眼瞼けいれんとは?
まぶたは、ものを見るときに開き、まぶしい光や乾燥など目に悪い刺激を感じたときに閉じます。この切り替えは脳が担当していて、通常は開く動きと閉じる動きが同時に起こることはありません。
眼瞼けいれんは、この切り替えがうまくいかず、開こうとすると同時に閉じようとしてしまう状態です。通常は両目に起こります。目のまわりの筋肉が自分の意思と関係なく縮む、局所性ジストニアの一つです。
どんな人に多い?
日本では、10万人あたり1.6〜6.5人に起こるとされ、40〜70歳に多く、女性は男性の約2倍です。家族の中で起こりやすい傾向もあります。
眼瞼けいれんは、目のまわりの筋肉(眼輪筋)がけいれんして、まぶたが長く、またはくり返し不随意に閉じてしまう病気で、局所性ジストニアの中では2番目に多いタイプです。生活に支障をきたしやすい病気とされています。
眼瞼けいれんの原因
原因はしばしば不明です。ほかの目の病気、目に入った異物、ドライアイ、パーキンソン病などの神経の病気が原因になることがあります。
抗不安薬などの薬が関係している場合もあります。原因がわからない場合でも、症状を軽くする治療で生活の支障を減らすことができます。
眼瞼けいれんの症状
- まばたきや目を閉じる動きをうまくコントロールできない
- まばたきが増える、目の刺激感がある
- まぶしさ(羞明)や目の乾燥感
- 重い場合は、目を開けられなくなる
けいれんは、疲れ、明るい光、不安で悪化することがあります。気分の落ち込みを伴うこともあります。けいれんが長く続くと、皮膚やまぶたを開ける筋肉が伸びて、眉やまぶたが下がってくることもあります。
眼瞼ミオキミア・顔面けいれんとの違い
- 眼瞼ミオキミア:まぶたを閉じる筋肉の一部だけがピクピク動く状態で、目が閉じるまでには至りません。睡眠不足、精神的ストレス、疲れ、お茶やコーヒーの飲みすぎなどで起こります。「まぶたがけいれんする」という人の大部分はこれです。
- 顔面けいれん:通常、顔面神経が圧迫されて起こり、左右どちらかのまぶたと同じ側の口が、同じリズムでけいれんします。
まぶしさや目の乾燥感などの症状は、ドライアイや片頭痛でも起こるため、区別が必要です。
まぶた以外にも広がる場合
眼瞼けいれんは、最初は片目だけに起こることもありますが、最終的には両目に起こります。過剰なまばたき、目の刺激感、明るい光に敏感になることから始まるのが普通です。
まぶたの不随意なまばたきに加えて、歯ぎしりやしかめ面などの口やあごの動きが加わる場合は、メージュ症候群(眼瞼けいれん・口下顎ジストニア)と呼ばれます。
軽い場合の工夫と補助的な治療
軽い眼瞼けいれんでは、歌う、ハミングする、まぶたに触れる、ガムを噛むといった簡単な動作で症状が軽くなることがあります。
- まぶしさ対策:FL-41というピンク色のレンズの眼鏡やサングラスを使う
- 乾燥感:人工涙液の目薬を使う
- 不安:けいれんは不安で悪化することがあるため、不安を和らげる薬が役立つことがある
ボツリヌス毒素の注射と手術
原因がわからない場合、根本的に治す治療法はなく、症状を軽くする治療を行います。けいれんを軽くするために、まぶたを閉じる筋肉にボツリヌス毒素を注射して、筋力を弱めます。効果は数カ月で弱まるため、注射をくり返します。補助的に飲み薬を使うこともあります。
注射が効かず症状が重い場合は、まぶたの筋肉を切除する手術を行います。まぶたの皮膚や筋肉のゆるみに対しては、形成手術を行うこともあります。
出典によって異なる点:ボツリヌス毒素の効果と副作用
MSDマニュアル家庭版と日本眼科学会は、ボツリヌス毒素の注射を治療の中心としていますが、効果の大きさや副作用の頻度は示していません。
コクランのシステマティックレビュー(Duarteら、2020年)は、3件のランダム化比較試験(313人)をまとめ、1回の注射で、注射後4〜6週の症状の重さと生活への支障が、偽薬に比べて中等度から大きく改善したとしました。全体の副作用の頻度は偽薬と差がありませんでしたが、見えにくさなどの訴えとまぶたが下がる副作用は増えました。効果の持続は約10.6週という報告があり、くり返し注射したときの効果や安全性を調べた試験はありませんでした。注射の量を増やすほど効果が上がるという明らかな関係もみられず、生活の質への影響を調べたデータもありませんでした。
なお、3件の試験はいずれも1回の注射の効果を調べたもので、すべて企業の資金で行われ、2件は以前の注射で効果が乏しかった人を除いていました。つまり、注射は効果が期待できる治療ですが、数カ月ごとにくり返す必要があり、まぶたが下がるなどの副作用について医師とよく相談することが大切です。
眼瞼けいれんのポイント
- 眼瞼けいれんは、まぶたを開け閉めする切り替えがうまくいかなくなる病気です。
- 40〜70歳に多く、女性は男性の約2倍です。
- まぶしさや乾燥感を伴い、重いと目を開けられなくなります。
- よくある「まぶたのピクピク」の多くは、別の状態である眼瞼ミオキミアです。
- 治療の中心はボツリヌス毒素の注射で、数カ月ごとにくり返します。
- 遮光眼鏡や人工涙液、重い場合は手術も選択肢です。
眼瞼けいれんについてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
まぶたがピクピクするのは眼瞼けいれんですか?
多くは眼瞼ミオキミアで、まぶたの一部がピクピク動くだけで目が閉じるまでには至りません。睡眠不足、ストレス、疲れ、カフェインのとりすぎなどで起こります。
眼瞼けいれんはどんな人に多いですか?
40〜70歳に多く、女性は男性の約2倍です。家族の中で起こりやすい傾向もあります。
原因は何ですか?
しばしば不明です。ドライアイなどの目の病気、パーキンソン病などの神経の病気、抗不安薬などの薬が関係する場合もあります。
どんな治療がありますか?
まぶたを閉じる筋肉へのボツリヌス毒素の注射が中心です。効果は数カ月で弱まるため、くり返し注射します。
注射に副作用はありますか?
研究では、全体の副作用は偽薬と差がありませんでしたが、まぶたが下がる、見えにくいといった副作用が増えました。
自分でできることはありますか?
歌う、ハミングする、まぶたに触れる、ガムを噛むなどで軽くなることがあります。まぶしさには遮光眼鏡、乾燥感には人工涙液も役立ちます。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 眼瞼痙攣
- 日本眼科学会 · 眼瞼けいれん
- Duarte GS, et al. Botulinum toxin type A therapy for blepharospasm. Cochrane Database Syst Rev. 2020
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
