胆石(胆石症)とは?
胆汁は肝臓で1日に600〜1,000mLほどつくられる消化液で、胆管を通って十二指腸に流れ出し、脂肪やビタミンの消化・吸収を助けます。胆管の途中にある袋状の胆のうで、胆汁は濃縮されて蓄えられます。
この胆汁の通り道に石ができる病気が胆石症です。石のできる場所によって分けられます。
- 胆のう結石:胆石症の約80%を占め、最も多いタイプです。
- 総胆管結石:約20%です。
- 肝内結石:約2%です。
胆石の種類とできる理由
- コレステロール石:肝臓がコレステロールを過剰に分泌し、胆汁のコレステロール濃度が高くなると、結晶化して石になります。欧米では大半の胆石がこのタイプです。
- 色素石:胆汁の色素であるビリルビンやカルシウムからできる石で、胆汁に細菌が感染することが原因と考えられています。
胆石ができやすくなる要因として、次のようなものが挙げられています。
- 肥満、糖尿病や前糖尿病、脂質異常症
- 高カロリーの食事、妊娠、長期間の経口避妊薬の服用
- 絶食や過度のダイエットによる急激な体重減少
- 胃を切除した後、腸の切除、クローン病、肝硬変
- 胆石の家族歴
胆石の症状
胆のう結石の人の約80%は、長年にわたって症状がありません(無症状胆石)。
- 胆石仙痛(胆道痛):胆石が管をふさぐと、上腹部、通常は右の肋骨の下やみぞおちに痛みが起こります。右肩に抜けるような痛みが出ることもあります。
- 痛みの経過:15分から1時間で強くなり、その後6時間以内、長いと12時間ほど一定の強さで続きます。
- 黄疸:胆汁の流れがせき止められると、白目や皮膚が黄色くなり、皮膚のかゆみや褐色から黒色の尿が出ることがあります。
胆石は、げっぷやおなかの張りの原因にはなりません。
胆石による合併症
- 急性胆のう炎:閉塞が長く続くと胆のうが炎症を起こし、細菌感染や発熱につながります。
- 急性胆管炎:総胆管がふさがると、発熱、寒気、黄疸が起こり、重い感染症になることがあります。治療が遅れると、細菌が血液中に広がる敗血症を起こすおそれがあります。
- 膵炎:胆石が膵管の出口もふさぐと、膵臓の炎症と痛みが起こります。
- 穿孔:炎症で胆のうの壁に穴があき、腹膜炎を起こすことがあります。
胆石仙痛の多くは自然に治まりますが、毎年20〜40%の人で再発します。
胆石の検査
- 腹部超音波検査:おなかにプローブをあてる負担の少ない検査で、胆のう内の胆石の約95%を正確に見つけられます。胆のう炎の有無もよくわかります。
- CT・MRCP:超音波で石がはっきりしない場合や、総胆管の結石が疑われる場合に行います。MRCPは磁力を使い、X線の被ばくがありません。
- 超音波内視鏡(EUS):胃カメラの先端の超音波で、胃や十二指腸の壁越しに胆のうや胆管を調べます。
- ERCP:内視鏡を十二指腸まで入れて胆管に造影剤を注入する方法で、結石が見つかればその場で治療できます。
- 血液検査:肝臓の働きや損傷の有無を調べます。
胆のう結石の治療
症状のない胆石は、通常は治療を必要としません。胆のうにがんの合併がないことを確認したうえで、定期的に経過観察することもできます。
- 腹腔鏡下胆のう摘出術:症状がある場合は、胆石といっしょに胆のうを取り除く手術が原則です。胆石だけを取ると再発するためです。胆のう摘出術の約90%は腹腔鏡で行われ、傷が小さく、数日で退院できます。
- 開腹手術:炎症をくり返して癒着がひどい場合や、がんの合併が疑われる場合に行われます。
- 薬で溶かす治療:条件を満たすコレステロール石では、胆汁酸(ウルソデオキシコール酸)の飲み薬で溶かせることがありますが、年単位で飲み続ける必要があり、必ず成功するとは限りません。
胆のうを取っても消化には影響がなく、手術後に特別な食事制限は必要ありません。
総胆管結石の治療
総胆管結石は症状を起こすことが多く、重症になるリスクもあるため、見つかった場合は治療が原則です。
- 大半はERCPの際に、内視鏡を通した器具で取り除くことができます。
- ERCPと乳頭の切開を組み合わせた治療は、約95%の患者さんで成功しています。
- 治療を受けた人の多くは、胆のうに残った石が再び胆管をふさぐのを防ぐため、後に胆のう摘出術を受けます。
胆石と食事の関係
胆石による痛みがある場合、低脂肪食などに食事を変えても効果はないとされています。脂肪の多い食品がほかの食品と比べてとくに痛みを起こしやすいわけではなく、脂肪の量にかかわらず、ボリュームのある食事が胆石仙痛のきっかけになることがあります。
一方で、高カロリーの食事や肥満、急激な体重減少は胆石ができやすくなる要因とされています。極端なダイエットを避け、適正な体重を保つことが大切です。
出典によって異なる点:食事は痛みに関係するか
日本消化器病学会の患者さん向けガイドは、胆石症の痛みは食後少しして出ることが多いのが特徴だとし、高カロリー食や肥満などを胆汁の組成に影響する要因として挙げています。
MSDマニュアル家庭版は、ボリュームのある食事が痛みを誘発することはあるものの、脂肪の多い食品がとくに痛みを起こしやすいわけではなく、痛みがある場合に低脂肪食に変えても効果はないと説明しています。
食事は胆石のできやすさや痛みのきっかけには関係しますが、すでにある胆石の治療としての食事制限には効果が期待できない、と整理できます。
胆石のポイント
- 胆石症は胆汁の通り道に石ができる病気で、約80%は胆のう結石です。
- 肥満、妊娠、急激な体重減少、脂質異常症などで胆石ができやすくなります。
- 多くは無症状ですが、右の肋骨の下やみぞおちの強い痛み、黄疸が出ることがあります。
- 腹部超音波検査で胆のう内の胆石の約95%がわかります。
- 症状がある胆のう結石は、腹腔鏡下胆のう摘出術が原則です。
- 発熱や黄疸を伴う痛みは、急性胆管炎のおそれがあるため、すぐに受診しましょう。
胆石についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
胆石があっても症状がないことはありますか?
はい。胆のう結石の人の約80%は、長年にわたって症状がありません。症状のない胆石は、通常は治療を必要としません。
胆石の痛みはどこが痛みますか?
右の肋骨の下やみぞおちが痛み、右肩に抜けるような痛みが出ることもあります。15分から1時間で強くなり、数時間続くのが典型的です。
胆石の原因は何ですか?
胆汁の成分が固まってできます。肥満、高カロリーの食事、妊娠、経口避妊薬の長期服用、急激な体重減少、脂質異常症などが胆石をできやすくします。
胆のうを取っても大丈夫ですか?
胆のうを取っても消化には影響がなく、手術後に特別な食事制限は必要ありません。腹腔鏡下胆のう摘出術では、数日で退院できます。
胆石は薬で溶かせますか?
条件を満たすコレステロール石では、飲み薬で溶かせることがあります。ただし年単位で飲み続ける必要があり、必ず成功するとは限りません。
胆石の人は脂っこいものを食べてはいけませんか?
脂肪の多い食品がとくに痛みを起こしやすいわけではなく、痛みがあるときに低脂肪食にしても効果はないとされています。ボリュームのある食事は痛みのきっかけになることがあります。
出典
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
