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高齢期の健康 MediBilbao Salud

サルコペニアとは:原因、診断の目安と予防

立ち上がるのがおっくうになった、歩くのが遅くなった。サルコペニアは、年齢とともに筋肉が減り、筋力や体の機能が落ちた状態です。放っておくと歩くことが難しくなることもあります。原因、診断の目安、食事と運動による予防を整理します。

テーマ
栄養
更新日
読了時間
5分
監修
Itziar Gotxi Erezuma医師 · 耳鼻咽喉科専門医 · ビスカヤ県医師会 登録番号 484809757

サルコペニアとは?

サルコペニアは、高齢期にみられる骨格筋の量の低下に、筋力の低下、または歩く速さなどの身体機能の低下が加わった状態です。

骨格筋の量の低下は25〜30歳ごろから始まり、生涯を通して進みます。つまり、筋肉の減少は高齢になってから急に始まるのではなく、若いころから少しずつ進んでいくものです。

サルコペニアの原因と危険因子

サルコペニアの主な原因は加齢です。そのほかに、次のようなことが危険因子になります。

  • 活動不足:体を動かす機会が少ない
  • 病気:病気によって筋肉が衰える
  • 栄養不良:筋肉をつくる栄養が足りない

サルコペニアが暮らしに与える影響

サルコペニアになると、重力に逆らって体を支える筋肉(抗重力筋)が衰えます。広背筋、腹筋、ひざを伸ばす筋肉、お尻の筋肉などです。

その結果、立ち上がったり歩いたりすることがだんだんおっくうになります。放っておくと歩くことが難しくなるため、サルコペニアは高齢者の活動能力が低下する大きな原因になっています。

年齢とともに衰えやすい筋肉

全身には大小約400の筋肉があります。そのうち生活の質(QOL)に大きく影響するのは、立つ、歩く、姿勢を保つといった日常動作の土台になる筋肉です。

  • ひざを伸ばす、太ももの前の大腿四頭筋
  • 太ももを後ろに振る、お尻の大臀筋
  • 上半身を支える腹筋群と背筋群

これらは姿勢維持筋とも呼ばれ、実は年齢の影響で衰えやすい筋肉です。たとえば大腿四頭筋の量は、80歳代の平均が30歳代の平均の半分ほどという報告があります。

アジアの診断の目安(AWGS 2019)

アジアのサルコペニア・ワーキンググループ(AWGS)の2019年の基準では、まず次のいずれかでふるい分けを行います。

  • ふくらはぎの周囲長:男性34cm未満、女性33cm未満
  • 質問票SARC-Fで4点以上、またはSARC-CalFで11点以上

そのうえで、次の項目を調べます。

  • 筋力:握力が男性28kg未満、女性18kg未満
  • 身体機能:6mを歩く速さが秒速1.0m未満、椅子からの立ち上がり5回に12秒以上、など
  • 筋肉量:身長で補正した筋肉量が基準より少ない

地域の健康づくりの場では、筋力か身体機能だけが低い状態を「サルコペニアの可能性」として、早めに生活習慣の改善につなげることも提案されています。

予防のための栄養:たんぱく質

サルコペニアの予防には、適切な栄養をとることが大切です。

特に、適正体重1kgあたり1日1.0g以上のたんぱく質をとることは、サルコペニアになるのを防ぐのに役立つ可能性があります。また、栄養と運動は、それぞれ単独で行うよりも、両方を組み合わせて行うほうが効果的です。

予防のための運動:レジスタンス運動

筋肉は、鍛えれば何歳になってからでも強く大きくすることができます。そのため、サルコペニアは運動によって防ぐことができます。

ウォーキングやジョギングなどの運動、そしてふだんから活動的に暮らすことが何より大切です。さらに効果を高めるには、スクワット、腕立て伏せ、腹筋運動など、ねらった筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動が勧められます。レジスタンス運動によって、サルコペニアによる筋肉の萎縮をおおむね3分の1程度に抑えられるといわれています。日常の動作能力の改善や転倒予防の効果も示されています。

安全に足腰を鍛える:椅子スクワットと腿上げ

  • 椅子スクワット:椅子から立ち上がって座る動作をくり返します。座るためにお尻を後ろに引き、上半身がやや前に傾くため、自然とひざを痛めにくい姿勢になります。しゃがみこみが深くなりすぎないのも安全な点です。太もも、お尻、太ももの裏、腹筋や背筋まで鍛えられます。
  • 腿上げ:立った姿勢で太ももを交互に引き上げます。足を前に振り出す腸腰筋を鍛えます。
  • トゥーレイズ:椅子に座ってつま先を上げます。すねの前脛骨筋を鍛えます。

足を前に振り出す筋肉が発達しているほど、歩幅が広く、歩く速さが速くなり、転倒のリスクも下がることがわかっています。ひざが前に出る深いスクワットは、ひざを痛めやすいので注意します。

出典によって異なる点:「予防の手段」と「診断の基準」

厚生労働省のe-ヘルスネットは、サルコペニアを予防する立場から、たんぱく質の量(適正体重1kgあたり1日1.0g以上)と、レジスタンス運動を中心とした具体的な運動を紹介しています。一方で、診断のための数値は示していません。

アジアの専門家による合意(AWGS 2019)は、握力、歩く速さ、筋肉量などの具体的な基準を示しています。治療の柱は運動と栄養補給としつつも、生活習慣の改善や栄養補助食品、薬の長期的な効果については、アジアの人を対象にしたさらなる研究が必要だとしています。

つまり、運動と栄養が大切という点は一致していますが、どこまで効果があるかについては、まだ研究が続いている段階です。

サルコペニアのポイント

  • サルコペニアは、加齢で筋肉量が減り、筋力や身体機能が落ちた状態です。
  • 筋肉の減少は25〜30歳ごろから始まり、生涯を通して進みます。
  • 活動不足、病気、栄養不良が危険因子です。
  • 握力(男性28kg未満、女性18kg未満)や歩く速さが診断の目安になります。
  • 適正体重1kgあたり1日1.0g以上のたんぱく質が予防に役立つ可能性があります。
  • レジスタンス運動と栄養を組み合わせることが、より効果的です。

サルコペニアについてよくある質問

回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。

サルコペニアとは何ですか?

高齢期にみられる骨格筋の量の低下に、筋力の低下、または歩く速さなどの身体機能の低下が加わった状態です。

何歳から筋肉は減り始めますか?

骨格筋の量の低下は25〜30歳ごろから始まり、生涯を通して進みます。

どうやって診断しますか?

アジアの基準では、握力(男性28kg未満、女性18kg未満)、歩く速さ、身長で補正した筋肉量などを調べます。

たんぱく質はどのくらいとればよいですか?

適正体重1kgあたり1日1.0g以上のたんぱく質は、サルコペニアの予防に役立つ可能性があります。

どんな運動がよいですか?

ウォーキングなどで活動的に過ごすことに加え、スクワットなど筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動が勧められます。

高齢になってから鍛えても意味がありますか?

あります。筋肉は鍛えることで、何歳になってからでも強く大きくすることができます。

出典

  1. 厚生労働省 e-ヘルスネット · サルコペニア
  2. 厚生労働省 e-ヘルスネット · サルコペニア(キーワード)
  3. 厚生労働省 e-ヘルスネット · QOLの維持・向上に大切な筋肉は?
  4. 厚生労働省 e-ヘルスネット · 安全かつ効果的に「足腰」を鍛える方法
  5. Chen LK, et al. Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment. J Am Med Dir Assoc. 2020

このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。