脳波検査とは?
脳波検査は、脳の電気的な活動を波形として記録し、紙に印刷したりコンピュータに保存したりする検査です。痛みはなく、簡単に行えます。記録された結果を脳波(脳波図)と呼びます。
CT検査などと同じく、検査技師が日常的に行える検査です。専門知識をもつ神経内科医が針を刺す筋肉を選び、結果を解釈する必要がある筋電図検査とは、この点が異なります。
脳波検査でわかること
- けいれん性疾患(てんかんなど)
- 睡眠障害
- 一部の代謝の病気や、脳の構造の異常
- クロイツフェルト・ヤコブ病などのまれな病気
たとえば、けいれん発作の原因が脳のどの部分にあるかを特定したり、肝不全などの病気や特定の薬による錯乱(肝不全によるものは肝性脳症と呼ばれます)に特徴的な電気的活動を見つけたりするのに役立ちます。
検査の流れ
まず、20個ほどの小さな円形のセンサー(電極)を頭皮に貼ります。電極はコードで記録装置につながっていて、それぞれの電極がとらえたわずかな電圧の変化を記録します。
最初は普通の状態で脳の電気的な活動を記録し、次に、明るい光や点滅する光などのさまざまな刺激を使って、発作が起こりやすい状態をつくって記録します。発作中は脳の電気的な活動が速くなり、ギザギザした波形が現れます。波形は発作の種類によって異なります。
発作が起こりやすい状態で記録する
けいれん性疾患が疑われ、最初の脳波が正常だった場合は、発作が起こりやすくなる処置をしてから再び記録します。
- 睡眠不足の状態にする(18〜24時間眠らずに検査を受けることもある)
- 深く速く呼吸してもらう(過換気)
- 点滅する光(ストロボ)を当てる
異常な放電は睡眠不足のときに起こりやすいため、こうした方法が使われます。
けいれん性疾患の診断での役割
脳波検査は、けいれん性疾患の診断を確定するのに役立ちます。医師は脳波の記録を調べ、脳内で異常な放電が起きている証拠を探します。
ただし、記録できる時間は限られているため、実際にはけいれん性疾患があっても異常が見逃され、正常と判断されることがあります。そのため、2回、場合によっては3回くり返して、発作の活動を見つけたり、発作の種類を特定したりします。初めて発作を起こした人では、通常、ほかの検査とともに脳波検査を行います。
- 血液検査:糖、カルシウム、ナトリウム、マグネシウムの濃度や、肝臓と腎臓の働きを調べる
- 心電図検査:意識を失ったり発作に似た症状を起こしたりする不整脈がないかを調べる
- 脳の画像検査:出血や脳卒中、発作の原因になる脳の異常がないかをCTやMRIで調べる
ビデオ脳波モニタリングと自由行動下脳波
- ビデオ脳波モニタリング:入院してビデオで撮影しながら、24時間以上(てんかんの専門施設では2〜7日間)脳波を記録します。発作が起きたら、その時点の脳波と映像を見比べ、発作の種類と始まった脳の部分を特定します。発作が起こりやすいよう、抗けいれん薬を一時的にやめることもあります。
- 自由行動下脳波検査:自宅で過ごしながら、数日間の脳の活動を記録します。長く入院できない人で発作がくり返す場合に役立ちます。
けいれん発作か、ほかの原因かを見分ける
けいれん発作に似た動きがあっても、心の病気による症状との区別が難しい場合があります。そのようなときは、ビデオ脳波モニタリングが役立ちます。
発作のような動きがカメラでとらえられたときに、その時点の脳波を確認し、けいれん発作が起きているのか、それとも正常な脳の活動が続いているのかを判断します。後者の場合は、心の病気を疑います。
脳波を使うほかの検査:誘発電位検査
誘発電位検査では、視覚、聴覚、触覚に刺激を与えて脳の特定の部分を働かせ、その反応を脳波で検出します。たとえばライトを点滅させると、目の網膜や視神経から脳の後ろの部分までの経路が刺激されます。
- 乳児や子どもの感覚の働きを調べる(例:耳のそばでカチッと音を立てて聴覚を調べる)
- 多発性硬化症などが視神経、脳幹、脊髄に及ぼす影響を調べる(MRIで見つからない場合もある)
- 昏睡状態の人の経過の見通しを予測する(刺激を与えても典型的な脳の反応がみられなければ、見通しが悪い可能性が高くなる)
出典によって異なる点:1回の脳波でどこまでわかるか
MSDマニュアル家庭版は、記録時間が限られるため、けいれん性疾患があっても脳波が正常と判断されることがあるとしていますが、その頻度は示していません。
初めての誘因のないけいれん発作のあとに受ける通常の脳波検査の精度を調べたメタアナリシス(Boumaら、2016年)は、15件の研究(1,799人)をまとめました。てんかんを示す波形(てんかん性放電)が見つかる割合(感度)は、大人で約17%、子どもで約58%でした。一方、特異度は大人で約95%と高く、大人で放電が見つかった場合は、2回目の発作が起こる可能性が約77%(子どもで約66%)と見積もられました。
つまり、特に大人では、1回の脳波が正常でもてんかんを否定できません。ただし、異常が見つかった場合は再発の可能性が高いことを示す、重要な手がかりになります。
脳波検査のポイント
- 脳波検査は、脳の電気的な活動を記録する、痛みのない安全な検査です。
- けいれん性疾患、睡眠障害、一部の代謝の病気などの診断に役立ちます。
- 頭皮に約20個の電極を貼り、光の刺激や過呼吸、睡眠不足で発作を誘発して記録します。
- 1回の検査では異常が見つからないことがあり、くり返し行うことがあります。
- 診断が難しい場合は、ビデオ脳波モニタリングや自宅での長時間記録を行います。
- 研究では、大人の通常の脳波でてんかん性放電が見つかる割合は約17%でした。
脳波検査についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
脳波検査は痛いですか?
いいえ。頭皮に小さな電極を貼って脳の電気的な活動を記録するだけで、痛みはなく安全な検査です。
脳波検査で何がわかりますか?
てんかんなどのけいれん性疾患、睡眠障害、一部の代謝の病気や脳の構造の異常などの手がかりが得られます。
検査前に寝不足にするように言われました。なぜですか?
異常な放電は睡眠不足のときに起こりやすいため、18〜24時間眠らない状態で検査を行うことがあります。
脳波が正常ならてんかんではありませんか?
必ずしもそうではありません。記録時間が限られるため、てんかんがあっても正常と判断されることがあり、検査をくり返すことがあります。
ビデオ脳波モニタリングとは何ですか?
入院してビデオで撮影しながら長時間脳波を記録する検査です。発作の種類や始まる場所を特定したり、ほかの原因の発作と区別したりします。
脳波で異常があった場合はどういう意味ですか?
研究では、初めての発作のあとに大人で異常な放電が見つかった場合、2回目の発作が起こる可能性は約77%と見積もられています。結果の意味は医師とよく相談してください。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 脳、脊髄、末梢神経の病気の検査
- MSDマニュアル家庭版 · けいれん性疾患
- Bouma HK, et al. The diagnostic accuracy of routine electroencephalography after a first unprovoked seizure. Eur J Neurol. 2016
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
