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あごの痛み MediBilbao Salud

顎関節症とは?あごの痛み・音・口が開かない原因とセルフケア

顎関節症は、あごの関節やそのまわりの筋肉に問題が起こり、あごの痛み、口を開けるときのカクカクという音、口が大きく開かないといった症状が出る病気の総称です。20代前半と40〜50代の女性に多くみられます。原因、症状、自分でできる対策、マウスピースや理学療法などの治療を整理します。

テーマ
理学療法
更新日
読了時間
8分
監修
Itziar Gotxi Erezuma医師 · 耳鼻咽喉科専門医 · ビスカヤ県医師会 登録番号 484809757
あごに手を当てて痛みを気にしている女性
顎関節症では、あごやこめかみ、耳の前に痛みが出ます。AIで作成したイラストです。

顎関節症とは?

あごの関節(顎関節)は、顔の両側、耳のすぐ前に1つずつあり、頭の骨(側頭骨)と下あごの骨をつないでいます。靭帯、腱、筋肉に支えられ、口を開け閉めするだけでなく、前後左右にずらす動きもできる、体の中でも最も複雑な関節の一つです。

顎関節症(顎関節疾患)は、あごの筋肉や関節、それらをつなぐ線維性の組織の問題によって起こる病気をまとめた呼び名です。20代前半と40〜50代の女性に多くみられます。

食べものをかんでいるあいだ、顎関節には大きな力がかかります。歯の位置やかみ合わせ、筋肉の緊張などが重なると、痛みや動きの問題が起こりやすくなります。

顎関節症の原因

顎関節症はほとんどの場合、あごの筋肉の緊張と、関節の形の問題が組み合わさって起こります。心理的な要因が加わることもあります。

  • 歯の食いしばり・歯ぎしり:あごの筋肉の疲労と使いすぎにつながります。
  • 関節の中の円板のずれ:関節のクッションの役割をする円板が、本来の位置より前にずれる。
  • 関節炎:変形性関節症、関節リウマチ、感染、けがによるもの。
  • そのほか:関節が固まって動かなくなる状態(顎関節強直症)、あごがゆるく外れやすい状態(過可動性)、あごの骨の成長の異常。

睡眠中の食いしばりや歯ぎしり、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、精神的なストレスなどが、筋肉の痛みに関わることもあります。

顎関節症の主なタイプ

  • 筋筋膜性疼痛症候群:顎関節まわりで最も多いタイプです。あごの周りの筋肉が痛んで緊張し、口が開きにくくなるほか、頭痛や首などの痛みも起こります。目覚めた直後や、ストレスの多い一日を過ごした後に、顔の側面の痛みやこわばりを感じることがあります。
  • 顎関節内障:関節の中の円板が前にずれるもので、円板の位置が口を開けると元に戻るタイプは成人の約3分の1にみられます。口を開けたときやあごを左右に動かしたときに、カクッ、パチッという音(クリック音)がします。
  • 円板が元に戻らないタイプ:音はしませんが、口を大きく開けるのが難しくなり、痛みやあごがずれている感覚が生じます。以前はクリック音があったのに急に音が消え、口が開かなくなるのが典型的です。
  • 変形性顎関節症:50歳以上に多く、口の開け閉めでジャリジャリときしむような感覚や音がします。

関節リウマチがあごに起こると、通常は左右両方の顎関節が同じ程度に侵されます。これはほかのタイプの顎関節症ではまれな特徴です。

顎関節症の症状とセルフチェック

  • あごやこめかみ、耳の前の痛み(関節の中ではなく近くが痛むように感じることもある)
  • かむときに使う筋肉を押すと痛む
  • 口を開けるときのカクッ、パチッという音
  • 口が大きく開かない
  • くり返す頭痛

顎関節症がない人の多くは、人差し指・中指・薬指の3本の指先を横にそろえた状態で、上下の前歯のあいだに縦に入れることができます。顎関節症がある人は、通常それより狭くしか開けられません(あごがゆるい過可動性の場合は例外です)。

くり返す頭痛に通常の薬が効かない場合、顎関節症が原因となっていることもあります。

受診の目安と顎関節症の診断

あごの痛みが続く、口が開かない、食事に支障があるといった場合は、歯科(口腔外科)を受診しましょう。あごが外れて口が閉じられないときは、歯科救急の対象です。

ほとんどの場合、症状の経過、歯科治療歴、診察の結果から診断されます。診察では、口を開け閉めしてもらいながら顔の横をやさしく押したり、耳に指を入れて前に押したりして、ひっかかりや音を確かめます。

  • MRI検査:関節の中の円板のずれが疑われる場合や、治療で効果が得られない理由を調べる場合の標準的な検査です。
  • X線検査・CT検査:きしむような音があり変形性関節症が疑われる場合に行います。
  • 睡眠ポリグラフ検査:筋肉の痛みや緊張が続く場合に、睡眠中の問題がないかを調べます。

自分でできる対策(セルフケア)

痛みを和らげ、あごの正常な働きを取り戻すために、次のような自分でできる対策が大切です。

  • あごへの負担を減らす:軟らかい食事に切り替える、食べものを小さく切る、ゆっくりかむ、口を大きく開けないようにする。
  • 歯を離しておく:起きているあいだは上下の歯を離しておくと、食いしばりや歯ぎしりの癖を直すのに役立ち、筋肉の緊張も和らぎます。
  • 姿勢を整える:悪い姿勢を正すことを思い出す工夫をすると、あご、首、肩の筋肉の回復に役立ちます。
  • 睡眠:静かで快適な環境で、毎日同じ時間に寝るといった睡眠の習慣を整えると、痛みが軽くなり体が回復します。
  • 温める:疲れた筋肉を湿らせたタオルなどで温めるのも役立ちます。

関節の円板がずれている人は、大きなあくびや分厚いサンドイッチをほおばるなど、口を大きく開ける動作を避ける必要があります。

テーブルでスープなどの軟らかい食事をとる女性
軟らかい食事にすると、あごへの負担を減らせます。AIで作成したイラストです。

マウスピース(口腔内装置)と薬

顎関節症の治療では、口腔内装置(スプリント、マウスピース)と、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)などの鎮痛薬がよく使われます。

  • 口腔内装置:歯科医師が、上または下の歯にぴったり合う薄い樹脂の装置をつくります。あごの筋肉の痛みや緊張に対する主な処置とされ、食いしばりや歯ぎしりに気づいている人では、その癖を直すのに役立ちます。
  • 前方整位型の装置:円板のずれが起きてから3〜6か月以内の場合に、下あごを前に保って円板の位置を整える装置が使われることがあります。
  • 鎮痛薬:アセトアミノフェンやNSAIDで痛みを和らげます。オピオイド鎮痛薬は依存のおそれがあるため処方されません。
  • そのほかの薬:筋弛緩薬、就寝時の一時的な抗不安薬、慢性的な痛みに対する抗うつ薬、筋肉へのボツリヌス毒素の注射などが使われることがあります。

理学療法・手術と、経過の見通し

  • 理学療法:超音波で深部を温める治療、筋電図を見ながら筋肉の力を抜く練習(バイオフィードバック法)、冷却スプレーや氷で皮膚の感覚を鈍くしてからあごをストレッチする方法、経皮的電気神経刺激(TENS)などが行われることがあります。
  • 開口訓練:関節が固まっている場合や、関節リウマチがあごに起こっている場合は、理学療法士の指示のもとであごの運動を行い、動きを保ちます。
  • 手術:手術以外の方法で改善しない円板のずれなどに行われますが、関節鏡を使った手術が導入されてからは、従来型の手術が必要になることはまれです。

どの処置や治療法でも、ほとんどの人の症状はおよそ3か月以内にかなりよくなります。症状がひどくなければ、多くの人は治療を受けなくても回復します。変形性顎関節症の痛みも、通常は6か月ほどで消えます。

出典によって異なる点:マウスピースは痛みに効くか

MSDマニュアル家庭版は、あごの筋肉の痛みと緊張に対しては、通常は口腔内装置(スプリント)が主な処置であるとし、鎮痛薬とともに一般的な治療法として挙げています。

Rileyらのシステマティックレビュー(2020年)は、顎関節症や歯ぎしりに対するスプリントを、治療なしや最小限の治療と比べたランダム化試験37件をまとめました。顎関節症全体をひとまとめにして解析したところ、3か月までの痛みをスプリントが減らすという根拠は得られず(13件、1,076人)、ほかの評価項目でも改善は示されませんでした。根拠の確かさは非常に低いと評価されています。

スプリントは広く使われている治療ですが、痛みを減らす効果ははっきり確かめられていません。研究の質も低いため、効果がないと言い切れるわけではありませんが、セルフケアと組み合わせながら、症状の変化を見て歯科医師と相談するのがよいでしょう。

顎関節症のポイント

  • 顎関節症は、あごの筋肉や関節の問題で、あごの痛み、カクカクという音、口が開かないといった症状が出る病気の総称です。
  • 20代前半と40〜50代の女性に多く、筋肉の緊張、食いしばりや歯ぎしり、関節の円板のずれなどが関わります。
  • 3本の指が縦に入らないほど口が開かない場合は、顎関節症が疑われます。
  • 軟らかい食事、口を大きく開けない、日中は歯を離す、姿勢や睡眠を整えるといったセルフケアが基本です。
  • マウスピース、鎮痛薬、理学療法などが使われ、多くの人は3か月以内にかなり改善します。
  • 研究では、マウスピースが痛みを減らすという確かな根拠は示されていません。

顎関節症についてよくある質問

回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。

顎関節症の原因は何ですか?

ほとんどの場合、あごの筋肉の緊張と関節の形の問題が組み合わさって起こります。歯の食いしばりや歯ぎしり、関節の中の円板のずれ、関節炎、ストレスなどが関わります。

顎関節症は自然に治りますか?

どの治療法でも、ほとんどの人の症状はおよそ3か月以内にかなりよくなり、症状が軽ければ治療を受けなくても回復することが多いとされています。

口を開けるとカクカク音がするのは顎関節症ですか?

関節の中の円板が前にずれ、口を開けると元に戻るタイプでは、カクッ、パチッという音がします。成人の約3分の1にみられ、痛みや動きの問題がなければ処置は必要ないとされています。

自分でできることはありますか?

軟らかい食事にする、食べものを小さく切る、口を大きく開けない、起きているあいだは上下の歯を離しておく、姿勢と睡眠を整える、疲れた筋肉を温めるといった対策が役立ちます。

マウスピースは効きますか?

あごの筋肉の痛みに対する主な処置として使われ、食いしばりや歯ぎしりの癖を直すのに役立つとされます。ただし研究では、痛みを減らすという確かな根拠は示されていません。

何科を受診すればよいですか?

歯科(口腔外科)が中心になります。あごが外れて口が閉じられない場合は歯科救急の対象です。あごの関節のまわりが腫れて赤くなっている場合は、早めに受診してください。

出典

  1. MSDマニュアル家庭版 · 顎関節症(TMD)
  2. Riley P, et al. Oral splints for temporomandibular disorder or bruxism: a systematic review. Br Dent J. 2020

このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。