骨粗鬆症とは?
骨は生きた組織で、古い骨を壊す働き(骨吸収)と、新しい骨をつくる働き(骨形成)を常にくり返しています。骨粗鬆症は、このバランスが崩れて骨をつくる量より壊す量が多くなり、骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。
骨の量は30歳ごろに最大になり、その後は少しずつ減っていきます。女性では、閉経後に骨の減り方が速くなります。
骨粗鬆症は女性に多く、50歳以上の女性の約5人に1人、50歳以上の男性の約20人に1人にみられます。閉経後の女性の約半数は、生涯のうちに骨粗鬆症に関係する骨折を経験するとされています。
骨粗鬆症の原因と危険因子
骨粗鬆症のほとんどは、加齢や閉経に伴って起こる「原発性骨粗鬆症」です。主な原因の一つは、女性ホルモン(エストロゲン)の減少で、とくに閉経後の急な減少が影響します。
- 家族に骨粗鬆症の人がいる(親が太ももの付け根を骨折したことがあるなど)
- カルシウムやビタミンDが少ない食生活
- 体を動かさない生活
- やせ型の体形
- 早い閉経
- 喫煙、過度の飲酒
ほかの病気や薬が原因となる「続発性骨粗鬆症」もあります。慢性腎臓病、甲状腺や副甲状腺の働きの過剰、糖尿病などの病気や、ステロイドの長期使用などが原因になります。
骨粗鬆症の症状:骨折するまで気づきにくい
骨粗鬆症では、骨が減っていく段階では症状がなく、痛みもないのが普通です。しかし、転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。
- 背骨(脊椎)の圧迫骨折:骨粗鬆症で最も多い骨折で、背骨がつぶれるように折れます。痛みがないことも多いのですが、突然背中が痛み、立ったり歩いたりすると悪化することもあります。
- 背中が丸くなる・身長が縮む:圧迫骨折がくり返されると、背中が丸くなったり身長が縮んだりします。
- 手首の骨折:とくに閉経後の女性に多くみられます。
- 太ももの付け根(大腿骨)の骨折:最も重い骨折の一つで、高齢者が自立した生活を失う主な原因になります。
一度骨粗鬆症による骨折を起こすと、次の骨折を起こすリスクが非常に高くなります。
骨粗鬆症の検査:骨密度の測定
骨粗鬆症の診断は、骨密度の検査で確定します。骨折が起こる前に見つけることができます。
- DXA法(二重エネルギーX線吸収法):最も有用な検査で、背骨や股関節の骨密度を測ります。痛みはなく、放射線の量もごくわずかで、10〜15分ほどで終わります。治療の効果をみるのにも使われます。
- そのほかの方法:日本整形外科学会は、超音波法、MD法、CT法などの検査も挙げています。
- 血液検査:カルシウム、ビタミンD、ホルモンなどを測り、ほかの原因がないかを調べます。
65歳以上のすべての女性、危険因子のある閉経後の女性、軽い力で骨折したことのある人などは、骨粗鬆症が疑われ、検査の対象になります。
予防と治療①:カルシウムとビタミンD
十分なカルシウムとビタミンDをとることは、骨の量が最大になる30歳ごろまでにとくに効果的ですが、それ以降でも役立ちます。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けます。
- カルシウム:成人は1日1,000mgが目安で、閉経後の女性や高齢の男性などでは1,200〜1,500mgが必要な場合があります。乳製品、豆腐、イワシ、加熱した青菜などに多く含まれます。
- ビタミンD:骨粗鬆症の人は、1日600〜800国際単位のビタミンDの補充がすすめられています。
- サプリメント:食事だけで足りない場合に使います。
日本整形外科学会は、予防のために、ビタミンK、リン、マグネシウム、適量のタンパク質をとること、日光浴をすることも挙げています。
予防と治療②:体重をかける運動
- 体重のかかる運動:ウォーキング、階段の上り下り、ウエイトトレーニングなどは、骨密度を増やします。
- 体重のかからない運動:水泳などは骨密度を増やしませんが、体幹の筋力とバランスを強くして、転倒のリスクを下げます。
- 注意:閉経前の女性が十分に食べずに激しい運動をすると、体重減少や月経が止まることで、かえって骨密度が下がることがあります。
背骨の圧迫骨折がある人や痛みのある人は、背中の筋肉を強くする運動が役立つこともありますが、内容は医師や理学療法士と相談して決めましょう。

予防と治療③:薬による治療
- ビスホスホネート系薬:骨の分解を抑える薬で、通常最初に使われます。飲み薬は、起床直後の空腹時にコップ1杯の水で飲み、その後30〜60分は飲食を控えるなど、決められた飲み方があります。多くは3〜5年続けます。
- 注射の薬:骨の分解を抑える注射や、新しい骨の形成を促す注射の薬もあり、骨折のリスクが特に高い人などに使われます。
- まれな副作用:一部の薬では、ごくまれにあごの骨の治りが悪くなることがあります。歯科治療の予定がある場合は、医師と歯科医師の両方に伝えましょう。
全体として、処方どおりに使えば、骨折を防ぐ利益は副作用のリスクをはるかに上回るとされています。日本整形外科学会は、閉経後の女性に整形外科での定期的な検診をすすめています。
骨折を防ぐ:転倒予防と生活の工夫
骨粗鬆症の人にとって、転ばないことは骨を強くすることと同じくらい大切です。高齢者では、バランスの低下、視力の低下、筋力の低下、ふらつきを起こす薬などで転倒しやすくなります。
- 安全のために自宅の環境を見直す
- 理学療法士と一緒に運動プログラムをつくる
- 体の中心部(体幹)の筋力を鍛えて、バランスをよくする
- ふらつきを起こしやすい薬を飲んでいる場合は、医師に相談する
- 禁煙し、アルコールは控えめにする
すでに骨折した場合は、骨折の部位に応じた治療(手術や固定など)を行います。背骨の圧迫骨折の後は、寝たままでいることを避け、重い物を持ち上げないようにし、可能になりしだい体重のかかる運動を再開します。

出典によって異なる点:運動で骨はどのくらい守れるか
MSDマニュアル家庭版は、ウォーキングや階段の上り下りなど体重のかかる運動が骨密度を増やすとし、カルシウム・ビタミンDと並ぶ予防と治療の柱としています。日本整形外科学会も、運動と日光浴を予防法に挙げています。
コクランのシステマティックレビュー(Howeら、2011年)は、閉経後の女性を対象にした運動の43件のランダム化試験(4,320人)をまとめました。太ももの付け根の骨密度には、脚の筋力トレーニングのような負荷の大きい運動が、背骨の骨密度には複数の種類を組み合わせた運動が最も効果的でした。運動による骨密度の改善は統計的には小さいものの意味のある可能性があるとされましたが、骨折の数を減らす効果は確認されず、研究の報告の質も低いものでした。
運動は骨の減少を防ぐ安全で効果的な方法になりうる一方、運動だけで骨折を防げるとは言い切れません。食事、薬、転倒予防と組み合わせて取り組むことが大切です。
骨粗鬆症のポイント
- 骨粗鬆症は、骨密度が減って骨がもろくなり、骨折しやすくなる病気で、閉経後の女性に多くみられます。
- 骨が減っていく段階では症状がなく、背骨、手首、太ももの付け根の骨折で気づくことが少なくありません。
- 診断は骨密度の検査(DXA法など)で行います。
- 十分なカルシウムとビタミンD、体重のかかる運動、禁煙と節酒が予防と治療の基本です。
- 骨折のリスクが高い人には、骨の分解を抑える薬などが使われます。
- 転ばない工夫も、骨折を防ぐための大切な対策です。
骨粗鬆症についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
骨粗鬆症の初期症状は?
骨が減っていく段階では、痛みなどの症状はないのが普通です。転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折したり、背中が丸くなる、身長が縮むといった変化で気づくことがあります。
骨粗鬆症はなぜ女性に多いのですか?
女性ホルモン(エストロゲン)には骨を守る働きがあり、閉経後にこのホルモンが急に減ると骨の減り方が速くなるためです。50歳以上の女性の約5人に1人に骨粗鬆症がみられます。
骨密度の検査はどのようなものですか?
最も有用なのはDXA法で、背骨や股関節の骨密度を測ります。痛みはなく、放射線の量もごくわずかで、10〜15分ほどで終わります。
骨粗鬆症の予防に効く食べものは?
カルシウムを多く含む乳製品、豆腐、イワシ、加熱した青菜などをとり、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも不足しないようにします。適量のタンパク質も大切です。
骨粗鬆症にはどんな運動がよいですか?
ウォーキング、階段の上り下り、筋力トレーニングなど体重のかかる運動が骨密度を増やします。水泳は骨密度は増やしませんが、筋力とバランスを強くして転倒予防に役立ちます。
骨粗鬆症の薬はずっと飲み続ける必要がありますか?
最初に使われることの多いビスホスホネート系薬は、多くの人で3〜5年続けます。骨折のリスクによって期間は異なるため、主治医と相談して決めます。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 骨粗しょう症
- 日本整形外科学会 · 症状・病気をしらべる「骨粗鬆症」
- Howe TE, et al. Exercise for preventing and treating osteoporosis in postmenopausal women. Cochrane Database Syst Rev. 2011
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

