唾液腺のしくみ
唾液は食べ物を湿らせて飲み込みやすくし、消化を助ける酵素を含んでいます。口の中には、3対の大きな唾液腺があります。
- 耳下腺:最も大きく、あごのすぐ後ろ、耳の前下方にあります。
- 顎下腺:あごの側面の下にあります。
- 舌下腺:舌の側面の下にあります。
このほかに、小さな唾液腺が口の中のいたるところにあります。唾液は、管を通って口の中に出てきます。
唾石症とはどんな病気?
唾石症は、唾液腺や、唾液腺から口の中に唾液を出す管の中に石(唾石)ができる病気です。唾液に含まれる塩分が固まってできます。
顎下腺の唾石症が最もよく知られていますが、耳下腺や舌下腺にもできます。唾石は成人に最も多くみられ、一人に複数の石ができていることも多くあります。
唾石ができやすい状態
- 脱水状態のとき
- 唾液の量を減らす薬を飲んでいるとき
- 痛風がある
唾液の量を減らす薬には、一部の抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、パーキンソン病の薬、鎮静薬、利尿薬などがあります。唾液の量が減ると、口の乾燥や虫歯(特に歯の根元)の原因にもなります。
口の乾燥は、水分の摂取が少なすぎる、口で呼吸している、不安やストレスがあるといった理由でも起こります。口が乾きやすい人は、一日を通して水分を少しずつとり、唾液の量を減らす薬について主治医に相談するとよいでしょう。
唾石症の症状
石によって管がふさがると、唾液が逆流し、唾液腺が腫れて痛みます。食事のときは唾液が多く出るため、食べると腫れと痛みが強くなるのが特徴です。特に、漬け物やレモン果汁など唾液の分泌をうながすものを食べると悪化します。
腫れは数時間で引くことがあり、そのときに管から唾液が勢いよく出ることがあります。一方、石があっても症状がまったく出ないこともあります。
唾液腺の感染に注意
ふさがった管と唾液がたまった唾液腺には、細菌が感染することがあります。感染すると、腫れと痛みがさらに強くなり、口の中に膿が出てくることがあります。
- 発熱や寒気
- 感染した側の顔の痛みと腫れ
- 唾液腺の上の皮膚が赤く腫れる
こうした症状があれば、早めに受診してください。唾液腺の感染は抗菌薬で治療し、膿がたまっている場合は切開して出す必要があります。
唾石症の診断
食べたり飲んだりして唾液の分泌が増えるときの痛みとの関係から診断します。レモン果汁やあめなど、唾液の分泌をうながすものを使って確かめることもあります。
診察で診断がつかない場合は、CT検査や超音波検査などの画像検査を行います。管の中に入れられる非常に細い内視鏡で、ふさがりの原因を調べる方法もあります。
感染が疑われる場合は、CT、超音波、MRIなどで炎症を調べ、管から膿を絞り出せればその膿で細菌の培養検査を行います。
- おたふくかぜ(ムンプス):ウイルス感染で、通常は耳下腺が痛みを伴って腫れます。主にワクチンを受けていない人に起こります。
- 唾液腺の腫瘍:腫れは感染によるものより硬いことが多く、悪性の場合は石のように硬くなり、周りの組織にくっついて動きにくくなります。
唾液腺の腫れには、このように唾石以外の原因もあるため、腫れが続くときは受診して確かめましょう。
自分でできるセルフケア
- 水分を多めにとる
- 唾液腺をマッサージする
- 温かいものをあてる
- 唾液の分泌をうながす:レモン果汁、切ったレモン、酸っぱいあめなどを使います。
- 痛み止めを使う
これらを組み合わせてもよいでしょう。石が口の中へ自然に出て治ることもあります。
石が出ないときの治療
- 押し出す:歯科医などが管の両側を押して、石を押し出します。
- 器具で取り出す:細いワイヤー状の器具を使って石を引き出します。
- 手術・内視鏡:最後の手段として、手術や内視鏡で石を取り出します。
手術には、口の中から管を切開する方法、首の皮膚を切開して唾液腺ごと取り出す方法、皮膚や粘膜を切らずに内視鏡を管に入れて石を取り出す方法があります。石の大きさや位置によって、適切な方法が決まります。
出典によって異なる点:セルフケアと手術の説明
MSDマニュアル家庭版は、まず水分補給やマッサージ、酸っぱいもので唾液を出すなどのセルフケアを試し、石が出ない場合に押し出す処置、器具での摘出、最後の手段として手術や内視鏡を行うという段階的な流れを示しています。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、石が自然に出て治ることもあるとしたうえで、手術の方法を、口の中からの切開、首の皮膚の切開による唾液腺ごとの摘出、内視鏡による摘出の3つに分けて説明し、石の大きさと位置で方法を選ぶとしています。
両者を合わせると、まずはセルフケアから始め、必要に応じて耳鼻咽喉科で石の位置に合った治療を相談する、という流れになります。
唾石症のポイント
- 唾石症は、唾液腺やその管の中に石ができる病気で、顎下腺に最も多くみられます。
- 食事のときに唾液腺が腫れて痛むのが特徴です。
- 脱水や唾液を減らす薬、痛風があると石ができやすくなります。
- 発熱や赤い腫れ、膿が出る場合は、感染のおそれがあるため早めに受診してください。
- 水分補給、マッサージ、温める、酸っぱいもので唾液を出すなどのセルフケアが役立ちます。
- 石が出ない場合は、押し出す処置や、内視鏡・手術で取り出します。
唾石症についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
唾石はなぜできるのですか?
唾液に含まれる塩分が固まってできます。脱水状態のときや、唾液の量を減らす薬を飲んでいるとき、痛風がある人でできやすくなります。
なぜ食事のときに痛むのですか?
食事のときは唾液がたくさん出ますが、石で管がふさがっていると唾液の行き場がなくなり、唾液腺が腫れて痛みます。
唾石は自然に出ますか?
石が口の中に自然に出て治ることもあります。水分補給やマッサージ、酸っぱいもので唾液を出すことが役立つことがあります。
どんなときに受診すべきですか?
腫れや痛みをくり返す場合や、発熱、赤い腫れ、膿が出るなど感染が疑われる場合は受診してください。
どんな検査をしますか?
食事と痛みの関係から診断し、必要に応じてCT検査や超音波検査を行います。細い内視鏡で管の中を調べることもあります。
手術はどんな方法がありますか?
口の中から管を切開する方法、首の皮膚を切開して唾液腺ごと取る方法、内視鏡で石を取り出す方法があり、石の大きさや位置で選びます。
出典
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
