わるかが、診断の手がかりになります。AIで作成したイラストです。

すぐに受診すべき馬尾症候群のサイン

まれに、神経の根元が突然強く圧迫されると、「馬尾症候群」が起こることがあります。馬尾は、脚、腸の下の部分、膀胱とのあいだで神経の信号を伝える神経の束です。

  • 尿や便のコントロールができなくなる(もれる、出ない)
  • 膝から足首までの部分が動かなくなる
  • 股の間(鼠径部)やそのまわりの感覚がなくなる

これらの深刻な症状が現れた場合は、すぐに受診する必要があります。また、脚の力が入りにくい、しびれが強いといった症状がある場合も、早めに整形外科を受診しましょう。

脊柱管狭窄症の診断

一般的には、特徴的な痛みのパターンから腰部脊柱管狭窄症が疑われます。診察では、脚の筋力や反射を確認します。

  • MRI検査・CT検査:筋力の低下やしびれがある場合や、症状が6週間以上続く場合に、脊柱管を狭くしている背骨の異常を確認します。
  • 電気診断検査:神経伝導検査や筋電図検査で、圧迫されている部分や神経の損傷の程度を調べます。

どのような姿勢や動作で痛みが強まり、何をすると和らぐかを医師に伝えると、診断の手がかりになります。

医師が背骨の模型を使って患者に説明している様子
脊柱管は、背骨の中心を通る神経のトンネルです。AIで作成したイラストです。

脊柱管狭窄症の治療①:痛みを和らげる対策

  • 短期間の安静:1〜2日間ベッドで休むと痛みが和らぐことがあります。ただし、長く安静にしていると体幹の筋力が落ちてこわばりが強くなり、かえって痛みが悪化し、回復が遅れます。
  • 寝る姿勢:硬さが中くらいのマットレスで楽な姿勢をとります。横向きで寝る場合は、膝のあいだに枕をはさみ、股関節と膝を少し曲げると楽になることがあります。
  • 冷やす・温める:アイスパックで冷やしたり、温熱パッドで温めたりすると、痛みの緩和に役立つことがあります。
  • 痛み止め:アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの市販の鎮痛薬が使われます。
  • 神経の痛みの薬:ガバペンチンなどの抗てんかん薬や、特定の抗うつ薬が役立つ人もいます。
  • 注射:痛みがひどい場合や長引く場合は、ステロイドを脊柱管の外側(硬膜外腔)に注射することがあります。

薬の選び方は、持病や飲んでいる薬もふまえて医師と相談してください。

脊柱管狭窄症の治療②:運動とリハビリ

理学療法や、ウォーミングアップをしてから太ももの裏の筋肉(ハムストリング)をやさしくストレッチすることは、筋肉のけいれんを和らげるのに役立つ可能性があります。

  • 歩くときの工夫:前かがみの姿勢で楽になるため、ショッピングカートや歩行器を押しながら歩くと、痛みが出にくくなることがあります。
  • 坂道や階段:坂道は下りより上りの方が楽なことが多いため、歩くルートを工夫するのも一つの方法です。
  • 体幹の筋力を保つ:安静にしすぎず、腹筋や背筋、お尻の筋肉を保つ運動を続けることが大切です。

どのような運動が合うかは症状によって異なるため、理学療法士や整形外科医に相談しながら進めましょう。

脊柱管狭窄症の治療③:手術

痛みを和らげる対策で効果がない場合は、脊髄や神経への圧迫を取り除くために手術が必要になることがあります。

  • 腰椎椎弓切除術:腰に沿って皮膚を切開し、椎骨の「椎弓板」という部分を取り除いて、神経への圧迫をなくします。複数の椎弓板を取り除く必要がある場合は、椎骨同士を固定することもあります。
  • 腰椎椎弓切開術:椎弓板をすべて取り除くのではなく、穴をあけるだけで圧迫を和らげる方法です。

どちらの手術も、とても小さな切開で行うことができ、そのぶん回復にかかる期間が短くなります。手術を受けるかどうかは、症状の強さ、日常生活への影響、手術のリスクをふまえて、医師とよく相談して決めましょう。

出典によって異なる点:手術と保存療法はどちらがよいか

MSDマニュアル家庭版は、痛みを和らげる対策が効果的でない場合に、神経の圧迫を取り除く手術が必要になることがあると説明しています。

コクランのシステマティックレビュー(Zainaら、2016年)は、腰部脊柱管狭窄症で手術と手術以外の治療を比べたランダム化試験5件(643人)をまとめました。痛みによる生活の支障は、6か月後と1年後では手術と保存療法のあいだに差がなく、2年後に手術の方がやや良好という結果でした。一方で、副作用は手術の方が多く(10〜24%)、保存療法では副作用は報告されませんでした。根拠の質は低く、どちらがよいかは結論づけられないとしています。

手術で神経の圧迫を取り除くことは有力な選択肢ですが、保存療法と比べた優劣ははっきりしておらず、副作用の差も含めて、患者と医師がよく話し合って選ぶことが大切です。

脊柱管狭窄症のポイント

  • 腰部脊柱管狭窄症は、腰の脊柱管が狭くなって神経が圧迫される病気で、高齢者の腰痛のよくある原因です。
  • 主な原因は、変形性関節症、脊椎すべり症、脊椎分離症などの背骨の変化です。
  • 歩くとお尻や脚が痛み、前かがみになるか座ると和らぐのが特徴で、カートを押すと楽に歩けることがあります。
  • 尿や便のコントロールができない、脚が動かない、股の感覚がないといった症状は、すぐに受診が必要です。
  • 鎮痛薬、神経の痛みの薬、注射、ストレッチや理学療法で痛みを和らげ、効果がなければ手術が検討されます。
  • 研究では、手術と保存療法のどちらがよいかははっきりせず、副作用は手術の方が多いと報告されています。

脊柱管狭窄症についてよくある質問

回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。

脊柱管狭窄症の特徴的な症状は何ですか?

歩いたり立ったりすると、お尻、太もも、ふくらはぎが痛み、前かがみになるか座ると和らぐことです。背中を反らすと悪化し、坂道は下りより上りの方が楽なことが多いとされます。

脊柱管狭窄症の原因は何ですか?

主な原因は、加齢に伴う変形性関節症、腰の椎骨がずれる脊椎すべり症、椎骨の一部が分離する脊椎分離症です。生まれつき脊柱管が細い人では、中年で起こることもあります。

脊柱管狭窄症は手術しないと治りませんか?

多くは、痛み止め、神経の痛みの薬、注射、ストレッチや理学療法などで痛みを和らげます。これらで効果がない場合に手術が検討されます。研究では、手術と保存療法のどちらがよいかははっきりしていません。

歩くときに楽になる工夫はありますか?

背中が少し丸まった姿勢になると楽になるため、ショッピングカートや歩行器を押しながら歩くと痛みが出にくいことがあります。坂道は下りより上りの方が楽なことが多いとされます。

すぐに病院に行くべき症状は?

尿や便のコントロールができなくなる、膝から下が動かない、股の間やそのまわりの感覚がなくなるといった症状は、馬尾症候群のおそれがあるため、すぐに受診してください。

安静にしていた方がよいですか?

1〜2日間の安静で痛みが和らぐことはありますが、長く安静にしすぎると体幹の筋力が落ちて、かえって痛みが悪化し回復が遅れます。痛みに応じて体を動かすことが大切です。

出典

  1. MSDマニュアル家庭版 · 腰部脊柱管狭窄症
  2. Zaina F, et al. Surgical versus non-surgical treatment for lumbar spinal stenosis. Cochrane Database Syst Rev. 2016

このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。