亜鉛とは?その働き
亜鉛は、骨、歯、毛髪、皮膚、肝臓、筋肉、白血球などに広く分布しているミネラルです。DNAやRNAをつくる酵素を含め、100以上の酵素の構成成分になっています。
- 皮膚の健康を保つ
- 傷の治りを助ける
- 体の成長を支える
体内の亜鉛の量は、食事でとった亜鉛の量に左右されます。
亜鉛の吸収と食事
食事でとった亜鉛の多くは吸収されません。
- 吸収を妨げるもの:食物繊維やフィチン酸塩を多く含む食事(全粒粉のパン、ふすま、玄米、豆類、ナッツ類など)は、亜鉛の吸収を低下させます。
- 吸収率:食事でとる亜鉛の多くは、もともと吸収されません。

亜鉛が不足しやすい人
- 介護施設で暮らす高齢者や、家から出られない人
- 吸収を妨げる病気(吸収不良、セリアック病、クローン病など)のある人
- 重い血流感染(敗血症)のある人
- まれな遺伝性の病気(腸性肢端皮膚炎)のある人
バランスのよい食事をとっている地域では、食事が原因の亜鉛不足はまれです。
亜鉛が不足するとどうなる?
- 食欲の低下
- まだら状の脱毛
- だるさやいらいら
- 味覚や嗅覚の低下
- 発疹
- 乳児や子どもでの成長と発達の遅れ
妊娠中に亜鉛が不足すると、赤ちゃんの出生時の体重が少なくなったり、早産になったりすることがあります。
亜鉛不足の検査
医師は、生活環境、症状、亜鉛のサプリメントへの反応から亜鉛不足を疑います。
血液や尿の亜鉛の濃度を測る検査も行われますが、これらの検査では体の亜鉛の状態を正確に判定できない可能性があります。サプリメントで症状が改善するかどうかも、判断の手がかりになります。
亜鉛不足の治療
亜鉛不足は、亜鉛のサプリメントを飲むことで治ります。症状が消えるまでサプリメントを続けます。
まれな遺伝性の病気である腸性肢端皮膚炎にも、亜鉛のサプリメントは効果的です。
亜鉛のとりすぎに注意
亜鉛をとりすぎることはまれですが、次のような場合に起こります。
- 亜鉛メッキの容器に入った酸性の食品や飲み物をとった場合
- 特定の産業で、酸化亜鉛の蒸気を吸い込んだ場合(金属ヒューム熱)
亜鉛をとりすぎると、吐き気、嘔吐、下痢がみられることがあります。治療は、亜鉛の摂取量を減らすことです。
亜鉛はかぜに効く?
亜鉛はかぜの予防や治療に役立つとして、トローチなどの形で使われることがあります。
研究では、予防の効果ははっきりしない一方で、かかったかぜの期間を短くする可能性が示されています。ただし、重くない副作用が増えることもあるため、使うかどうかは体調に合わせて判断しましょう。
出典によって異なる点:亜鉛サプリメントは誰に必要か
MSDマニュアル家庭版は、亜鉛のサプリメントを、亜鉛不足のある人の治療として位置づけています。バランスのよい食事をとっている地域では、食事による亜鉛不足はまれだとしています。
コクランのシステマティックレビュー(Naultら、2024年)は、かぜに対する亜鉛の34件の研究(8,526人)をまとめました。亜鉛のサプリメントには、かぜの予防効果はほとんど、またはまったくない可能性がある一方で、すでにひいたかぜの期間を短くする可能性がありました。ただし、重くない副作用は増え、研究ごとに亜鉛の形や量、結果の測り方が大きく異なっていました。
亜鉛不足のない人が日常的にサプリメントをとる必要性は低く、かぜの期間を短くする目的での短期間の使用は選択肢の1つ、と整理できます。
亜鉛のポイント
- 亜鉛は100以上の酵素の材料で、皮膚、傷の治り、成長に必要です。
- フィチン酸を多く含む食品は、亜鉛の吸収を低下させます。
- 高齢者や吸収の障害がある人で不足しやすくなります。
- 不足すると、食欲の低下、脱毛、味覚や嗅覚の低下などが起こります。
- 不足はサプリメントで治りますが、とりすぎると吐き気や下痢が起こります。
- かぜの予防効果ははっきりしませんが、期間を短くする可能性があります。
亜鉛についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
亜鉛は体の中で何をしていますか?
100以上の酵素の材料になり、皮膚の健康、傷の治り、体の成長に必要です。
亜鉛が不足するとどんな症状が出ますか?
食欲の低下、まだら状の脱毛、だるさ、いらいら、味覚や嗅覚の低下、発疹などが起こることがあります。
亜鉛不足は味覚に影響しますか?
はい。亜鉛が不足すると、味覚や嗅覚が損なわれることがあります。
玄米や豆類は亜鉛の吸収を妨げますか?
食物繊維やフィチン酸塩を多く含む全粒穀物、玄米、豆類、ナッツ類は、亜鉛の吸収を低下させます。
亜鉛のサプリメントをとりすぎるとどうなりますか?
吐き気、嘔吐、下痢が起こることがあります。必要な量を守りましょう。
亜鉛はかぜに効きますか?
研究では、予防効果ははっきりしない一方、かかったかぜの期間を短くする可能性が示されています。軽い副作用が増えることもあります。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 亜鉛欠乏症
- MSDマニュアル家庭版 · 亜鉛過剰症
- Nault D, et al. Zinc for prevention and treatment of the common cold. Cochrane Database Syst Rev. 2024
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

