皮膚むしり症とは?
皮膚むしり症は、自分の皮膚をくり返しむしったり、ひっかいたりして、皮膚を傷つけてしまう病気です。健康な皮膚をむしる人もいれば、たこ、吹き出物、かさぶたをむしる人もいます。
身体醜形症の人のように、見た目がよくないと思う部分やシミを取り除くためにむしっているわけではありません。強迫症と関連する病気の一つに分類されています。
どのくらいの人にみられる?
どの時点でも約2〜3%の人がこの病気をもっていて、そのうち約60〜75%が女性です。
しばしば青年期に始まりますが、どの年齢でも起こる可能性があります。症状の重さは時期によって変わるのが一般的ですが、生涯続く場合もあります。
むしる前の緊張と、むしったあとの安堵
皮膚むしり症の人は、むしる直前に緊張感や不安を抱いていて、皮膚をむしることでそうした感情が和らぐことがあります。むしることで満足感が得られることもよくあります。
ほとんど無意識に、考えることなくむしってしまう人もいれば、より意識的にむしる人もいます。
皮膚むしり症の症状
- ただれや傷あとが体の多くの部分にある人も、数カ所だけの人もいる
- 時間とともに、むしる部分が変わることがある
- むしるべきかさぶたを探す、指や毛抜きを使うなど、決まった手順(儀式)を伴うことがある
- はがしたかさぶたを噛んだり飲み込んだりすることがある
- 毛を抜く、爪や頬の内側を噛むなど、体に関するほかのくり返し行動も行う
家族以外の人前ではむしらないのが典型的で、多くの人は衣服や化粧で傷を隠そうとします。ほかの人の皮膚をむしる人もいます。
皮膚をむしる方法や場所は人によってさまざまで、同じ人でも時期によって変わります。皮膚むしり症の人の多くは、体に関するほかのくり返し行動(向身体性反復行動)も併せもっています。
心と生活への影響
自分の外見や、自分を抑えられないことに困惑したり、恥ずかしく感じたりすることがあります。その結果、傷を見られる場面を避けるようになることもあります。何度もやめようとしたり減らそうとしたりしますが、うまくいかず、そのことに苦しみます。
皮膚むしり症の人の多くには、強迫症、抜毛症、うつ病などほかの心の病気もみられます。
体への合併症
むしる行為が度を越すと、皮膚に傷あと(瘢痕)が残ったり、感染症や大量の出血が起きたりすることがあります。
さらに、細菌が血液に入り込む重い感染症(敗血症)が起きることもあります。傷が赤く腫れる、熱をもつといった変化には注意が必要です。
皮膚むしり症の診断
診断は、精神医学の診断基準にもとづいて医師が行います。皮膚むしり症は、比較的最近になって独立した病気として診断基準に加えられた心の病気です。
- 皮膚をむしりすぎて、皮膚に傷ができている
- むしる行為を何度も減らそう、やめようとしている
- むしる行為のために大きな苦痛があるか、日常生活に支障がある
コカインなどの薬物、刺激薬などの薬、疥癬(かいせん)などほかの病気によるものではないことも確かめます。そのために、体の診察や検査が必要になることもあります。
皮膚むしり症の治療
第一に選ばれる治療は、皮膚むしりに焦点を合わせた認知行動療法、特に習慣逆転法です。習慣逆転法では、次のことを学びます。
- むしる行為に対する自覚を高める
- むしるきっかけになる状況を見つける
- こぶしを握る、編み物をする、手の上に座るなど、別の行為に置き換える
薬では、グルタミン酸の神経系に働くN-アセチルシステインやメマンチンが皮膚むしりを減らす可能性があります。SSRI(抗うつ薬の一種)やクロミプラミンも役立つことがあり、うつ病や不安症を併せもつ場合はその症状を改善できますが、皮膚むしりを減らすという根拠は限られています。
出典によって異なる点:薬と行動療法の効果
MSDマニュアル家庭版は、習慣逆転法を第一とし、N-アセチルシステイン、メマンチン、SSRIなどの薬も役立つことがあるとしています。
皮膚むしり症の治療を調べたシステマティックレビュー(Schumerら、2016年)は、11件の研究をメタアナリシスで分析しました。短期間の試験では、偽薬などの効果のない対照も含めて、どのグループも症状が大きく改善しました。そのうえで、効果のない対照に比べてはっきりした効果を示したのは行動療法だけで、SSRIやラモトリギンが偽薬より効くという根拠はランダム化比較試験から得られませんでした。
著者らは、対照群のない試験だけでは治療の効果を判断しにくいため、新しい薬を調べる大規模な偽薬対照試験と、行動療法を受けやすくするための研究が必要だとしています。
つまり、試験の中では誰でもある程度よくなるため、効果の判断には比較試験が欠かせず、現時点で根拠が最もしっかりしているのは行動療法だといえます。
皮膚むしり症のポイント
- 皮膚むしり症は、皮膚をくり返しむしって傷つけてしまう病気です。
- 約2〜3%の人にみられ、60〜75%は女性です。
- むしる前の緊張や不安が、むしることで和らぐことがあります。
- 傷あと、感染症、出血などの合併症が起こることがあります。
- 習慣逆転法を中心とした認知行動療法が第一の治療です。
- 薬の効果を示す根拠は限られています。
皮膚むしり症についてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
皮膚むしり症とはどんな病気ですか?
自分の皮膚をくり返しむしったりひっかいたりして傷つけてしまい、やめたくてもやめられない病気です。
どのくらいの人がなりますか?
どの時点でも約2〜3%の人にみられ、そのうち約60〜75%が女性です。
なぜむしってしまうのですか?
むしる直前に緊張や不安を感じ、むしることでそれが和らぐことがあります。無意識にむしってしまう人もいます。
どんな治療がありますか?
習慣逆転法を中心とした認知行動療法が第一の治療です。むしる行為に気づき、きっかけを知り、別の行為に置き換える練習をします。
薬は効きますか?
N-アセチルシステインやメマンチン、SSRIなどが役立つことがありますが、根拠は限られています。研究では、偽薬との差がはっきりしたのは行動療法だけでした。
ほかの病気と関係がありますか?
強迫症、抜毛症、うつ病などを併せもつ人が多くみられます。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 皮膚むしり症
- Schumer MC, et al. Systematic review of pharmacological and behavioral treatments for skin picking disorder. J Clin Psychopharmacol. 2016
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
