オメガ3脂肪酸とは?
オメガ3脂肪酸は、脂肪酸の一種です。主なものに、次の3つがあります。
- EPA(エイコサペンタエン酸):脂の多い魚に含まれます。
- DHA(ドコサヘキサエン酸):脂の多い魚に含まれます。
- アルファリノレン酸:アマニ、チアシード、クルミ、キャノーラ油など一部の植物性食品に含まれ、体内でEPAやDHAに変換されます。
魚油のサプリメントの有効成分は、このうちEPAとDHAです。
オメガ3脂肪酸を多く含む食品
- 脂の多い魚:サバ、ニシン、マグロ、サケなど。魚油はこれらの魚の組織から得られます。
- 植物性の食品:アマニ、チアシード、クルミ、キャノーラ油など(アルファリノレン酸)。
欧米の食事では、オメガ3脂肪酸の摂取量が一般に少なくなりがちです。食事からのオメガ3脂肪酸が少ないことは、さまざまな健康上の問題と関連づけられています。

魚油サプリメントに期待されている効果
魚油のサプリメントは、心臓を守り、炎症を和らげ、心の健康を良くすると宣伝されています。具体的には、次のような効果が主張されています。
- 冠動脈疾患の予防と治療
- 関節リウマチの治療
- 加齢黄斑変性の進行を遅らせる
- がんの進行を遅らせる
- ドライアイの緩和
- 抑うつの緩和
ただし、これらすべてに確かな根拠があるわけではありません。次の項目で、根拠の強さを整理します。
中性脂肪と心臓への効果
以前の研究では、魚油は冠動脈疾患のある人の心臓発作や不整脈による死亡を減らす可能性が示され、冠動脈疾患の危険因子である中性脂肪の血中濃度も下げるとみられていました。
最近の研究では、魚油を1〜7年間とると中性脂肪は下がるものの、冠動脈疾患のある人の心臓発作、不整脈による死亡、脳卒中にはあまり効果がなかったと考えられています。2019年のアメリカ心臓協会の勧告は、市販の魚油サプリメントの限界を指摘し、中性脂肪が高い人には承認を受けた処方薬だけを使うようすすめています。
その他の効果の根拠
- 関節リウマチ:効果を裏付ける科学的根拠はまだ得られていません。
- 加齢黄斑変性:高血圧などの危険因子を管理し、オメガ3脂肪酸と濃い緑色の葉野菜を食事で定期的にとることは役立つ可能性がありますが、サプリメントで進行が遅くなるわけではありません。
- がん:動物実験で増殖を遅らせる可能性が示されましたが、人では再現されていません。
- ドライアイ:症状の緩和に役立つことを示す根拠もありますが、一貫していません。
- 抑うつ:観察研究では、魚油をとっている人で抑うつが少ない可能性が示されていますが、決定的ではなく、効果は小さい可能性が高いとされています。
魚油サプリメントの副作用
- 魚臭いげっぷ、にきびの悪化、吐き気、下痢が起こることがあります。
- とりすぎると出血しやすくなることを示す研究が少数ありますが、関連はないとする研究もあります。
- 非常に高用量では、不整脈の一種である心房細動のリスクが高まる可能性があります。
魚油は比較的安全ですが、サプリメントは量を守って使うことが大切です。
薬との飲み合わせ
- 血圧の薬:魚油は予想以上に血圧を下げる可能性があるため、降圧薬を飲んでいる人は慎重にとる必要があります。
- ワルファリン:魚油は血液を固まりにくくする作用を強めることがあるため、ワルファリンを飲んでいる人は、主治医に確認してください。

妊娠中・授乳中の注意点
魚の中には水銀を多く含むものがあります。魚油のサプリメントの検査では、水銀が多いという結果が一貫して出ているわけではありませんが、水銀汚染のリスクを考えて、妊娠中や授乳中の女性は、魚から抽出したオメガ3脂肪酸のサプリメントをとるべきではないとされています。
また、魚の種類によっては、食べる量を制限する必要があります。
出典によって異なる点:心臓病を防ぐ効果はあるか
MSDマニュアル家庭版は、魚油が心臓発作や不整脈による死亡を減らす可能性があるとしつつ、最近の研究では効果はあまり大きくないとし、2024年の大規模な研究では一部の心疾患のリスク低下が示されたと紹介しています。
コクランのシステマティックレビュー(Abdelhamidら、2020年)は、86件のランダム化試験(162,796人)をまとめました。魚に多い長鎖オメガ3脂肪酸をとると、中性脂肪は量に応じて約15%下がりました。しかし、全体の死亡、心血管の病気による死亡や発生、脳卒中には、ほとんど、またはまったく影響がなく、冠動脈の病気をわずかに減らす可能性があるにとどまりました。
中性脂肪を下げる効果ははっきりしていますが、心臓病や脳卒中を防ぐ目的でサプリメントをとる意義は限られていると考えられます。
オメガ3脂肪酸のポイント
- オメガ3脂肪酸には、魚に多いEPA・DHAと、植物に多いアルファリノレン酸があります。
- サバ、ニシン、マグロ、サケなどの脂の多い魚やアマニ、クルミなどに含まれます。
- 魚油は中性脂肪を下げますが、心臓発作や脳卒中を防ぐ効果は大きくないと考えられています。
- 関節リウマチ、がん、抑うつなどへの効果は確かめられていません。
- 血圧の薬やワルファリンを飲んでいる人は、サプリメントを慎重に使いましょう。
- 妊娠中・授乳中は、魚由来のオメガ3サプリメントを避けます。
オメガ3脂肪酸についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
オメガ3脂肪酸は何に多く含まれていますか?
サバ、ニシン、マグロ、サケなどの脂の多い魚にEPAとDHAが、アマニ、チアシード、クルミ、キャノーラ油などにアルファリノレン酸が含まれます。
EPAとDHAの違いは何ですか?
どちらも脂の多い魚に含まれるオメガ3脂肪酸で、魚油サプリメントの有効成分です。植物に含まれるアルファリノレン酸は、体内でEPAやDHAに変換されます。
魚油サプリメントで中性脂肪は下がりますか?
はい。魚油は中性脂肪を下げることが示されています。研究では、長鎖オメガ3脂肪酸をとると中性脂肪が約15%下がりました。
オメガ3のサプリメントで心臓病は防げますか?
最近の研究では、心臓発作や脳卒中を防ぐ効果はあまり大きくないと考えられています。大規模なまとめでも、死亡や脳卒中にはほとんど影響がありませんでした。
オメガ3サプリメントに副作用はありますか?
魚臭いげっぷ、にきびの悪化、吐き気、下痢が起こることがあります。非常に高用量では心房細動のリスクが高まる可能性があります。
妊娠中にオメガ3サプリメントをとってもよいですか?
水銀汚染のリスクがあるため、妊娠中や授乳中の女性は、魚から抽出したオメガ3脂肪酸のサプリメントをとるべきではないとされています。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 魚油
- Abdelhamid AS, et al. Omega-3 fatty acids for the primary and secondary prevention of cardiovascular disease. Cochrane Database Syst Rev. 2020
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

