足底筋膜炎(足底腱膜炎)とは?
足の裏には、かかとの骨の下側から足の指の付け根まで、丈夫な帯状の組織が張っています。これが足底筋膜(足底腱膜)で、歩いたり走ったりするときに、足にばねのような働きを与えています。
足底筋膜炎は、この組織が傷んで痛みが出る状態です。足底腱膜症、踵骨棘症候群などと呼ばれることもあります。痛みは足底筋膜のどこにでも起こりえますが、最も多いのは、足底筋膜がかかとの骨の下側に付着している部分です。
日本語では「足底筋膜炎」と「足底腱膜炎」の両方の呼び方が使われていますが、同じ状態を指しています。
足底筋膜炎になりやすい人
- 普段あまり体を動かさない人:急に活動量を増やしたときや、サンダルなど足を支えない靴を履いたときに起こりやすくなります。
- ランナーやダンサー:足底筋膜への負荷が大きく、とくに足の向きが悪いと負荷がさらに大きくなります。
- 立ち仕事の人:硬い床や地面の上で長時間立ったり歩いたりする職業の人に多くみられます。
- 足の形や柔軟性:土踏まず(足のアーチ)が高すぎる、または低すぎる人、ふくらはぎの筋肉やアキレス腱が硬い人。
- かかとの高い靴を履く人
- 体重や関節の病気:肥満、関節リウマチなどの関節炎は、足底筋膜炎を引き起こしたり悪化させたりすることがあります。
足底筋膜炎の症状
- 朝の一歩目の痛み:朝起きて最初に足に体重をかけたときに、かかとの下側に強い痛みを感じることがよくあります。
- しばらくすると和らぐ:痛みは5〜10分ほどで一時的に治まりますが、その日のうちにまた痛くなることがあります。
- 動き始めの痛み:長く座っていた後や、歩く・走るときにかかとで蹴り出す動作で痛みが強くなり、かかとからつま先に向かって広がることがあります。
- 足裏の内側の痛み:歩いているときに、足の裏の内側の縁に沿って、焼けるような痛みや刺すような痛みを感じることもあります。
「朝の一歩目」と「休んだ後の動き始め」に痛むのが特徴的なパターンです。
踵骨棘(しょうこつきょく)との関係
踵骨棘は、かかとの骨から余分な骨がとげのように突き出したものです。足底筋膜がかかとの骨を強く引っ張る状態が続くと、時間をかけてできることがあります。
X線検査で踵骨棘が見つかることがありますが、次の点に注意が必要です。
- 足底筋膜炎の人でも、踵骨棘がみられないことは多い
- 踵骨棘がある人の大半は、痛みがない
- そのため、踵骨棘があっても足底筋膜炎とは限らず、骨棘に治療が必要だということにもならない
「骨のとげが刺さって痛い」と思われがちですが、痛みの主な原因は足底筋膜の傷みと考えられています。
足底筋膜炎の診断
足底筋膜炎は、多くの場合、医師が足を診察することで診断できます。足底筋膜がかかとの骨に付着する部分を押して痛みがあれば、診断が確定します。
- X線検査:ほかの原因を調べるために、ときに行います。
- MRI検査など:足底筋膜が断裂していることが疑われる場合に行います。
肥満や関節リウマチなどの関節炎は、足底筋膜炎を引き起こしたり悪化させたりすることがあるため、持病がある場合は医師に伝えましょう。痛みが長引く場合や、典型的なパターンと違う場合は、整形外科で相談しましょう。

治し方①:ストレッチ
アキレス腱と足の裏のストレッチは、回復を早めることが多いとされています。
- ふくらはぎ(腓腹筋)とアキレス腱のストレッチ:立った姿勢で、かかとを床につけたままふくらはぎからアキレス腱を伸ばします。
- 足裏のストレッチ:足の裏の足底筋膜を伸ばすストレッチも行われます。
- 夜間装具:寝ている間もアキレス腱と足底筋膜を伸ばした状態に保つ装具が使われることがあります。
ストレッチは反動をつけず、痛みが強くならない範囲で行います。具体的なやり方や回数は、理学療法士や整形外科医に確認しましょう。
治し方②:靴とインソール、日常の工夫
- インソール:靴の中に入れるかかとのクッションやアーチサポートは、最も効果的な治療の一つとされています。
- 支えのある靴:足にぴったり合い、かかとをしっかり支える靴は、衝撃からかかとを守ります。
- 裸足で歩かない:家の中でも、裸足で歩くことは避けます。
- 歩幅を小さくする:足底筋膜への負荷と痛みを減らします。
- 衝撃の強い運動を控える:ジョギングなど足に衝撃が加わる活動は、痛みがある間は避けます。
- 体重の管理:減量が必要な場合もあります。
このほか、テーピングや足のアーチを支える包帯、アイスマッサージ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が使われることもあります。
治し方③:注射、ギプス、手術
- ステロイド注射:ときにかかとへの注射が行われますが、かかとのクッションの役割をしている脂肪を薄くして、かえって悪化させることがあるため、通常は数回までとされています。
- ギプスと理学療法:ここまでの方法で効果がないときは、ギプスで固定したり、理学療法がすすめられたりすることがあります。
- 体外衝撃波:音の圧力波をかかとに当てて血行を促し、治癒を助ける治療が行われることがあります。
- 手術:それでも症状が続く場合は、足底筋膜にかかる張力を部分的に取り除く手術や、痛みの一因と考えられる踵骨棘を取り除く手術が検討されます。
ほとんどの人はストレッチやインソールなどの保存的な治療から始め、時間をかけて改善を目指します。
出典によって異なる点:ステロイド注射はどのくらい効くか
MSDマニュアル家庭版は、ストレッチやインソール、夜間装具を最も効果的な治療として挙げ、ステロイド注射は「ときに」行う方法とし、かかとの脂肪を薄くして悪化させるおそれがあるため通常は数回までとしています。
コクランのシステマティックレビュー(Davidら、2017年)は、成人のかかとの痛みに対するステロイド注射を評価した39件の研究(2,492人)をまとめました。偽薬や治療なしと比べて、ステロイド注射は注射後1か月までのかかとの痛みをわずかに減らす可能性があるものの、その後は差がみられませんでした(質の低い根拠)。重い副作用はまれでしたが、報告が不十分で、より高いリスクを否定できないとしています。
ステロイド注射は短期間の痛みの軽減にとどまる可能性があり、まずはストレッチやインソールなどの基本的な治療を続けることが大切です。注射を検討する場合は、利点と副作用について医師とよく相談しましょう。
足底筋膜炎のポイント
- 足底筋膜炎は、かかとから足の指の付け根までをつなぐ足底筋膜に痛みが起こる状態です。
- 朝起きて最初の一歩や、休んだ後の動き始めに、かかとの下側が強く痛むのが特徴です。
- 立ち仕事の人、ランナー、急に活動量を増やした人、アキレス腱が硬い人、肥満のある人に多くみられます。
- 踵骨棘があっても足底筋膜炎とは限らず、骨棘のある人の大半は痛みがありません。
- アキレス腱と足裏のストレッチ、インソール、夜間装具、支えのある靴が治療の中心です。
- ステロイド注射の効果は短期間にとどまる可能性があり、くり返しの注射は避けます。
足底筋膜炎についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
足底筋膜炎の原因は何ですか?
足底筋膜への負荷のかけすぎが主な原因です。急に活動量を増やす、硬い床で長時間立つ、支えのない靴を履く、アキレス腱が硬い、足のアーチが高すぎる・低すぎる、肥満などがきっかけになります。
朝の一歩目にかかとが痛むのはなぜですか?
足底筋膜炎の典型的な症状で、最初に体重をかけたときに強く痛みます。痛みは5〜10分ほどで一時的に治まりますが、長く座った後の動き始めなどにまた痛くなることがあります。
足底筋膜炎にはどんなストレッチがよいですか?
ふくらはぎからアキレス腱を伸ばすストレッチと、足の裏を伸ばすストレッチが役立ち、寝ている間に足裏を伸ばしておく夜間装具が使われることもあります。反動をつけず、痛みが強くならない範囲で行いましょう。
インソールは効果がありますか?
かかとのクッションやアーチサポートなどのインソールは、最も効果的な治療の一つとされています。足に合った支えのある靴と組み合わせると、かかとを衝撃から守るのに役立ちます。
踵骨棘があると手術が必要ですか?
必ずしも必要ではありません。踵骨棘がある人の大半は痛みがなく、骨棘があることが治療の必要性を意味するわけではありません。手術は、保存的な治療でも症状が続く場合に検討されます。
ステロイド注射は効きますか?
研究では、注射後1か月までの痛みをわずかに減らす可能性があるものの、その後は差がみられないとされています。かかとの脂肪を薄くするおそれがあるため、注射は通常数回までに限られます。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 足底腱膜炎
- David JA, et al. Injected corticosteroids for treating plantar heel pain in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2017
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。

