口内炎とは?
口内炎は、口の中の粘膜に起こるただれや炎症をまとめて呼ぶ言葉です。見た目や大きさはさまざまで、唇を含め、口のあらゆる場所にできます。粘膜が腫れて赤くなるだけのこともあれば、痛みを伴う潰瘍がいくつもできることもあります。
潰瘍とは、粘膜のいちばん表面の細胞がはがれて、くぼみができた状態です。多くは赤く見えますが、中心に死んだ細胞や食べかすがたまって白っぽく見えることもあります。
がんではない良性の口内炎は、治るまで痛み続けるのがふつうです。痛みで食事がとりにくくなり、ときに脱水や栄養不足につながることもあります。また、いったん治っても再びできることがあります。
口内炎の原因
口内炎の原因は、感染症、全身の病気、物理的・化学的な刺激、アレルギー反応などさまざまで、原因がわからないことも少なくありません。主な原因は次のとおりです。
- アフタ性口内炎:最もよくある口内炎で、くり返しできるのが特徴です(次の章で説明します)。
- ウイルス感染症:感染による口内炎で最も多い原因です。単純ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペスや、帯状疱疹、水ぼうそうなどがあります。
- カビや細菌の感染症:カンジダというカビは、抗菌薬やステロイド薬を使っている人、免疫が弱っている人で増えやすく、白いチーズのような斑点をつくります。
- けがや刺激:頬の内側をかむ、欠けた歯や合わない入れ歯でこすれる、酸っぱい食べもの、シナモンの風味、歯みがき剤や洗口液、ガムなどの成分。
- たばこ
- 薬と放射線治療:一部の抗がん剤や、頭頸部への放射線治療。
- 全身の病気と栄養不足:ベーチェット病などの病気のほか、鉄、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCの不足。
一般に、唾液が十分に出ていると、口内炎はできにくくなります。
くり返す「アフタ性口内炎」
再発性アフタ性口内炎は、痛みを伴う小さな潰瘍が口の中にくり返しできる、とてもよくある病気です。多くは子どものころに始まり、患者の大半は30歳未満です。年に数回、1〜2個できる程度の人もいれば、ほとんどいつもどこかにある人もいます。年齢とともに、回数は減って軽くなっていくのがふつうです。
原因ははっきりしませんが、免疫の働きの異常、保存料や歯みがき剤の成分、遺伝的な素因など、いくつかの要因が関わると考えられています。アレルギー反応は関係していないようです。できやすくなるきっかけとして、次のようなものが挙げられています。
- 口の中のけが
- ストレス(試験期間中の学生にできやすい、など)
- チョコレート、コーヒー、ピーナッツ、卵、シリアル、アーモンド、イチゴ、チーズ、トマトなど特定の食べもの
口内炎の症状
アフタ性口内炎は、まず痛みやヒリヒリする感じがあり、1〜2日後に潰瘍が現れます。水ぶくれはできません。とても小さいわりに痛みは強く、4〜7日ほど続きます。
- 唇や頬の内側、舌、口の底、のどの奥など、やわらかく動きやすい粘膜にできる
- 丸い形で、中心が白っぽく、まわりが赤く縁どられている
- 食べたり話したりするときにしみる、痛む
- 重い場合は、発熱、首のリンパ節の腫れ、全身のだるさを伴うことがある
ウイルスによる口内炎では、小さな水ぶくれができてから破れて潰瘍になることが多く、カンジダでは、こすると取れる白い斑点が特徴です。原因によって見た目が違うため、気になる場合は歯科医師や医師に見てもらいましょう。
受診が必要なサイン
口内炎があっても、必ずしもすぐに受診する必要はありません。ただし、次のような場合は医療機関を受診してください。
- すぐに受診:発熱がある、皮膚に水ぶくれがある、目に炎症がある、HIV感染症などで免疫が低下している
- 数日以内に受診:痛みが強い、全身がだるい、食べるのが難しい
- 必ず受診:口内炎が10日以上治らない(がんやその前段階でないことを確かめるため)
- 早めに受診:口以外にも症状や発疹がある
ほかの症状がなく、全身の病気のリスクもない人に1つだけできた口内炎は、多くの場合ウイルス感染かアフタ性口内炎によるものです。
口内炎の診断
アフタ性口内炎は、見た目と痛みの特徴から、医師や歯科医師が診断します。
それ以外の口内炎では、まず症状とこれまでの経過について尋ねます。食べもの、薬、たばこ、化学物質、歯みがき剤、洗口液、金属、煙やほこりなどとの接触がなかったかも確認します。そのうえで、口の中の口内炎の場所と性質を詳しく見て、皮膚や目、性器に水ぶくれや発疹がないかなど、全身の状態も確かめます。
多くの場合、問診と診察から原因の見当がつき、必要な検査が決まります。10日以上治らない口内炎では、組織の一部を採って調べることがあります。
口内炎を早く治すためのセルフケア
原因がわかっている場合は、その治療を行います。たとえば細菌感染には抗菌薬が使われ、口内炎の原因となっている物質や薬は避けるようにします。自分でできる工夫は次のとおりです。
- 刺激を避ける:酸っぱいもの、塩辛いものなど、刺激の強い食べものを控えると痛みを抑えられます。
- 口の中を清潔に:やわらかい歯ブラシで、こまめにやさしく歯を磨きます。塩水でのうがいは、口内炎の感染予防に役立つ可能性があります。
- アルコール入りの洗口液は避ける:アルコール(エタノール)を含む洗口液は、かえって口内炎を悪化させることがあります。
- 原因を減らす:合わない入れ歯や欠けた歯は歯科で調整し、たばこは控えます。
痛みで食事がとれない、水分がとりにくいといったときは、脱水や栄養不足にならないよう、早めに受診してください。
口内炎の薬と治療
痛みを和らげるために、口内炎に直接使う薬(外用薬)が中心になります。
- 麻酔薬:リドカインなどを含む洗口液やペーストで痛みを和らげます。口やのどがしびれて飲み込みにくくなるため、子どもに使う場合は食べものをのどに詰まらせないよう見守り、決められた量を守ります。
- 保護する薬:口内炎の表面を膜で覆う洗口液やペーストは不快感を和らげますが、原因を治すものではありません。
- ステロイド:感染が原因でないことが確認できれば、ステロイドの洗口液、ゲル、軟膏が使われます。アフタ性口内炎が多い場合はステロイドの洗口液、少ない場合は軟膏や貼り薬を使うことがあります。効かない場合は飲み薬のステロイドを使うこともありますが、その前に単純ヘルペスの感染がないかを確かめます。
- 殺菌作用のある洗口液:アフタ性口内炎では、クロルヘキシジンの洗口液がすすめられることがよくあります。
- レーザーや焼灼:低出力のレーザーで治療すると痛みがすぐに和らぎ、再発を防げることもあります。
鉄やビタミンの不足が原因の場合は、その補充が必要です。
出典によって異なる点:くり返す口内炎に飲み薬は効くか
MSDマニュアル家庭版は、アフタ性口内炎に対し、ステロイドを直接塗っても効果がない場合は、ステロイドの飲み薬を使うことがあるとしています。
コクランのシステマティックレビュー(Brocklehurstら、2012年)は、再発性アフタ性口内炎に対する飲み薬などの全身療法を調べた25件の試験(21種類の治療)をまとめました。偏りのリスクが低いと評価できた研究は1件だけで、どの治療についても、効果を支持する、あるいは否定するだけの十分な根拠はありませんでした。
レビューは、これは治療に本当に効果がないというより、研究の質が低いことや研究が少ないことを反映している可能性があるとし、実際の診療では個々の患者で効く薬があることにも触れています。飲み薬は、塗り薬などで改善しない一部の人に限って使われることが多い治療です。
口内炎のポイント
- 口内炎は、口の中の粘膜のただれや炎症の総称で、唇、頬の内側、舌などにできます。
- 最も多いのはくり返すアフタ性口内炎で、痛みは4〜7日ほど続き、年齢とともに軽くなる傾向があります。
- ウイルスやカビの感染、けがや刺激、たばこ、薬、ビタミンや鉄の不足なども原因になります。
- 10日以上治らない口内炎は、必ず歯科医師か医師の診察を受けてください。
- 刺激物を避け、やわらかい歯ブラシと塩水のうがいで清潔を保ち、必要に応じて塗り薬や洗口液を使います。
- くり返す口内炎への飲み薬の効果は、研究ではまだ十分に確かめられていません。
口内炎についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
口内炎は何日くらいで治りますか?
アフタ性口内炎の痛みは4〜7日ほど続くのが一般的です。10日以上治らない場合は、がんやその前段階でないことを確かめるため、必ず歯科医師か医師の診察を受けてください。
口内炎ができる原因は何ですか?
最も多いのはアフタ性口内炎で、口のけが、ストレス、特定の食べものがきっかけになります。ほかに、ウイルスやカビの感染、合わない入れ歯などの刺激、たばこ、薬、鉄やビタミンの不足なども原因になります。
口内炎を早く治すにはどうすればよいですか?
刺激の強い食べものを避け、やわらかい歯ブラシでやさしく歯を磨き、塩水でうがいをして口の中を清潔に保ちます。痛みが強い場合は、麻酔薬や口内炎を保護する薬、ステロイドの塗り薬などが使われます。
ビタミン不足で口内炎はできますか?
鉄、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンCの不足によって口内炎が起こることがあります。不足が原因の場合は、その補充が必要です。
口内炎をくり返すのはなぜですか?
くり返す口内炎の多くは再発性アフタ性口内炎です。原因ははっきりしませんが、免疫の働きの異常や遺伝的な素因などが関わると考えられ、けがやストレス、特定の食べものがきっかけになります。
すぐに受診したほうがよいのはどんなときですか?
発熱、皮膚の水ぶくれ、目の炎症を伴う場合や、免疫が低下している人の口内炎はすぐに受診してください。痛みが強い、食べられない場合も数日以内の受診がすすめられます。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 口内炎(口腔のただれや炎症)
- MSDマニュアル家庭版 · 再発性アフタ性口内炎
- Brocklehurst P, et al. Systemic interventions for recurrent aphthous stomatitis (mouth ulcers). Cochrane Database Syst Rev. 2012
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
