ビタミンDとは?その働き
ビタミンDは脂溶性ビタミンで、少量の脂肪と一緒にとると最もよく吸収されます。肝臓と腎臓で活性型に変えられ、小腸でのカルシウムとリンの吸収を助け、骨を健康に保ちます。
- ビタミンD2:植物や酵母がつくる物質から合成され、高用量のサプリメントによく使われます。
- ビタミンD3:最も活性の高い型で、皮膚が直射日光を浴びたときに皮膚でつくられます。
ビタミンDの必要量は、年齢とともに増えていきます。
ビタミンDが不足する原因
- 日光不足:最も一般的な原因です。高齢者や介護施設で暮らす人など、屋外で過ごす時間が短い人に多くみられます。
- 皮膚でつくる量が少ない:皮膚の色が濃い人、高齢者、日焼け止めを使っている人では、日光に当たってもつくられる量が少なくなります。
- 食事:天然の(強化されていない)食品だけで、欠乏を防げるほどのビタミンDをとれることはめったにありません。
- 吸収の障害:脂肪の吸収が悪くなる病気では、ビタミンDも吸収されにくくなります。
- 活性型に変えられない:一部の腎臓や肝臓の病気、一部の抗てんかん薬などで、変換が妨げられます。
ビタミンDが不足するとどうなる?
- 大人:筋肉痛、筋力低下、骨の痛みが起こることがあります。背骨、骨盤、脚の骨が弱くなり(骨軟化症)、骨折することもあります。
- 高齢者:軽い転倒でも骨折しやすくなり、とくに股関節の骨折が問題になります。骨粗しょう症も悪化させます。
- 子ども:くる病になり、O脚やX脚など骨の成長の異常が起こったり、歩き始めが遅れたりします。
- 乳児:頭の骨がやわらかくなったり、座る・はいはいの時期が遅れたりします。筋肉のけいれん(テタニー)が最初のサインのこともあります。
高齢者が不足しやすい理由
- 若い人よりもビタミンDの必要量が多い。
- 屋外で過ごす時間が減り、日光を十分に浴びていない。
- 日光を浴びても、皮膚がつくるビタミンDの量が少ない。
- ビタミンDの処理を妨げる病気や薬があることがある。
高齢者は骨を健康に保つために、ビタミンDを毎日20マイクログラム(800単位)とるべきとされています。毎日10マイクログラム(400単位)程度の少ない量では、欠乏を防げないことがあります。
日光の浴び方
一部の専門医は、週に3回以上、1回5〜15分ほど、腕と脚、または顔と腕と手に直射日光を浴びることをすすめています。皮膚の色が濃い人や高齢者では、より多く浴びる必要がある可能性があります。
ただし、日光は皮膚がんや皮膚の老化の原因にもなるため、日光を浴びることだけでビタミンD不足を補うのは難しいとされています。
食事とサプリメント
- 国によっては、牛乳や朝食用シリアルにビタミンDが強化されています(米国やカナダの牛乳など)。多くの国では牛乳は強化されていません。
- 日光不足を補えるほどのビタミンDを含む食事は難しいため、多くの人がサプリメントを必要とします。
- 高齢者、自宅から出られない人、長期療養施設で暮らす人など、リスクのある人ではとくに重要です。
- 母乳にはビタミンDがほとんど含まれないため、母乳で育てる乳児には出生時からサプリメントを与えるべきとされています。

ビタミンD不足の検査と治療
血液検査でビタミンDを測ると、欠乏症の診断を確定できます。カルシウムやリンの値も測り、ときにX線検査で骨の変化を確かめます。ただし、症状のない人全員が検査を受けるべきかどうかには議論があります。
治療では、約1か月にわたって高用量のビタミンDを通常毎日飲み、その後、推奨量まで徐々に減らします。必要に応じてカルシウムやリンも補い、通常は完全に回復します。

ビタミンDのとりすぎに注意
推奨量の60〜100倍以上といった非常に多量のビタミンDを数か月とり続けると、血液中のカルシウムが高くなる中毒が起こることがあります。
- 初期症状は、食欲不振、吐き気、嘔吐です。
- 続いて、筋力低下、神経過敏、高血圧が起こります。
- カルシウムが腎臓や血管などに沈着し、腎臓が永続的に傷ついて腎不全になることもあります。
治療はサプリメントの中止と水分補給で、必要に応じて薬を使います。
出典によって異なる点:ビタミンDで病気は防げるか
MSDマニュアル家庭版は、多くの人がビタミンDのサプリメントを必要とするとしつつ、ビタミンDでがんやその他の病気を予防できるか、高齢者の転倒を防げるかは証明されていないとしています。
大規模なランダム化比較試験(Mansonら、2019年、VITAL試験)は、米国の25,871人に毎日のビタミンD3か偽薬を飲んでもらい、中央値5.3年追跡しました。ビタミンDを飲んだグループで、がんの発症も、心臓発作や脳卒中などの主な心血管の病気も減りませんでした。
ビタミンDは不足を防いで骨を守るためには大切ですが、不足していない人ががんや心臓病の予防を目的にサプリメントをとる意義は、はっきりしないと考えられます。
ビタミンDのポイント
- ビタミンDは、カルシウムとリンの吸収を助け、骨を健康に保ちます。
- 日光不足が不足の最も一般的な原因で、高齢者は特に不足しやすくなります。
- 不足すると、大人では骨の痛みや骨軟化症、子どもではくる病が起こります。
- 天然の食品だけで十分にとるのは難しく、サプリメントが役立つ人が多くいます。
- 非常に多量を長く続けると、高カルシウムによる中毒が起こります。
- がんや心臓病の予防効果は、大規模な試験では確認されていません。
ビタミンDについてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
ビタミンDは何に必要ですか?
小腸でのカルシウムとリンの吸収を助け、骨を健康に保つために必要です。
ビタミンDが不足するとどんな症状が出ますか?
大人では筋肉痛、筋力低下、骨の痛みが起こり、骨が弱くなって骨折しやすくなります。子どもではくる病が起こります。
日光にどのくらい当たればよいですか?
一部の専門医は、週に3回以上、1回5〜15分ほど腕や脚、顔などに直射日光を浴びることをすすめています。ただし、皮膚がんのリスクにも注意が必要です。
食事だけでビタミンDは足りますか?
天然の(強化されていない)食品だけで欠乏を防げるほどのビタミンDをとれることはめったになく、多くの人がサプリメントを必要とします。
ビタミンDのサプリメントはとりすぎても大丈夫ですか?
非常に多量を数か月とり続けると、血液中のカルシウムが高くなる中毒が起こり、腎臓が傷つくこともあります。高用量は医師と相談しましょう。
ビタミンDでがんや心臓病は防げますか?
大規模な試験では、ビタミンDのサプリメントでがんや主な心血管の病気は減りませんでした。予防効果は証明されていません。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · ビタミンD欠乏症
- MSDマニュアル家庭版 · ビタミンD過剰
- Manson JE, et al. Vitamin D supplements and prevention of cancer and cardiovascular disease (VITAL). N Engl J Med. 2019
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

