COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?
COPDは、気道が狭くなった状態(閉塞)が続く病気です。息を吐くときに、肺から空気が出ていく速さが低下した状態が続きます。
COPDには、次の2つの状態がかかわります。
- 慢性気管支炎:たんのからむせきが、2年続けて、それぞれ少なくとも3カ月みられる状態です。
- 肺気腫:肺の空気の袋(肺胞)の壁が広い範囲で元に戻らない形で壊れ、肺胞が大きくなった状態です。
気流が妨げられると、息を吐ききったつもりでも肺に空気が残るようになり、呼吸にますます力が必要になります。
COPDの原因
- 喫煙:最も重要な原因です。ただし、COPDになるのは喫煙者の約15%で、かかりやすい素因のある人では、年齢による肺機能の低下が急速に進みます。
- 職場や家庭の環境:化学物質の蒸気や粉じん、屋内での調理による大量の煙にさらされると、リスクが高まる可能性があります。
- 体質:COPDが多く出る家系があり、遺伝的な傾向があると考えられます。まれに、アルファ1-アンチトリプシンというたんぱく質が不足する遺伝性の病気が原因になります。
- そのほか:低体重や子どものころの呼吸器の病気もリスクの一因ですが、喫煙に比べればその重要性ははるかに低いとされています。
COPDの症状と進み方
COPDは何年もかけて起こり、進行します。
- 初期:40代または50代で、透明なたんのからむ軽いせきが出始めます。せきやたんは、通常、朝起きた直後に悪くなります。
- 息切れ:運動中の息切れを、年齢や体力の衰えのせいだと考えて、体を動かす量を減らしてしまう人が多くいます。
- 進行:中年から60代後半にかけて、運動時の息切れがさらに強くなります。喫煙を続けている人ではとくにその傾向があります。肺炎などの感染症も起こりやすくなります。
病気が進むと、口をすぼめて息を吐いたり、テーブルに手や肘をついて体を支えたりすると、呼吸が楽に感じられることがあります。重いCOPDの人の約3分の1では、体重が大きく減ります。
急性増悪(症状が急に悪くなること)
急性増悪とは、せき、息切れ、たんの増加などの症状が悪化することです。たんの色が黄色や緑色に変わることが多く、熱や全身の痛みが出ることもあります。安静にしていても息切れが起こり、重い場合は入院が必要になります。
ひどい大気汚染、身近なアレルゲン、ウイルスや細菌の感染などが急性増悪のきっかけになります。急性増悪を起こした場合は、できるだけ早く治療を始めることが大切です。
COPDの検査
- 肺機能検査(スパイロメトリー):肺からどれくらいの量の空気を、どれくらいの速さで吐き出せるかを測り、気流の閉塞の程度を調べます。
- 胸部X線検査:軽いCOPDでは通常正常ですが、悪化すると肺に空気がたまりすぎている様子がみられます。
- 血液中の酸素の測定:指や耳たぶにつけるセンサー(パルスオキシメーター)や、動脈の血液で調べます。
- その他:若いうちに発症した人、とくに家族にCOPDの人がいる場合は、アルファ1-アンチトリプシンの量を調べます。息切れの原因が心臓の病気でないかを確かめる検査を行うこともあります。
最も大切な治療は禁煙
COPDに対する最も重要な治療は禁煙です。気流の閉塞が軽度から中程度のうちに禁煙すると、多くの場合、せきやたんが減り、息切れが現れるのが遅くなります。禁煙しても肺機能は少ししか良くなりませんが、年齢による肺機能の低下の速さが非喫煙者と同じ程度に戻るため、症状の進行が遅くなります。
- 受動喫煙や大気汚染など、空気中の刺激物を吸い込まないようにします。
- インフルエンザや肺炎でCOPDが大きく悪化することがあるため、毎年インフルエンザワクチンを接種します。肺炎球菌、新型コロナウイルス、RSウイルスのワクチンも役立ちます。
- 体重が大きく減ることがあるため、栄養バランスのとれた食事をとります。
吸入薬と酸素療法
肺気腫による気流の閉塞は元に戻りませんが、気管支の筋肉のけいれん、炎症、分泌物の増加は改善できます。
- 気管支拡張薬の吸入:気管支の周りの筋肉をゆるめて気道を広げる薬(抗コリン薬やベータ作動薬)を、吸入器で吸い込みます。スペーサーという補助具を使うと、より効果的に吸入できる人が多くいます。
- コルチコステロイド:ほかの薬で症状が抑えられない中等度から重度の人や、急性増悪をくり返す人に役立ちます。
- 酸素療法:血液中の酸素を十分に保つために、酸素の投与が必要になる人がいます。小型の酸素ボンベを使えば外出もできます。
市販のせき止め薬は、通常まったく役に立たないため、すすめられていません。
呼吸リハビリテーション
呼吸リハビリテーションは肺機能を良くするわけではありませんが、自立性や生活の質を高め、入院の回数や期間を減らし、運動能力を高めることが期待できます。プログラムには次の要素が含まれます。
- 病気についての教育:抗菌薬を飲むタイミングや、急性増悪のときに医師に連絡するタイミングを学びます。
- 運動:脚の運動には主に歩行訓練、ときにエルゴメーターや階段上りを行い、腕の運動にはおもりを使った訓練を行います。病院の外来でも自宅でも実施できます。
- 日常動作の工夫:料理や趣味などの動作で息切れを起こさないための方法を学びます。
- 栄養と心理のカウンセリング:体重減少を防ぐ食事の助言や、心のケアを受けます。
運動訓練をやめてしまうと、改善した機能はすぐに失われるため、続けることが大切です。
出典によって異なる点:呼吸リハビリの効果の大きさ
MSDマニュアル家庭版は、呼吸リハビリテーションが肺機能を改善させるわけではないとしつつ、生活の質や運動能力の向上、入院の減少が期待できると説明しています。
コクランのシステマティックレビュー(McCarthyら、2015年)は、COPDの呼吸リハビリテーションについて65件の研究(3,822人)をまとめました。息切れ、疲労感、気分、病気をコントロールできているという感覚の4つの面で、生活の質の改善が「臨床的に意味のある差」を上回り、運動能力も向上していました。ただし、治療の性質上、参加者や実施者に治療内容を隠すことができないなど、根拠の質には限界があります。
どちらも、呼吸リハビリテーションが肺そのものではなく、生活の質と体を動かす力を高める治療であることを示しています。
COPDのポイント
- COPDは、気道が狭くなった状態が続き、息を吐き出しにくくなる病気です。
- 最も大きな原因は喫煙で、職場の粉じんや屋内の煙、体質もかかわります。
- せき・たんから始まり、やがて体を動かしたときの息切れが強くなります。
- 肺機能検査(スパイロメトリー)で気流の閉塞を調べます。
- 最も重要な治療は禁煙で、吸入薬、ワクチン、必要に応じて酸素療法を行います。
- 呼吸リハビリテーションは、生活の質と運動能力を高めます。
COPDについてよくある質問
回答は一般的な情報であり、診察や医師による個別の判断に代わるものではありません。
COPDとはどんな病気ですか?
気道が狭くなった状態が続き、息を吐き出しにくくなる病気です。肺気腫や慢性気管支炎がかかわります。
たばこを吸う人はみんなCOPDになりますか?
COPDになるのは喫煙者の約15%です。ただし喫煙は最も重要な原因で、かかりやすい素因のある人では肺機能の低下が急速に進みます。
COPDの初期症状は何ですか?
40代または50代で、透明なたんのからむ軽いせきが出始め、朝起きた直後に悪くなるのが典型的です。運動中の息切れを、年齢のせいだと思い込んでしまう人も多くいます。
今から禁煙しても意味がありますか?
はい。病気のどの時点で禁煙しても、ある程度の効果が期待できます。年齢による肺機能の低下の速さが非喫煙者と同じ程度に戻り、症状の進行が遅くなります。
COPDの人はどんなワクチンを受けるべきですか?
毎年のインフルエンザワクチンが必要です。肺炎球菌、新型コロナウイルス、RSウイルスのワクチンも役立ちます。
呼吸リハビリテーションでは何をしますか?
病気についての教育、歩行や腕の運動などの運動訓練、息切れを起こさない日常動作の工夫、栄養と心理のカウンセリングを組み合わせます。
出典
- MSDマニュアル家庭版 · 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- McCarthy B, et al. Pulmonary rehabilitation for chronic obstructive pulmonary disease. Cochrane Database Syst Rev. 2015
このガイドは一般的な情報であり、医師の判断に代わるものではありません。診断と治療は、診察と病歴によって決まります。緊急の場合は119番(スペインでは112番)に電話してください。
