痛風とは?
尿酸は、体の細胞が分解されるときなどにできる老廃物で、通常は少量が血液中にあります。血液中の尿酸値が高くなり、溶けきれなくなると、関節の中に尿酸の結晶ができます。この結晶を白血球が処理しようとするときに、激しい炎症(痛風発作)が起こります。
日本整形外科学会によると、「風が吹いても痛い」ほどの痛みであることから「痛風」と呼ばれています。
痛風は女性より男性に多く、主に中年期の男性と、閉経後の女性に起こります。若い人ではまれですが、30歳未満で発症した場合は比較的重いことが多いとされています。尿酸値が高くなる体質には、遺伝が強く関わっています。
尿酸値が高くなる原因
- 腎臓からの排出が少ない:最も多い原因で、腎臓の働きにほかの異常がなくても、尿酸を尿に十分に出せない体質の人がいます。
- 食事と飲みもの:貝類や赤身の肉などプリン体の多い食品や、アルコール(とくにビール)のとりすぎ。
- 体内でつくられる量が多い:まれな原因です。
このほか、肥満、メタボリックシンドローム、一部の利尿薬などの薬、慢性腎臓病、乾癬、一部のがんや血液の病気なども、尿酸値を上げる原因になります。日本整形外科学会は、暴飲暴食や激しい運動も原因になりうるとしています。
ただし、尿酸値が高い人全員が痛風になるわけではなく、その理由はわかっていません。
痛風発作の症状
- 突然の激しい痛み:1つまたは複数の関節に、しばしば夜間に突然激しい痛みが起こります。痛みはしだいに強くなり、動かしたり触れたりすると耐えがたいほどになります。
- 赤く腫れて熱をもつ:関節が腫れて熱をもち、皮膚が赤や紫色を帯びて、張って光沢が出ることがあります。
- 起こりやすい場所:最も多いのは足の親指の付け根です。足首、足の甲、膝、手首、肘などにも起こります。
- 経過:最初の数回の発作は通常1つの関節だけに起こり、7〜10日ほど続いた後、次の発作までは症状がなくなります。
発作は、感染症などの病気、アルコールやプリン体の多い食品のとりすぎ、尿酸値を急に変える薬などがきっかけになります。日本整形外科学会によると、何度か発作を経験している人は、前ぶれ(違和感)を感じることがあります。
放っておくと起こること:痛風結節と合併症
- 発作の悪化:治療しないと、発作は長く、頻繁になり、複数の関節に広がっていきます。関節が永久に変形することもあります。
- 痛風結節:尿酸の結晶が硬いかたまりとなって、関節の周りや皮膚の下にたまります。通常は痛みませんが、炎症を起こすことがあります。
- 腎結石:尿路に石ができて、激しい痛みや感染を起こすことがあります。
- そのほか:変形性関節症のリスクが高まります。痛風のある人には、冠動脈の病気やメタボリックシンドロームもよくみられます。
日本整形外科学会も、肥満や高血圧などの生活習慣病を合併することが少なくないとしています。
痛風の診断
痛風は、特徴的な症状と関節の診察から疑われます。足の親指の付け根の突然の腫れと痛み、くり返す足の甲の炎症、自然に治った過去の発作などがあれば、痛風が強く疑われます。
- 関節液の検査:関節に針を刺して関節液を採り、顕微鏡で尿酸の結晶を確認できれば、診断が確定します。
- 血液検査:多くの人で尿酸値が高くなっていますが、発作中は正常のこともあります。
- 画像検査:X線検査、超音波検査、特殊なCT検査で、関節の損傷や尿酸のたまり具合がわかることがあります。
日本整形外科学会によると、通常は、血液中の尿酸値が高く痛風に特有の症状があれば、診断が可能です。
発作時の治療
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID):発作のときの関節の痛みや腫れを和らげるのに、しばしば効果的です。痛みが治まった後も、再発を防ぐために数日間続けます。
- コルヒチン:昔から発作の最初の治療として使われてきた薬で、前ぶれのときや発作を鎮めるのに有効です。
- ステロイド:ほかの薬が使えない人に飲み薬として使ったり、炎症のある関節に局所麻酔薬と一緒に注射したりします。
- 安静・固定・冷やす:薬に加えて、関節を休ませ、副子で固定し、氷で冷やすことも痛みの軽減に役立ちます。
腎臓の病気がある人や、血液をサラサラにする薬を飲んでいる人などでは、使える薬や量が変わります。

尿酸値を下げる治療
尿酸値を下げることは、関節などにたまった結晶を溶かして、痛風を長期的にコントロールする最も効果的な方法です。とくに、発作が年に3回以上ある、痛風結節がある、尿酸の腎結石がある人などでは、尿酸値を下げる薬が必要です。
- 目標値:血液中の尿酸値を6mg/dL未満に保ちます。この値が保たれると、結晶がたまらなくなり、すでにある結晶もやがて溶けていきますが、数年かかることがあります。
- 主な薬:体内で尿酸がつくられるのを抑える薬(アロプリノール、フェブキソスタット)や、尿酸を尿に出しやすくする薬が使われます。
- 飲み始めの発作:薬を始めた直後は、結晶が溶け出すことで発作が起こりやすくなります。この発作中も薬はやめず、最初の数か月は発作を防ぐ薬を併用することがあります。
日本整形外科学会も、発作が起こらないからといって薬を勝手にやめると再発作を起こす人が非常に多いと注意しています。
食事と生活の見直し
薬はほぼ常に必要ですが、次のような生活の工夫も、さらなる発作の予防に役立ちます。
- アルコールを控える:ビール、蒸留酒などのアルコールや、ノンアルコールビールも避けます。
- プリン体の多い食品を減らす:貝類、赤身の肉、内臓類、イワシ、ニシン、アンチョビ、キノコ類、肉のスープやブイヨンなどに多く含まれます。
- 甘い飲みものに注意:果糖を多く含む飲みものは、尿酸の生成を促します。
- 低脂肪の乳製品をとる:ほかの食品の代わりに低脂肪の乳製品をとるようにします。
- 減量する:体重が少しずつ減ると、尿酸値も下がることが多くあります。
日本整形外科学会は、野菜を中心とした食生活に切り替えることを挙げています。高血圧の薬として利尿薬を飲んでいる場合は、尿酸値に影響しにくい薬への変更を医師と相談するとよいでしょう。
出典によって異なる点:生活習慣の改善はどのくらい効くか
MSDマニュアル家庭版は、アルコールやプリン体の多い食品を控える、減量するなどの生活の見直しを発作予防に役立つ方法として挙げつつ、薬はほぼ常に必要であり、減量だけではたまった尿酸を溶かすほどの効果は通常得られないとしています。
コクランのシステマティックレビュー(Moiら、2013年)は、慢性の痛風に対する生活習慣の改善を評価したランダム化試験を探しましたが、見つかったのは特別な成分を加えた脱脂粉乳を試した1件(120人)だけで、3か月後の発作の回数に差はみられませんでした。観察研究では生活習慣と痛風の発症との関係を示す十分な根拠がある一方で、慢性の痛風の人で生活習慣の改善が経過をよくするかどうかは、質の高い試験の根拠が不足していて、支持も否定もできないとしています。
食事や生活の見直しは大切ですが、それだけで十分とは限りません。尿酸値を下げる薬と組み合わせて、医師と相談しながら続けることが大切です。
痛風のポイント
- 痛風は、血液中の尿酸値が高くなり、関節にたまった尿酸の結晶が激しい炎症を起こす病気です。
- 中年期の男性と閉経後の女性に多く、尿酸値の高い体質には遺伝が強く関わっています。
- 足の親指の付け根が突然赤く腫れて激しく痛むのが典型的な発作で、しばしば夜間に起こります。
- 発作には痛み止め、コルヒチン、ステロイド、安静と冷却で対処します。
- 尿酸値を下げる薬で6mg/dL未満を保ち続けることが、長期的なコントロールの鍵で、自己判断でやめないことが大切です。
- アルコールやプリン体の多い食品を控え、減量することも発作の予防に役立ちます。
痛風についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
痛風の原因は何ですか?
血液中の尿酸値が高くなることが原因です。最も多いのは腎臓から尿酸を十分に出せない体質で、プリン体の多い食品やアルコール(とくにビール)のとりすぎ、肥満、一部の薬なども尿酸値を上げます。
痛風の発作はどこに起こりやすいですか?
最も多いのは足の親指の付け根です。足首、足の甲、膝、手首、肘などにも起こります。最初の数回は通常1つの関節だけに起こります。
痛風の発作はどのくらい続きますか?
最初の数回の発作は、通常7〜10日ほど続いた後、自然に治まります。ただし治療しないと、発作は長く頻繁になり、複数の関節に広がっていきます。
尿酸値はどのくらいまで下げればよいですか?
尿酸値を下げる薬を使う場合、目標は血液中の尿酸値を6mg/dL未満に保つことです。この値が保たれると、関節などにたまった結晶がやがて溶けていきます。
痛風の人が控えたほうがよい食べものは?
ビールなどのアルコール、ノンアルコールビール、貝類、赤身の肉、内臓類などプリン体の多い食品、果糖を多く含む甘い飲みものを控えます。低脂肪の乳製品はすすめられています。
発作がなければ薬をやめてもよいですか?
やめてはいけません。日本整形外科学会も、発作がないからと薬を勝手にやめて再発作を起こす人が非常に多いと注意しています。薬の調整は必ず医師と相談してください。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 痛風
- 日本整形外科学会 · 症状・病気をしらべる「痛風」
- Moi JHY, et al. Lifestyle interventions for chronic gout. Cochrane Database Syst Rev. 2013
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

