ギャンブル依存症とは?
ギャンブル等依存症とは、ギャンブル等(公営競技、ぱちんこなど)にのめり込むことにより、日常生活や社会生活に支障が生じている状態をいいます。国際的な診断基準では「ギャンブル障害」と呼ばれる心の病気にあたります。
意思が弱い、だらしないからやめられないのではなく、依存症は誰でもなる可能性がある病気です。厚生労働省の資料によると、国内でギャンブル等依存が疑われる人は、成人の0.8%と推計されています。
やめられなくなる脳のしくみ
ギャンブルでスリルや興奮を味わうと、「報酬系」と呼ばれる脳の回路が刺激されます。ギャンブルをくり返すうちに報酬系の働きが変化し、本人の意思とは関係なく「ギャンブルをしたい・続けたい」という命令を出すようになります。
- 理性をつかさどる前頭前野のブレーキの働きが悪くなる
- 多少の勝ちでは満足できなくなり、負けても大きな問題と感じなくなる
- 「負けは勝って取り戻せる」といった考え方のゆがみが現れる
ギャンブル依存症の主な症状
- ギャンブルにのめり込み、頭から離れない
- 興奮を求めて、掛け金が増えていく
- ギャンブルを減らそう、やめようとしてもうまくいかない
- ギャンブルをしないと落ち着かない、いらいらする
- 負けた分をギャンブルで取り返そうとする
- ギャンブルのことで嘘をついたり、借金をしたりする
- 生活に重大な問題が生じても止められず、エスカレートする
依存症に共通する特徴
- コントロール障害:「今日はやめよう」と思ってもやってしまい、意思の力ではどうにもなりません。
- 進行性:放っておくと、どんどん進行します。
- 価値観の逆転:家族、仕事、将来設計など、生活のすべてに優先してのめり込みます。
- 問題の否認:借金や家庭の問題などの現実を見ず、事態を小さく考えたり、指摘されると攻撃的になったりします。
- 家族を巻き込む:家族が借金の肩代わりなどに奔走し、心身ともにお金の面でも疲れ果てていきます。
気づくためのチェックポイント
厚生労働省は、次のような点に心当たりがないか確かめることをすすめています。
- ギャンブルをするときに予算や時間の制限を決めない、決めても守れない
- ギャンブルに勝ったときに「次のギャンブルに使おう」と考える
- ギャンブルをしたことを誰かに隠す
- ギャンブルに負けたときに、すぐに取り返したいと思う
2つ以上当てはまる人は、ギャンブル等依存症の可能性があります。少しでも不安を感じたら、まずは相談しましょう。
ギャンブル依存症の治療
依存症の専門医療機関では、認知行動療法を用いた治療・回復プログラムが中心です。認知行動療法とは、自分の考え方や行動、人との関わり方のパターンを客観的に見つめて整理し、問題への対処方法を身につけて、再発の予防につなげる心理療法です。
精神保健福祉センターなどでも、集団での治療・回復プログラムや、認知行動療法の手法を用いた家族向けの心理教育プログラムが行われています。
相談できる場所
- 精神保健福祉センター:各都道府県・政令指定都市にある公的な相談窓口で、本人や家族からの相談に対応し、グループワークも行っています。
- 保健所:医師や保健師などが、依存症全般の相談に対応しています。
- 依存症専門医療機関:治療・回復プログラムを受けられます。
- 自助グループ:回復を目指す本人(GAなど)や家族・友人(ギャマノンなど)が自主的に運営するグループです。
- 借金の相談:法的なトラブルの総合案内所である法テラス(日本司法支援センター)で、借金問題の無料相談などを受けられます。
家族が気をつけたい接し方
家族が良かれと思ってとった行動が、かえって回復を遅らせたり、悪化させたりすることがあります。
- 借金の肩代わり:「今回だけ」と借金を肩代わりすると、ギャンブルを続けられる環境が整ってしまいます。
- 家族だけで問題を解決しようとすること:目の前の問題の解決に奔走するうちに、家族が心身ともにお金の面でも疲れ果ててしまいます。
家族だけで抱え込まず、精神保健福祉センターや家族向けの自助グループに相談し、より良い対応を知ることが大切です。なお、日本では公営以外のギャンブルは原則として禁止されており、国内からお金をかけてオンラインカジノを利用することは違法にあたります。スマートフォンで手軽にできるネットギャンブルにも注意が必要です。
出典によって異なる点:認知行動療法の効果はどれくらい続くか
厚生労働省の資料は、依存症は適切な治療とその後の支援によって回復可能な病気であるとし、専門医療機関では認知行動療法を用いたプログラムが中心であると説明しています。
コクランのシステマティックレビュー(Cowlishawら、2012年)は、ギャンブルの問題に対する心理療法について14件の研究(1,245人)をまとめました。認知行動療法を受けた人では、治療後0〜3カ月の時点で、ギャンブルの症状の重さやギャンブルによる損失額が対照群より減っていました。一方、9〜12カ月後まで追跡した研究は1件だけで、その時点では効果ははっきりしませんでした。
認知行動療法は短期的には効果が示されていますが、長期的な効果を示す研究はまだ少ない状況です。厚生労働省も、治療に加えてその後の支援が回復に大切だとしています。
ギャンブル依存症のポイント
- ギャンブル等依存症は、ギャンブルにのめり込んで生活に支障が出ている状態で、誰でもなる可能性がある病気です。
- 脳の報酬系の変化により、「ほどほど」でやめられなくなります。
- 掛け金の増加、取り返そうとする、嘘や借金などが主な症状です。
- 治療は認知行動療法を用いたプログラムが中心で、適切な治療で回復できます。
- 精神保健福祉センター、保健所、専門医療機関、自助グループに相談できます。
- 家族は借金の肩代わりを避け、家族だけで抱え込まずに相談しましょう。
ギャンブル依存症についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
ギャンブル依存症は意思が弱いからなるのですか?
いいえ。意思が弱い、だらしないからやめられないのではなく、「ほどほど」でやめられなくなる脳の病気です。誰でもなる可能性があります。
ギャンブル依存症は治りますか?
適切な治療とその後の支援によって回復できる病気です。早期の治療が回復につながります。
どこに相談すればよいですか?
各都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センター、保健所、依存症専門医療機関に相談できます。自助グループでも相談を受け付けています。
家族が借金を肩代わりしてもよいですか?
借金の肩代わりは、ギャンブルを続けられる環境を整えてしまい、回復を遅らせるおそれがあります。家族だけで判断せず、相談窓口でより良い対応を知りましょう。
ギャンブル依存症の治療ではどんなことをしますか?
認知行動療法を用いた治療・回復プログラムが中心です。自分の考え方や行動のパターンを見つめ直し、対処方法を身につけて再発を防ぎます。
オンラインカジノは利用してもよいのですか?
日本では公営以外のギャンブルは原則禁止されており、国内からお金をかけてオンラインカジノを利用することは違法にあたります。
出典
- 厚生労働省 · ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点
- 厚生労働省 · ギャンブル等依存症(リーフレット)
- Cowlishaw S, et al. Psychological therapies for pathological and problem gambling. Cochrane Database Syst Rev. 2012
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
