歯ぎしり(ブラキシズム)とは?
歯ぎしり(ブラキシズム)は、歯を食いしばったり、上下の歯をこすり合わせたりすることです。眠っている間に起こるもの(睡眠時ブラキシズム)と、起きている間に起こるもの(覚醒時ブラキシズム)があります。
歯ぎしりや食いしばりは、通常は意図的にしているわけではありません。無意識に起こり、睡眠中に最も強くなるのが一般的です。
睡眠時の歯ぎしりに対しては、薬による治療、心理的な治療、歯科的な治療など、さまざまな方法が提案されてきました。現在、歯科で広く使われているのが、睡眠中に歯を守る口腔内装置です。
自分では気づきにくい
本人は歯ぎしりや食いしばりに気づかないことが多く、家族に指摘されて初めてわかることがよくあります。
次のような変化は、歯ぎしりのサインかもしれません。
- 歯がすり減っている、欠けている
- 朝起きたときにあごや首が疲れている、痛む
- 頭痛がある
- 詰め物やかぶせ物がよく壊れる
睡眠中の歯ぎしりは力が強い
睡眠中には、歯を守るための能動的なブレーキの仕組みが働かないため、最大で約110キログラム(1,700キロパスカル)もの力で食いしばることがあります。
この強い力がくり返しかかることで、歯やあごの筋肉に大きな負担がかかります。
歯ぎしりが体に与える影響
- 歯のすり減りと損傷:最終的に、歯がすり減ったり傷ついたりします。
- かぶせ物の損傷:金やセラミックなどの人工のかぶせ物(クラウン)が、折れたり、穴があいたり、傷ついたりすることがあります。かみ合わせの面がセラミックの場合は、反対側の歯がすり減ることもあります。
- 頭痛、首やあごの痛み:筋肉がくり返し縮むことで起こることがあります。
悪化させる病気
歯ぎしりによる歯の損傷は、胃食道逆流症(GERD)や閉塞性睡眠時無呼吸のある人で悪化することが多いとされています。
いびきや睡眠中の呼吸の停止を指摘されている場合や、胃食道逆流症と診断されている場合は、歯ぎしりのことも含めて医師や歯科医に相談しましょう。
起きているときの対策
起きているときは、意識して歯を食いしばらないようにする必要があります。歯ぎしりや食いしばりは無意識に起こるため、意識することが日中の対策の基本になります。
日本顎関節学会は、あごの関節や筋肉への負担を減らすために、仕事中や休んでいるときに上下の歯が接触していることに気づいたら歯を離すこと、強い心理的な緊張を感じる環境があれば改善して避けることなどをすすめています。
重い歯ぎしりや食いしばりがある人では、歯を守るためと、食いしばらないよう注意を促すために、日中にもマウスガードを使う場合があります。
睡眠中の対策:ナイトガード
睡眠中には、上下の歯の間にはめ込む樹脂製の装置(ナイトガード)を使うことができます。ナイトガードは、歯がこすれ合うのを防ぎます。
こうした装置は通常、歯科医が作り、一人ひとりに合わせて調整します。歯のすり減りだけが問題の場合などは、運動選手用のマウスガードのように、熱で形を合わせる市販品を歯科医がすすめることもあります。ただし、使う前には歯科を受診する必要があります。
あごの関節の病気(顎関節症)の治療でも、上あごまたは下あごの歯列全体を覆う装置が最も一般的に使われます。睡眠中の歯ぎしりや食いしばりによる、かむ筋肉の緊張をやわらげ、あごの関節への負担を減らすことを目的としています。
歯科を受診する目安
- 歯がすり減っている、欠けた
- かぶせ物や詰め物が何度も壊れる
- あごの痛みや疲れ、朝の頭痛が続く
- 家族から歯ぎしりを指摘された
歯科では、歯のすり減りや損傷の状態を確認し、ナイトガードが必要かどうかを判断します。
出典によって異なる点:ナイトガードで何が良くなるか
MSDマニュアル家庭版は、睡眠中の歯ぎしりにはナイトガードを使い、歯がこすれ合うのを防ぐ方法を紹介しています。
コクランのシステマティックレビュー(Macedoら、2007年)は、睡眠時の歯ぎしりに対する口腔内装置(スプリント)を調べました。候補となった32件の試験のうち、条件を満たしたのは5件で、比較の相手は上あごに着ける別の装置、下あごを前に出す装置、皮膚から神経を電気で刺激する方法、治療なしでした。比較できた唯一の指標である睡眠中の覚醒の回数では、装置を使った群とほかの方法・治療なしの群とで差がみられず、睡眠時の歯ぎしりそのものを治療する効果については根拠が不十分と結論しています。ただし、歯のすり減りに対しては何らかの利点がある可能性があるとしています。
日本顎関節学会は、装置の目的を、睡眠中の歯ぎしりによるかむ筋肉の緊張をやわらげ、あごの関節への負担を減らすことと説明しています。つまり、ナイトガードは歯ぎしりを止めるというより、歯やあごを守るための対策と考えるのが妥当です。
歯ぎしりのポイント
- 歯ぎしりは、歯を食いしばったりこすり合わせたりすることで、睡眠中にも日中にも起こります。
- 無意識に起こり、家族の指摘で気づくことがよくあります。
- 歯のすり減りや損傷、頭痛、首やあごの痛みの原因になります。
- 胃食道逆流症や睡眠時無呼吸があると、歯の損傷が悪化しやすくなります。
- 日中は意識して力を抜き、睡眠中はナイトガードで歯を守ります。
- ナイトガードは歯ぎしりを止めるより、歯を守る対策と考えられています。
歯ぎしりについてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
歯ぎしりは自分で気づけますか?
多くの場合、本人は気づかず、家族に指摘されてわかります。歯のすり減りや朝のあごの疲れがサインのこともあります。
歯ぎしりは寝ているときだけですか?
いいえ。睡眠中に起こるものと、起きている間に起こるものがあります。日中の食いしばりにも注意が必要です。
歯ぎしりで頭痛が起こりますか?
筋肉がくり返し縮むことで、頭痛や首、あごの痛みが起こることがあります。
ナイトガードは市販品でもよいですか?
通常は歯科医が作って調整します。市販の熱で形を合わせるタイプをすすめられることもありますが、使う前に歯科を受診してください。
ナイトガードで歯ぎしりは治りますか?
研究では、睡眠中の歯ぎしりそのものを治療する効果は確かめられていません。ただし、歯がこすれ合うのを防ぎ、歯を守る役割があります。
ほかの病気と関係がありますか?
胃食道逆流症や閉塞性睡眠時無呼吸がある人では、歯ぎしりによる歯の損傷が悪化しやすいとされています。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 歯ぎしり
- 日本顎関節学会 · 顎関節症の主な治療は
- Macedo CR, et al. Occlusal splints for treating sleep bruxism (tooth grinding). Cochrane Database Syst Rev. 2007
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
