喉頭蓋炎とは?
喉頭蓋は、ものを飲み込むときに喉頭と気管の入口をふさぐ、小さなふた状の硬い組織です。喉頭蓋炎は、この喉頭蓋とその周りの組織に細菌が感染する病気です。
感染による腫れで空気の通り道(気道)がふさがることがあり、呼吸困難や死に至ることもあります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、呼吸が苦しくなる大事な病気の一つとして挙げています。
喉頭蓋炎の原因
インフルエンザ菌b型(Hib)による喉頭蓋炎は、かつては子どもに最も多くみられましたが、定期予防接種によってほぼなくなりました。現在は大人の発症のほうが多くなっています。
ただし、子どももほかの細菌による喉頭蓋炎にかかることがあり、大人や予防接種を受けていない子どもは、今でもインフルエンザ菌b型に感染する可能性があります。インフルエンザ菌b型による喉頭蓋炎は、Hibワクチンで効果的に予防できます。
子どもの症状
子どもでは症状が突然現れ、数時間以内に喉頭が狭くなって死に至ることがあります。
- 強いのどの痛み
- ものが飲み込みにくい、飲み込むと痛い
- 発熱
- よだれ
- くぐもった声
子どもの気道は大人より細いため、喉頭蓋炎は子どもではるかに危険です。血液に細菌が入ることも多く、ときに感染が肺、関節、脳を覆う髄膜、心臓を包む袋(心嚢)、皮膚の下の組織などに広がります。
口の中に音がこもったように聞こえる声(含み声)は、急性喉頭蓋炎など、のどに強い炎症がある病気を疑うサインとされています。
気道が狭くなるサイン
喉頭蓋の腫れで気道が狭くなると、まず息を吸うときにゼーゼー、ヒューヒューといった音や、あえぐような音(吸気性喘鳴)が出て、続いて呼吸困難がだんだん悪くなります。病状は急速に進みます。
のどに痛みがあり、呼吸がつらいと感じたら、直ちに耳鼻咽喉科を受診するよう勧められています。息苦しさが強い場合は、ためらわずに救急車を呼びましょう。
大人の症状
大人でも、子どもと同じようにのどの痛み、発熱、飲み込みにくさ、よだれなどがみられますが、通常は症状が出そろうまでに24時間以上かかります。
大人の気道は太いため、子どもに比べて気道がふさがる頻度は低く、急でもありません。それでも気道がふさがることはあり、診断と治療が遅れれば死亡することがあります。
のどが正常に見えても油断しない
感染している場所は喉頭蓋のため、口を開けて診察しても、のどの奥が感染しているようには見えないことがよくあります。
そのため、激しいのどの痛みがあるのに、のどが正常に見える場合に、医師は喉頭蓋炎を疑います。「のどは赤くないから大丈夫」と自己判断しないことが大切です。
喉頭蓋炎の診断
喉頭蓋炎が疑われる場合は、入院します。診断は一般に、手術室で柔らかい細い管状の器具(喉頭鏡)を使って喉頭蓋を観察して行います。
- 症状が軽く、可能性が低いと思われる場合は、X線検査を行うことがあります。
- 原因の細菌を調べるため、血液や喉頭蓋の周りの組織の培養検査を行うことがあります。
喉頭蓋炎の治療
- 気道の確保:子どもは手術室で口から気管に呼吸用のチューブを入れます。大人でも、呼吸困難がある場合(特に気道が大きくふさがっている場合)はチューブを入れます。
- 気管切開:チューブを入れられない場合や窒息のおそれがある場合は、首の皮膚から気管に直接穴をあけて呼吸の道を確保します。
- 抗菌薬:子どもでも大人でも、すべての人にセフトリアキソンなどの抗菌薬を使い、培養検査の結果に応じて変更することがあります。喉頭蓋の腫れにはステロイドも使われます。
呼吸困難のない大人では呼吸用のチューブは必要ない場合があり、集中治療室での注意深い経過観察で十分なこともあります。チューブが必要な期間は、通常60時間以下です。
順調にいけば、通常1〜2週間ほどでよくなり、首にあけた穴もふさぐことができます。
出典によって異なる点:気道確保の方法と回復の目安
MSDマニュアル家庭版は、まず口から気管にチューブを入れて気道を確保し、それができない場合に一時的な気管切開を行うとしています。呼吸困難のない大人では、チューブは必要ないこともあります。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、喉頭蓋が強く腫れて窒息のおそれがある場合は、まず気管切開で呼吸の道を確保する必要があるとし、抗菌薬に加えてステロイドを使うこと、順調なら1〜2週間ほどで改善することを示しています。
つまり、気道を確保する具体的な方法は状況や医療機関によって異なりますが、どちらの出典も、何よりも呼吸の道を守ることを最優先とし、急いで専門的な治療を受ける必要がある点で一致しています。
喉頭蓋炎のポイント
- 喉頭蓋炎は、喉頭蓋とその周りの細菌感染症で、気道がふさがって命に関わることがあります。
- 強いのどの痛み、飲み込みにくさ、よだれ、くぐもった声、発熱が主な症状です。
- 息を吸うときのヒューヒューという音は、気道が狭くなっているサインです。
- のどが正常に見えることがあるため、自己判断は危険です。
- 治療は気道の確保と抗菌薬で、順調なら1〜2週間ほどでよくなります。
- Hibワクチンで、インフルエンザ菌b型による喉頭蓋炎は効果的に予防できます。
喉頭蓋炎についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
喉頭蓋炎はなぜ危険なのですか?
喉頭蓋の腫れで空気の通り道がふさがり、窒息して命に関わることがあるためです。
どんな症状に注意すればよいですか?
強いのどの痛み、飲み込みにくさ、よだれ、くぐもった声、発熱、息を吸うときのヒューヒューという音、息苦しさです。
のどが赤くなくても喉頭蓋炎のことはありますか?
あります。感染しているのは喉頭蓋のため、のどの奥が正常に見えることがよくあります。
大人もかかりますか?
はい。現在は大人の発症のほうが多くなっています。大人は子どもより進み方がゆっくりですが、気道がふさがることもあります。
どんな治療をしますか?
呼吸用のチューブや気管切開で気道を確保し、抗菌薬を使います。喉頭蓋の腫れにはステロイドも使われます。
予防する方法はありますか?
インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンで、この細菌による喉頭蓋炎を効果的に予防できます。
出典
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
