頭頸部がんとは?
頭頸部とは、脳、目、首の骨(頸椎)を除いた頭と首の部分のことで、鼻、口、あご、のど、耳と、その周りの臓器を指します。
頭頸部には、聴覚、嗅覚、味覚といった感覚の器官があり、かむこと(咀嚼)、飲み込むこと(嚥下)、声を出すこと、呼吸といった、生活に欠かせない働きがあります。頭頸部がんは、この部分にできるがんの総称です。
のどと舌のしくみ
- 咽頭:鼻の奥から食道までの、食べ物と空気が通る約13cmの管です。上から上咽頭、中咽頭、下咽頭に分かれます。
- 喉頭:「のどぼとけ」のところにある、声を出したり呼吸を助けたりする器官です。左右の声帯が振動して声が出ます。飲み込むときは喉頭蓋が閉じて、食べ物が気管に入るのを防ぎます。
- 舌:前の約3分の2の舌体(動かせる部分)と、後ろの約3分の1の舌根に分かれます。味を感じ、飲み込みや発音を助けます。
頭頸部がんの主な種類
- 喉頭がん:声門がん、声門上部がん、声門下部がんに分かれます。最も多いのは声門がんです。
- 上咽頭がん:鼻の奥にできるがんです。
- 中咽頭がん:口の奥の、柔らかい上あご(軟口蓋)、突き当たりの壁、舌の付け根(舌根)などにできるがんです。
- 下咽頭がん:のどの最も下、食道の入り口付近にできるがんです。
- 舌がん:口腔がんの一種で、舌体にできたがんです。舌根にできたがんは中咽頭がんに分類されます。
これらのがんの多くは、粘膜の表面を覆う細胞から発生する扁平上皮がんです。
主な原因と重複がん
喫煙と飲酒は、喉頭がん、咽頭がん、舌がんの主な発生要因です。中咽頭がんでは、子宮頸がんの原因として知られるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因となるものもあることがわかっています。
喫煙や飲酒はほかのがんの発生要因でもあるため、同時に、または別の時期に、食道、胃、肺、ほかの頭頸部などにがんが見つかることがあります。これを重複がんといい、頭頸部がんの特徴の一つです。HPVが原因の中咽頭がんでは、子宮頸部や肛門など、HPVが関連するほかのがんのリスクが高まる可能性もあります。
喉頭がんの症状
- 声門がん:早い時期から声のかすれ(嗄声)が出ます。進むと息苦しくなり、痰に血が混じることもあります。症状が早く出るため、比較的早く見つかりやすいがんです。ほかの頭頸部のがんに比べて転移が少ないのも特徴です。
- 声門上部がん:のどのいがらっぽさ、異物感、飲み込むときの痛みが出ます。かぜと似ているため、気づきにくいことがあります。
- 声門下部がん:進むまで症状がないことが多く、発見が遅れることがあります。
声門上部がんと声門下部がんは、周りのリンパの流れが豊富なため、リンパ節に転移しやすい特徴があります。
中咽頭がんと下咽頭がんの症状
中咽頭がんと下咽頭がんは、初期のうちは自覚症状がないことがあります。症状が出たときは、次のようなものがみられます。
- 飲み込むときの違和感、おさまらないのどの痛み
- のどからの出血、耳の痛み
- 口の奥・のど・首にできるしこり、声の変化
- 中咽頭がんでは、口を大きく開けにくい、舌を動かしにくい
咽頭の周りには多くのリンパ節があるため、首のリンパ節に転移しやすく、先に首のしこりが見つかってから、がんの場所がわかることもあります。下咽頭がんは喉頭に隣接しているため、見つかったときに喉頭まで広がっていることもあります。
上咽頭がんの症状と治療
上咽頭がんも、初期は症状がないことがあります。見つかったときに最も多い症状は、首のリンパ節への転移による首のしこりです。
- 鼻の症状:鼻づまり、鼻血、鼻水に血が混じる
- 耳の症状:耳がつまった感じ、聞こえにくい
- 脳神経の症状:目がぼやける・かすむ、ものが二重に見える
触診や内視鏡検査で上咽頭を確認し、がんが疑われる場合は組織を採って調べます(生検)。治療には、放射線治療、化学放射線療法、薬物療法、手術があります。
舌がんの症状
舌がんは、舌の両わきにできることが多く、先端や中央にはあまりできません。鏡を使って自分で見られることが多いのも特徴です。
- 舌に固いしこりができる、ただれる
- 舌が動かしにくい、しびれる
- 口内炎が治りにくい
- 進むと、痛みや出血が続く、口臭が強くなる
舌の粘膜が赤くなる紅板症や、白くなる白板症は、舌がんになる可能性がある「前がん病変」とされ、診断されたら定期的に診察を受けることが勧められます。舌がんは首のリンパ節に転移することが多く、まれに肺に転移することもあります。
出典によって異なる点:見つかりやすさと受診先
国立がん研究センターのがん情報サービスでは、がんの場所ごとに説明が分かれており、見つかりやすさや受診先の書き方に違いがあります。
喉頭がんのページは、声門がんは早い時期から声がかすれるため比較的早く見つかりやすい一方、声門下部がんは進むまで症状がないことが多いとしています。中咽頭がん・下咽頭がんのページは、初期には症状がないことがあり、発見時に首のリンパ節への転移が見つかることも珍しくないとしています。上咽頭がんのページも、見つかったときに最も多い症状は、首のリンパ節への転移によるしこりだとしています。
受診先についても、喉頭がん、中咽頭がん、下咽頭がんのページは耳鼻咽喉科を、舌がんのページは耳鼻咽喉科や歯科を挙げ、詳しい検査には頭頸部外科や歯科口腔外科などの専門の医療機関が必要になることもあるとしています。つまり、どの部分のがんかによって、気づきやすさも相談先も変わります。
頭頸部がんのポイント
- 頭頸部がんは、鼻、口、のど、あごなど頭と首にできるがんの総称です。
- 喉頭がん、上・中・下咽頭がん、舌がんなどがあり、多くは扁平上皮がんです。
- 喫煙と飲酒が主な原因で、中咽頭がんではHPV感染が原因のものもあります。
- 初期は症状がないこともあり、首のリンパ節への転移で見つかることがあります。
- ほかの臓器にもがんができる重複がんが多いのが特徴です。
- 声のかすれ、のどの違和感、首や舌のしこりが続くときは早めに受診します。
頭頸部がんについてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
頭頸部がんとはどこのがんですか?
脳、目、首の骨を除いた頭と首の部分、つまり鼻、口、あご、のど、耳とその周りにできるがんの総称です。
主な原因は何ですか?
喫煙と飲酒が主な原因です。中咽頭がんでは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因のものもあります。
声のかすれはがんのサインですか?
喉頭の声門がんでは、早い時期から声のかすれが出ます。かすれが続く場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。
首のしこりで見つかることはありますか?
あります。咽頭がんは首のリンパ節に転移しやすく、首のしこりが先に見つかることも珍しくありません。
舌がんは自分で見つけられますか?
舌がんは舌の両わきにできることが多く、鏡を使って自分で見られる場合が多いです。
重複がんとは何ですか?
同時に、または別の時期に、ほかの臓器に独立してできるがんのことです。喫煙や飲酒は食道や肺などのがんの原因にもなるため、頭頸部がんでは重複がんが多くみられます。
出典
- 国立がん研究センター がん情報サービス · 喉頭がんについて
- 国立がん研究センター がん情報サービス · 中咽頭がんについて
- 国立がん研究センター がん情報サービス · 下咽頭がんについて
- 国立がん研究センター がん情報サービス · 上咽頭がん
- 国立がん研究センター がん情報サービス · 舌がんについて
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
