帯状疱疹後神経痛とは?
帯状疱疹は、子どものころにかかった水ぼうそう(水痘)のウイルスが体の中に潜み、再び活発になって起こる、痛みを伴う水ぶくれの発疹です。
帯状疱疹後神経痛は、このウイルスに感染した神経が受け持つ皮膚の範囲に起こる、慢性的な痛みです。発疹が消えてからかなりの時間がたっても痛みが続きます。はっきりした原因はよくわかっていません。
どのくらいの人に起こる?
帯状疱疹になった人のおよそ10%に、帯状疱疹後神経痛が起こります。高齢者で最もよくみられ、年齢が上がるほど起こりやすくなります。
ウイルスが再び活発になる原因はたいていわかりませんが、病気や薬の影響で免疫の働きが低下しているときに起こることがあります。
帯状疱疹の経過
帯状疱疹では、体の片側の帯のような範囲に、まわりが赤くなった小さな水ぶくれがかたまって現れます。水ぶくれは5日ほどで乾いてかさぶたになります。かさぶたになるまでは水ぶくれにウイルスが含まれていて、水ぼうそうにかかったことのない人に触れるとうつることがあります。
多くの人は後遺症なく治りますが、皮膚に傷あとや色素沈着が残ることもあり、少数の人では患部の痛みが続きます。主な発疹の範囲以外にも多くの水ぶくれが出る場合や、水ぶくれが2週間以上続く場合は、免疫の働きが正常でないことを示している可能性があります。
帯状疱疹後神経痛の症状
痛みは、帯状疱疹の発疹が出ていた場所に起こります。途切れなく続く場合もあれば、ときどき起こる場合もあります。
痛みは非常に強くなることがあり、何もできなくなってしまうことさえあります。数カ月ほどで自然に治まる場合もあれば、何年も続く場合もあります。研究でも、帯状疱疹後神経痛は治療が効きにくく、多くの人で治療が部分的にしか効かないか、まったく効かないとされています。
受診の目安と診断
帯状疱疹のあとに患部の痛みが続く場合は、医師の診察を受ける必要があります。診断は、帯状疱疹にかかったことと、症状や診察の結果にもとづいて行われます。
- 帯状疱疹が額や目のまわり、特に鼻の先に出た場合は、目の感染症を起こすことがあり、治療しても視力に影響が出ることがあります。
- 耳につながる神経が侵されると、耳の水ぶくれや痛み、顔の部分的なまひ、難聴、耳鳴りなどが起こることがあります。
帯状疱疹後神経痛の治療
これまで重い帯状疱疹後神経痛にいくつもの治療が試されてきましたが、安定して効く治療法は見つかっていません。主に次のような治療が行われます。
- 抗てんかん薬(ガバペンチン、プレガバリンなど)
- 抗うつ薬(アミトリプチリンなど)
- 外用のリドカイン軟膏
- ときにオピオイド
- 患部へのA型ボツリヌス毒素の注射(痛みが和らぐことがあります)
帯状疱疹の早めの治療
帯状疱疹には抗ウイルス薬が使われ、特に高齢者や免疫の働きが低下している人に使われます。帯状疱疹が疑われたらすぐに、できれば水ぶくれが出る前に飲み始める必要があり、水ぶくれが出てから3日以上たつと効果が得られにくくなります。
抗ウイルス薬は帯状疱疹そのものを治すわけではありませんが、症状を和らげ、続く期間を短くするのに役立ちます。
ワクチンによる予防
帯状疱疹ワクチンには、ウイルスの一部だけを含む新しい組換えワクチンと、従来の弱毒生ワクチンがあります。組換えワクチンのほうが望ましく、水ぼうそうや帯状疱疹にかかったことがあるかどうかにかかわらず、50歳以上の健康な人に勧められています。
- 筋肉内注射で2回接種し、間隔は2〜6カ月あけます。
- 病気や治療で免疫の働きが低下している、または低下が予想される19歳以上の人にも勧められます。
- 組換えワクチンは、帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛が起こる可能性を大きく下げます。
出典によって異なる点:抗ウイルス薬で神経痛を防げるか
MSDマニュアル家庭版は、帯状疱疹になったときに抗ウイルス薬を使うことで、帯状疱疹後神経痛のリスクが下がる可能性があるとしています。
コクランのシステマティックレビュー(Chenら、2014年)は、発疹が出てから72時間以内に抗ウイルス薬を始めた6件のランダム化比較試験(1,211人)をまとめました。アシクロビルの飲み薬は、発疹から4カ月後・6カ月後の帯状疱疹後神経痛の発生を有意には減らさず、これは質の高い根拠だとしています。発疹から4週間後の痛みは減る傾向がありました。ファムシクロビルについても神経痛の予防効果ははっきりせず、ほかの抗ウイルス薬については根拠が不十分でした。
つまり、抗ウイルス薬は帯状疱疹の症状を和らげるために早めに使う価値がありますが、神経痛の予防という点では、ワクチンの役割が大きいと考えられます。
帯状疱疹後神経痛のポイント
- 帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹の発疹が治ったあとも続く慢性的な神経の痛みです。
- 帯状疱疹の約10%に起こり、高齢になるほど起こりやすくなります。
- 痛みは数カ月で治まることも、何年も続くこともあります。
- 抗てんかん薬、抗うつ薬、外用のリドカインなどで治療しますが、決め手となる治療はありません。
- 帯状疱疹には、水ぶくれが出る前後の早い時期に抗ウイルス薬を使います。
- 50歳以上では、組換え帯状疱疹ワクチンが予防に役立ちます。
帯状疱疹後神経痛についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
帯状疱疹後神経痛とは何ですか?
帯状疱疹のウイルスに感染した神経が受け持つ皮膚の範囲に、発疹が治ったあとも続く慢性的な痛みです。
どのくらいの人がなりますか?
帯状疱疹になった人のおよそ10%に起こり、高齢者に多くみられます。
痛みはいつまで続きますか?
数カ月ほどで自然に治まる場合もあれば、何年も続く場合もあります。
どんな治療がありますか?
抗てんかん薬、抗うつ薬、外用のリドカイン軟膏、ときにオピオイドやボツリヌス毒素の注射が使われます。ただし、安定して効く治療法はまだ見つかっていません。
予防する方法はありますか?
50歳以上の人では、組換え帯状疱疹ワクチンが帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛の予防に役立ちます。
帯状疱疹の薬を早く飲めば神経痛は防げますか?
抗ウイルス薬は帯状疱疹の症状を和らげますが、研究ではアシクロビルが神経痛の発生を有意に減らすという結果は得られませんでした。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 帯状疱疹後神経痛
- MSDマニュアル家庭版 · 帯状疱疹
- Chen N, et al. Antiviral treatment for preventing postherpetic neuralgia. Cochrane Database Syst Rev. 2014
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
