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統合失調症とは?症状・原因・治療と経過の見通し

統合失調症は、現実との区別がつきにくくなる状態(精神病症状)、幻聴などの幻覚、事実と異なる強い思い込み(妄想)、まとまりを欠いた考えや行動、感情表現や意欲の低下などが現れる精神疾患です。世界の人口の約1%にみられ、多くは若い時期に始まります。症状の種類、原因、診断、治療、経過の見通しを順に整理します。

テーマ
心理
更新日
読了時間
11分
監修
Itziar Gotxi Erezuma医師 · 耳鼻咽喉科専門医 · ビスカヤ県医師会 登録番号 484809757

統合失調症とは?

統合失調症は、ものの感じ方や考え方、感情、行動に変化が起こり、現実とのつながりが失われやすくなる精神疾患です。仕事や人づきあい、身の回りのことなど、日常生活を続ける力に影響が出るのが特徴です。

世界の人口のおよそ1%にみられ、男女で起こりやすさに差はありません。自分の力で生活を築いていく若い時期に始まることが多く、男性では20代前半から半ば、女性では20代半ばから後半が発症の平均年齢です。男性では約40%が20歳になるまでに最初の症状を経験し、女性では30代にもう一つの診断のピークがあります。子ども時代に始まることはまれで、高齢になってからの発症もまれです。

症状が周囲に知られていないために治療の開始が何年も遅れることがあり、いつ始まったのかがはっきりしない場合も少なくありません。また、甲状腺の病気、脳腫瘍、てんかんなどの脳の病気でも似た症状が出ることがあるため、診断の際にはこうした病気がないかも確かめます。

統合失調症の原因と発症しやすくなる要因

原因はまだはっきりわかっていませんが、近年の研究では、遺伝的な要因と環境の要因が重なり合って発症すると考えられています。その根っこには、脳の分子レベルや働きの変化が関わる、生物学的な問題があるとされています。

大きな生活上のストレスや、大麻(マリファナ)などの薬物の使用は、もともと発症しやすい素因をもつ人にとって引き金になることがあります。ただし、人生の出来事だけが原因で発症するとは考えられていません。発症しやすくなる要因として、次のようなものが挙げられています。

  • 遺伝的な素因(親や兄弟姉妹に統合失調症の人がいると、発症リスクは一般の約5〜11倍。一卵性双生児の一人が発症した場合、もう一人のリスクは約40〜80%)
  • 親の精神疾患、とくに母親に精神病の病歴があること
  • 妊娠中の母親のストレスや妊娠の合併症、低出生体重、生まれつきの異常など、出生前後の問題
  • 飢餓や栄養不足、特定の感染症(単純ヘルペスウイルス2型など)
  • 子ども時代の心的外傷やネグレクト(養育放棄)

統合失調症の症状①:幻覚・妄想とまとまりのない言動

発症のしかたはさまざまで、突然始まることもあれば、数日から数週間、あるいは何年もかけて少しずつ現れることもあります。最初は、人づきあいを避けるようになった、話がまとまらない、疑い深くなった、という程度の目立たない変化だけのこともあります。

症状は大きく5つに分けられます。幻覚、妄想、まとまりのない話し方や考え方、まとまりのない行動、そして後述する陰性症状です。人によって、一部だけが現れることも、すべてが現れることもあります。

  • 妄想:出来事や感覚を誤って解釈し、はっきりした反証があっても手放せない思い込みです。誰かに嫌がらせをされている、後をつけられている、監視されている、と感じる被害妄想や、本や新聞、歌詞の一節が自分に向けたメッセージだと感じる関係妄想などがあります。
  • 幻覚:ほかの人には感じられないものが聞こえたり、見えたり、味やからだの感覚として感じられたりします。圧倒的に多いのは声が聞こえる幻聴で、自分の行動に口をはさむ声、声どうしの会話、自分を責めたりけなしたりする声などがあります。
  • まとまりのない考えと言動:話があちこちに飛び、筋道が追えなくなります。軽い混乱にとどまることも、まったく理解できないほどになることもあります。行動面では、子どもっぽいふるまい、興奮、身なりや清潔さへの無頓着、場にそぐわない行動などがみられ、極端な場合は同じ姿勢のまま動かなくなる「緊張病」が起こります。

統合失調症の症状②:陰性症状と認知機能の低下

幻覚や妄想のように「本来ないものが加わる」症状に対し、感情や意欲、人との関わりなど、本来あった働きが弱まったり失われたりする症状を陰性症状と呼びます。

  • 感情の平板化:表情の動きが乏しくなり、視線を合わせず、身ぶりも減ります。笑ったり泣いたりする場面でも反応がみられなくなります。
  • 会話の乏しさ:口数が減り、質問への答えが一言、二言と短くなります。
  • 喜びを感じにくい(快感消失):以前楽しんでいたことへの関心が薄れ、目的のないことに時間を費やすようになります。
  • 人と関わる意欲の低下・目標に向かう意欲の低下

もう一つの重要な症状が、認知機能の低下です。集中する、覚える、段取りを立てる、問題を解決するといった力が落ち、本が読めない、テレビや映画の筋が追えない、指示どおりに作業できないといった困りごとにつながります。発症のごく早い時期から現れることもあり、日常生活でどれだけ支障が出るかは、この認知機能の低下の程度に大きく左右されます。

失業や失恋など、ストレスの大きい出来事をきっかけに症状が現れたり悪化したりすることもあります。

自殺のリスクと、すぐに助けを求めるべきとき

統合失調症のある人の約4〜10%が自殺で亡くなり、約35%が自殺を試みるとされています。自殺は、この病気のある人が若くして亡くなる最も大きな原因で、平均寿命が一般より約15年短い主な理由の一つです。

とくにリスクが高いのは、若い男性、アルコールや薬物の問題を抱えている人、気分の落ち込みや絶望感がある人、仕事を失った人、症状が出始めたばかりの人や退院した直後の人です。発症前に問題なく生活していた人や、人生の後半に発症した人も、病気がもたらす変化をはっきり自覚できるために追い詰められやすく、リスクが高くなります。ただし、こうした人は回復の見込みがもっとも大きい人たちでもあります。

一般に思われているのとは違い、統合失調症のある人が暴力をふるうリスクは、わずかに高い程度にとどまります。実際に多いのは、危険な行為よりも、言葉による脅しや短い感情の爆発です。重大な暴力に結びつきやすいのは、アルコールや薬物の使用、迫害されているという妄想、暴力を命じる幻聴、処方された薬を飲んでいない、といった状況です。

  • 「死にたい」「消えたい」と口にする
  • 自分や他人を傷つけるおそれがある
  • 幻聴や妄想が急に強まり、本人も周囲も安全を保てない

このような場合は、ためらわずに医療機関に相談するか、緊急時は119番(スペインでは112番)に連絡してください。

統合失調症の診断

統合失調症を一つで確定できる検査はありません。これまでの経過と症状を総合的に評価し、精神医学の標準的な診断基準にもとづいて判断します。主な条件は次のとおりです。

  • 妄想、幻覚、まとまりのない話し方、まとまりのない行動、陰性症状のうち2つ以上があり、そのうち少なくとも1つは妄想・幻覚・まとまりのない話し方のいずれかである
  • これらの症状のために、発症前と比べて仕事や学業、人づきあいの力が明らかに落ちている
  • 症状が少なくとも6か月続いている

いつ始まったのかを知るには、家族や友人、学校の先生などからの情報が役立ちます。また、似た症状を起こす別の原因がないかを確かめるため、薬物使用の有無や、脳腫瘍、側頭葉てんかん、甲状腺の病気、自己免疫疾患、ハンチントン病、肝臓の病気、薬の副作用、ビタミン不足などを検査で調べます。CTやMRIで脳を調べることもありますが、統合失調症の診断を決められるほど特徴的な異常は見つかりません。

さらに、短期精神病性障害、統合失調様障害、統合失調感情障害、統合失調型パーソナリティ障害など、統合失調症と共通点のある別の病気との区別も行います。

統合失調症の治療:抗精神病薬

治療の目標は、精神病症状を軽くすること、再発とそれに伴う生活機能の低下を防ぐこと、そしてできるだけ高い水準で日常生活を送れるよう支えることです。治療を早く始めるほど、結果はよくなります。

抗精神病薬は、妄想、幻覚、まとまりのない考えを和らげたり、なくしたりするのに有効です。急な症状が落ち着いた後も飲み続けることで、再発の可能性を大きく下げられます。一方で、眠気、筋肉のこわばり、ふるえ、自分の意思と関係なく体が動く不随意運動(遅発性ジスキネジアなど)、体重増加、落ち着かなさといった副作用が起こることがあります。

統合失調症の経過は、薬を指示どおりに続けられるかどうかに大きく左右されます。それにもかかわらず、処方された薬を飲まない人は半数にのぼります。病気だという自覚がない、副作用がつらい、もの忘れや考えのまとまりにくさ、費用の問題など、理由はさまざまです。副作用が問題なら薬を替える、医師やスタッフと長く続く信頼関係を築くなど、飲み続けるのを妨げている原因に一つずつ対処することが役立ちます。

リハビリテーション・心理療法・家族への支援と経過の見通し

職業訓練などのリハビリテーションは、病院の外で暮らしていくための技能を身につけることを目指します。仕事、買い物、身の回りのこと、家事などができるようになれば、人間関係もよくなっていきます。地域の支援サービスには、スタッフが常駐して服薬やお金の管理を手伝うグループホームや、スタッフが定期的に自宅を訪ねる仕組みなどがあります。重い再発では入院が必要になることもありますが、目指すのはあくまで地域で暮らすことです。

心理療法では、本人と家族と医師が協力関係を築き、病気を理解し、薬を続け、症状を悪化させるストレスに対処する方法を学びます。家族と暮らしている場合は、本人と家族の両方に病気の知識と対処のしかたを伝える心理教育がすすめられ、再発の予防に役立ちます。

長い目で見た経過はさまざまです。約15〜25%の人は長く続く大きな改善がみられ、約3分の1はある程度よくなるものの再発をくり返して症状が残り、約40%は重い障害が長く続きます。経過がよくなりやすい要因としては、急に発症した、発症の年齢が高い、発症前の生活や仕事の力が高かった、認知機能の低下が軽い、陰性症状が少ない、最初の症状から治療までの期間が短い、などが挙げられています。

出典によって異なる点:薬をやめた場合の再発率

MSDマニュアル家庭版は、薬物療法を行わない場合、診断から1年以内に65〜80%の人が再発し、薬を飲み続ければ再発率はおよそ30%まで下がると説明しています。

Leuchtらのメタアナリシス(2012年、Lancet)は、症状が安定した後に抗精神病薬を続けた人と、偽薬に切り替えた人を比べた65件の試験(6,493人)をまとめました。7〜12か月後の再発率は、薬を続けた群で27%、偽薬群で64%でした。再入院も10%対26%と少なく、一方で体重増加(10%対6%)、運動障害(16%対9%)、眠気(13%対9%)は薬を続けた群で多くみられました。

数字の示し方はやや異なりますが、薬を続けると再発が大きく減るという点では両者は一致しています。メタアナリシスでは、薬の効果と同時に副作用の頻度も具体的な数字で示されています。

統合失調症のポイント

  • 統合失調症は、幻覚や妄想、まとまりのない言動、陰性症状、認知機能の低下などが現れる精神疾患で、世界の人口の約1%にみられます。
  • 原因は解明されていませんが、遺伝的な要因と環境の要因が組み合わさって発症すると考えられています。
  • 診断を確定する検査はなく、症状と経過を総合的に評価し、似た症状を起こす体の病気がないかを確かめます。
  • 治療の中心は抗精神病薬、リハビリテーションと地域の支援、心理療法、家族への心理教育です。
  • 薬を続けると再発が大きく減りますが、副作用もあるため、医師と相談しながら続けやすい形を探ります。
  • 自殺のリスクが高い病気でもあるため、「死にたい」という言葉や危険な兆候があれば、すぐに助けを求めてください。

統合失調症についてよくある質問

回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。

統合失調症の初期症状にはどんなものがありますか?

最初は、人づきあいを避けるようになる、話がまとまらない、疑い深くなるといった目立たない変化だけのこともあります。後になって、それが病気の始まりだったとわかる場合もあります。

統合失調症は遺伝しますか?

遺伝的な要因が関わっていると考えられています。親や兄弟姉妹に統合失調症の人がいると、発症リスクは一般の約5〜11倍になります。ただし、環境の要因も組み合わさって発症すると考えられており、遺伝だけで決まるわけではありません。

統合失調症は治りますか?

経過は人によって大きく異なります。約15〜25%の人は長く続く大きな改善がみられ、約3分の1はある程度よくなります。治療を早く始めるほど、長い目で見た生活の機能はよくなります。

薬はいつまで飲む必要がありますか?

急な症状が落ち着いた後も飲み続けることで、再発の可能性を大きく下げられます。研究のまとめでは、薬を続けた人の1年以内の再発は27%、偽薬に替えた人では64%でした。やめる・減らす場合は必ず医師と相談してください。

統合失調症の人は暴力的ですか?

一般に思われているのとは違い、暴力をふるうリスクはわずかに高い程度です。アルコールや薬物の使用、被害妄想、暴力を命じる幻聴、薬を飲んでいないことなどが重なると、リスクが高まります。

家族にできることはありますか?

病気や治療について学ぶ家族向けの心理教育は、家族の支えになり、再発の予防にも役立ちます。本人が治療を続けられるよう、医療スタッフと協力することが大切です。

出典

  1. MSDマニュアル家庭版 · 統合失調症
  2. Leucht S, et al. Antipsychotic drugs versus placebo for relapse prevention in schizophrenia: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2012

このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。