ケトジェニックダイエットとは?
ケトジェニックダイエットは、脂肪を多く含む食品をとり、炭水化物をごく少ない量に制限する食事法です。脂肪を多くとり炭水化物を減らす点で、パレオダイエットと似ています。
研究では、炭水化物を1日50g以下にする食事を「超低炭水化物ケトジェニックダイエット」と定義して、効果が調べられています。
体の中で起こること:ケトーシス
ふだん、体は主に炭水化物から得たブドウ糖をエネルギーとして使っています。炭水化物を極端に減らすと、体は脂肪を燃やしてエネルギーを得るようになります。この状態をケトーシスと呼びます。
ケトジェニックダイエットは、ケトーシスを起こし、その結果として体重を減らすことを目的としています。
なお、1日の中で食事をとる時間を限ったり、丸1日以上食事をとらなかったりする断続的絶食でも、肝臓にためたブドウ糖を使う状態から、脂肪から作られるケトンを使う状態への切り替えが起こります。
期待される効果
ケトジェニックダイエットには、空腹を抑える効果があることが示されています。その結果、次のような値が下がるとされています。
- 体重
- 腹囲(おなか回り)
- トリグリセリド(中性脂肪)
- ヘモグロビンA1c
- 血糖値
ケトジェニックダイエットで食べるもの
典型的なケトジェニックダイエットには、次のような食品が含まれます。
- アボカド、油、ナッツ
- 脂肪の多い魚、卵
- 牛肉、鶏肉
- 野菜
- チーズ、バター、クリーム
一方で、炭水化物の多い食品は、ごく少ない量に制限します。

続けることの難しさ
制限の強い食事は、必ずしもおいしいとは限りません。正しく続けられるかどうかが、大きな課題になります。
食事の方法を根本から変える食事療法を始めるときは、栄養不良にならないよう、専門家の助言を受けながら進めることが勧められます。食事に関する科学は常に変わっているため、医療従事者や栄養の専門家と、ときどき見直すことも大切です。
ケトジェニックダイエットのリスク
- 消化器の症状:便秘、吐き気、嘔吐、下痢
- ケトインフルエンザ:頭痛、疲れ、いらいら、眠りにくさ、吐き気などがみられることがある
- 体内のバランスの乱れ:脂質、カルシウム、たんぱく質の濃度の上昇
- そのほか:腎結石、肝臓の障害、貧血
研究でわかった体重と血液の値の変化
大人を対象に、ケトジェニックダイエットと、エネルギーを制限し脂肪をエネルギーの30%未満にした食事とを比べ、1年以上追跡した13件のランダム化比較試験をまとめたメタアナリシス(Buenoら、2013年)では、超低炭水化物ケトジェニックダイエットのグループは、脂肪を控えめにした食事のグループより、体重が平均で約0.9kg多く減りました(1,415人のデータ)。
- トリグリセリド(中性脂肪)と、血圧の下の値(拡張期血圧)は下がった
- HDLコレステロール(善玉コレステロール)は上がった
- LDLコレステロール(悪玉コレステロール)も上がった
体重の差はわずかで、LDLコレステロールが上がる点には注意が必要です。
てんかんの治療にも使われる食事
ケトジェニックダイエットは、発作の回数を減らすことを期待して、薬が効きにくいてんかんの治療にも使われています。
コクランの系統的レビュー(Martin-McGillら、2020年)は、13件の研究(932人、うち子ども711人)をまとめ、子どもでは通常の治療に比べて、発作がなくなった人や発作が半分以下に減った人が多かったとしています。一方、大人での効果ははっきりしていません。研究はどれも小規模で、だれがどの食事をしているかを隠せないために偏りが生じやすく、根拠の確かさは低い〜非常に低いと評価されています。より食べやすい修正アトキンス食などの関連する食事でも、発作を抑える効果は同じくらいで、副作用は少ない可能性がありますが、さらに調べる必要があるとしています。てんかんの食事療法は、医師の管理のもとで行われるものです。
出典によって異なる点:体重を減らす効果はどれくらいか
MSDマニュアル家庭版は、ケトジェニックダイエットは空腹を抑え、体重、腹囲、中性脂肪、血糖などを下げるとしています。一方で、便秘やケトインフルエンザ、腎結石、肝臓の障害などのリスクも挙げています。
脂肪を控えめにした食事と比べた研究(Buenoら、2013年)では、ケトジェニックダイエットのほうが長期的に体重が減ったものの、その差は平均約0.9kgと小さなものでした。また、LDLコレステロールが上がることも示されています。
つまり、ケトジェニックダイエットは体重を減らす選択肢の一つになりえますが、効果は大きくなく、続けにくさやリスクもあるため、自分に合うかどうかを医師や管理栄養士と相談して決めることが大切です。
ケトジェニックダイエットのポイント
- 脂肪を多くとり、炭水化物をごく少なくする食事法です。
- 脂肪を燃やしてエネルギーにする状態(ケトーシス)をつくります。
- 空腹を抑え、体重、中性脂肪、血糖などを下げる効果が示されています。
- 便秘、ケトインフルエンザ、腎結石、肝臓の障害などのリスクがあります。
- 低脂肪食と比べた体重の差は平均約0.9kgで、LDLコレステロールは上がりました。
- 薬が効きにくい子どものてんかんでは、医師の管理のもとで治療に使われます。
- 始めるときは、専門家の助言を受けながら進めます。
ケトジェニックダイエットについてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
ケトジェニックダイエットとは何ですか?
脂肪を多く含む食品をとり、炭水化物をごく少ない量に制限する食事法です。体が脂肪を燃やしてエネルギーにする状態(ケトーシス)をつくります。
何を食べますか?
アボカド、油、ナッツ、脂肪の多い魚、卵、牛肉、鶏肉、野菜、チーズ、バター、クリームなどです。
本当にやせますか?
研究では、低脂肪食より体重が多く減りましたが、その差は平均約0.9kgと小さなものでした。
ケトインフルエンザとは何ですか?
ケトジェニックダイエットを始めたときにみられることがある、頭痛、疲れ、いらいら、眠りにくさ、吐き気などの症状です。
体に悪い影響はありますか?
便秘、吐き気、下痢などの消化器の症状、腎結石、肝臓の障害、貧血などのリスクがあります。LDLコレステロールが上がることも示されています。
てんかんの治療に使われるのは本当ですか?
本当です。薬が効きにくいてんかんの子どもで効果が示されていますが、医師の管理のもとで行われる食事療法です。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 食事療法
- Bueno NB, et al. Very-low-carbohydrate ketogenic diet v. low-fat diet for long-term weight loss: a meta-analysis of randomised controlled trials. Br J Nutr. 2013
- Martin-McGill KJ, et al. Ketogenic diets for drug-resistant epilepsy. Cochrane Database Syst Rev. 2020
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

