夜驚症とは?
夜驚症は、眠っている最中に恐怖で起き上がったり、悲鳴を上げたり、腕を振り回したりする発作です。目を見開き、心臓の鼓動が速くなり、非常におびえた様子に見えます。
睡眠中に起こる異常な行動は「睡眠時随伴症」と呼ばれ、夜驚症はその一つです。子どもでは、夜驚症のほか、夢遊病(睡眠時遊行症)などもよくみられます。
夜驚症が起こるタイミング
夜驚症の発作は、部分的に目覚めたときや、ノンレム睡眠の最も深い段階から目覚めたときに起こり、典型的には夜の最初の数時間にみられます。
子どもに多い夢遊病(睡眠時遊行症)も、同じくノンレム睡眠の最も深い段階で起こります。どちらも、本人はほとんど覚えていないのが特徴です。
悪夢との違い
- 夜驚症:深いノンレム睡眠中に起こります。起きたあとに発作のことも夢の内容も覚えていません。
- 悪夢:鮮明でこわい夢で、レム睡眠中に起こり、突然目が覚めます。子どもも大人も見ることがあり、ストレス、発熱、強い疲れ、飲酒のときに見やすくなります。
夜驚症はどのくらい多い?
夜驚症は子どもに多くみられます。カナダ・ケベック州で生まれた子ども1,940人を1歳半から13歳まで追跡した研究では、夜驚症が最も多かったのは1歳半の時点で、34.4%の子どもにみられました(母親への質問票による調査)。
つまり、幼い子どもの夜驚症は決してめずらしいものではありません。多くは成長とともに起こらなくなります。
夢遊病との関係
夜驚症は、夢遊病(睡眠時遊行症)に移ることがあります。先ほどの研究では、幼いころに夜驚症があった子どもの最大3分の1が、その後、夢遊病を起こすようになりました。夢遊病が最も多かったのは10歳の時点で、13.4%でした。
研究者は、夜驚症と夢遊病は、同じ仕組みが形を変えて現れたものではないかと考えています。
親に夢遊病の経験があると起こりやすい
同じ研究では、親が子どものころに夢遊病を経験していると、子どもにも夢遊病や夜驚症が起こりやすいことが分かりました。
- 親に夢遊病の経験がない子ども:夢遊病は22.5%
- 親の一方に経験がある子ども:47.4%
- 両親とも経験がある子ども:61.5%
また、親の夢遊病の経験は、子どもの夜驚症の起こりやすさや、夜驚症が長く続くかどうかとも関係していました。
発作が起きたときの対応
- 無理に起こさない:起こすと、かえって恐怖が強くなります。そばで静かに見守りましょう。
- ベッドに戻るよう、やさしく誘導する:歩き出したときは、無理に目を覚まさせず、静かに寝床へ戻します。
- 寝室の安全を整える:歩く通り道の障害物を片づけ、窓は閉めて鍵をかけます。ベッドから出るときにけがをしないよう、低いベッドや床に敷いた布団で寝る方法もあります。
- 睡眠を整える:睡眠不足や、寝る前に目がさえるような活動(カフェインの摂取、運動、興奮するテレビ番組など)を避けます。
夜驚症の発作は非常に苦しそうに見えますが、子どもは起きたあとに覚えておらず、こうした睡眠中の行動によってこころの問題が生じることもありません。

治療が必要な場合と大人の夜驚症
子どもの場合、多くは親が安心するだけで十分です。発作のために学業などの日中の活動に支障が出ている年長の子どもでは、医師が寝る前に飲む薬を短期間(約3〜6週間)処方することがあります。長く使うと薬への依存が起こることがあるため、使用期間は限られます。
大人の夜驚症には、こころの問題やアルコール使用症がしばしば関係しています。大人では、精神療法や薬が役立つ場合があります。大人になってから始まった場合は、医師に相談しましょう。

出典によって異なる点:何歳ごろに多いか
MSDマニュアル家庭版は、夜驚症は子どもに多く、通常は成長とともに起こらなくなり、発作が夢遊病に移ることがあると説明しています。具体的に何歳ごろに多いかや、家族歴との関係についての数字は示していません。
ケベック州の縦断研究(Petitら、2015年)は、子ども1,940人を追跡し、夜驚症が最も多いのは1歳半(34.4%)、夢遊病が最も多いのは10歳(13.4%)であること、幼いころの夜驚症の最大3分の1がのちに夢遊病に移ること、親の夢遊病の経験が子どもの夜驚症や夢遊病と強く関係することを示しました。ただし、これは母親への質問票にもとづく調査です。
両者を合わせると、夜驚症はとても幼い時期によくみられ、多くは自然に落ち着きますが、家族に夢遊病の人がいる場合は、その後の夢遊病にも備えて寝室の安全を整えておくとよいでしょう。
夜驚症のポイント
- 夜驚症は、眠っている最中に突然おびえて叫んだり、手足を振り回したりする発作です。
- 深いノンレム睡眠中、寝入ってから最初の数時間に起こりやすくなります。
- 子どもは発作を覚えておらず、悪夢とは異なります。
- 幼い子どもに多く、多くは成長とともに起こらなくなります。
- 発作中は無理に起こさず、寝室の安全を整えて見守ります。
- 大人で始まった場合や、けが・日中の支障がある場合は医師に相談しましょう。
夜驚症についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
夜驚症のとき、子どもを起こしたほうがよいですか?
いいえ。起こすとかえって恐怖が強くなるため、無理に起こさず、けがをしないようにそばで見守りましょう。
夜驚症と悪夢はどう違いますか?
夜驚症は深いノンレム睡眠中に起こり、本人は何も覚えていません。悪夢はレム睡眠中に見る鮮明でこわい夢で、突然目が覚めます。
夜驚症は何歳ごろに多いですか?
カナダの研究では、1歳半の時点で最も多く、34.4%の子どもにみられました。多くは成長とともに起こらなくなります。
夜驚症はこころの問題が原因ですか?
子どもの夜驚症は、こころの問題によるものではなく、発作によってこころの問題が生じることもありません。大人の場合は、こころの問題やアルコールが関係していることがあります。
夜驚症は遺伝しますか?
親が夢遊病を経験していると、子どもに夜驚症や夢遊病が起こりやすいことが研究で示されています。
夜驚症に治療は必要ですか?
多くの子どもでは治療は必要ありません。学業など日中の生活に支障が出ている場合は、医師が短期間の薬を検討することがあります。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 睡眠時随伴症
- Petit D, et al. Childhood sleepwalking and sleep terrors: a longitudinal study of prevalence and familial aggregation. JAMA Pediatr. 2015
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

